結婚式という作品
8月中旬、友人から便箋6枚に渡る手紙が届いた。
結婚式が楽しかったこと、私のこだわり、IWAIの素敵なところ。一つひとつに気づいて、それを言葉にして伝えてくれて、とても嬉しかった。
この記事では、結婚式の要素とIWAIへの偏愛を綴ろうと思う。
たまに彼女からの手紙を引用させていただく。
細かいこだわりの話ばかりなので、多くの人は退屈に感じると思う。
私たちの結婚式に関わった方は余談として、結婚式を控える方は選択の一例として、楽しめるかも。
1.会場
IWAI OMOTESANDO。
IWAIを知って、初めて結婚式を挙げてみたいと思った。
とはいえ結婚式の開催はすごく悩んだ。
見学した日、ブランドプレゼンターの山内さんと4時間くらい過ごしただろうか。両親との不和、お金の問題、無職、不安はあったけどあの時決めてよかった。
写真は敷地に入ってから受付まで続く道で、参道と呼ばれる場所。
ここで見える影が好き。
関連リンク:
【IWAI story # 2〜参道編〜】自分の心との準備を促す場所
結婚式を挙げるか迷っている
2.衣装
フォーシスアンドカンパニーでレンタルした。
ドレス選びは一波乱あり、式の1ヶ月前にやっと決定した。
当初、ドレスにお金をかけることは無駄だと考えていた。
無課金だろうと100万円かけていようと、ゲストの体験はきっと変わらないから。なので最初の試着ではときめきなど感じないまま、条件に合うドレスを契約した。サイズも合っていなかった。その後時間をかけて願望に気づき、葛藤し、最終的には本当に着たいものを選ばせていただいた。
夏にかけて痩せてしまい、ドレスが緩かったことが悔しい。
ブーケを持つ位置が完璧なのは、介添えの長谷川さんのおかげ。
介添えについて「トレーンを広げてくれる人」くらいのイメージで当日を迎えたら、きめ細やかにサポートしていただいて驚いた。結婚式での所作について予習していなかった私に、都度分かりやすい言葉で持ち方、動き方、歩き方を教えていただき、慣れない衣装とは思えないほど心地よく過ごせた。
特に歩き回っていたパーティー中、写真を撮るタイミングでブーケを渡していただく時は「いつの間に」という気持ちになった。
気づかないうちに写真を撮ってくださっていて、長谷川さんならではの視点が嬉しかった。
3.ブーケ
日比谷花壇の山内さんに作っていただいた。
特に気に入っているのは形。小さい花がぴょんぴょんしていてかわいい。
手にした時、アンスリウムが目に留まった。初めて見たのは小学生の時で、当時花を習っていた父が教室で貰ってきた思い出。撮影の合間にそんなことを話したりしていた。
オレンジや紫のカラーも私の人生に度々登場する花で、結婚式を日常の続きと考える私にとっては嬉しい構成だった。
現在のアイコンを撮影していただいた時もカラーと一緒だった。
その時のことも改めて書きたいな。
4.ヘアメイク
ROI Weddingの近藤さんに施していただいた。
華やかにしつつも派手すぎず、とても気に入った。
私は美容に疎く、リハーサルの頃も「ナチュラルが良い」くらいしか思っていなかった。ナチュラルと言っても前髪の感じやリップの色、眉毛の作り方、色々な要素で構成されることを体感し、近藤さんと永栄さんとワイワイお話ししながら、楽しい時間だった。
契約時に見積もりを見た時、ヘアメイクのリハーサルがあることに驚いた(リハーサルをするのは普通のことらしい)。現在の会社に勤め始めたばかりだったので有給がなく、わざわざ無休休暇を取得してまでするタスクかと思ったけど、やって良かった。
ピアスは以前から愛用している SOI というブランドで、結婚式のために新調した。式の後は日常的に付けていて、先日会った人が結婚式の衣装だと気づいてくれて嬉しかった。
5.ウェルカムドリンク
友人の鯉淵さんにクラフトコーラを振る舞っていただいた。
鯉淵さんのイベントには何度か足を運んでいたので、安心してお任せした。素敵なテーマも、銘柄も、会場のセットも、鯉淵さんのおかげ。
とても盛り上がった様子で、みんなの声がセレブレーションホールまで聞こえてきて嬉しかった。
待機中の私たちと、レターギャラリーにいるゲスト。挙式までゲストとは会わないけれど、存在はしっかりと感じられて、IWAIのそんな設計も好きだと思った。
下記は鯉淵さんのInstagramより引用。
▼ウェルカムドリンクのクラフトコーラ
6.レターギャラリー
私にとって、IWAIといえばここ。
ゲストには受付から挙式までの間、このレターギャラリーで過ごしていただいた。
関連リンク:
【IWAI story # 3〜レターギャラリー編〜】二人を感じ、想いをはせる場所
7.ギャラリー展示物
左右の展示台にはそれぞれの 幼少期 / 学生時代 / 現在 にまつわるものを置いた。
夫の実家には思い出の品が丁寧に保管されていて、好きな人の思い出の品に触れられることは嬉しい体験だった。
私は展示物選びにも一波乱あり、少し胸の痛む場所となった。
8.ゲストへの手紙
レターギャラリーの正面にはポストがあって、一つひとつにゲストの名前が記されている。ゲストが手紙を読んでから式が始まる、という形が好き。
以前の記事では、結びの手紙によって「想いを伝え合う時間だったように感じる」と書いたけど、振り返るとここからもう始まっていたんだと思う。
表札にはゲストの名前に加え、キャチコピーを記していただいた。
夫の考えるキャチコピーが面白く、式後に見るとまたその人の解像度が上がり、楽しい体験だった。
9.廊下
セレブレーションホール手前にある廊下は、IWAIの中でも特に好きな場所。ゆるやかなスロープと、点々と灯された照明が、人生の道のりを表現している。バージンロードと違い、みんなのための道であるところが好き。
10.セレブレーションホール
なんとなく、縁のない場所に感じていた。
誓うことや、結婚誓約書みたいなものに違和感があった。
信仰する宗教はないし、誓いに法的効力がある訳でもない。結婚はしたけど永遠なんて分からないと思っている。
誓うという行為は、私の思考と乖離があるのかもしれない。
見学前に読んで印象に残った記事。山川さんの作る結婚式は盛大なパーティーのイメージが強かったので、挙式を重視していることを意外に感じた。
見学の日、初めてセレブレーションホールに足を踏み入れて、ここでみんなと会いたいと思った。
関連リンク:
【IWAI story # 5〜セレブレーションホール編〜】再会、そして目の前の人に集中する場所
11.はなむけの言葉
入場すると、私のゲストがこちらを向いていて、その向こうに夫がいる。
その光景で胸がいっぱいになった。
挙式は人前式で行い、4名のゲストにはなむけの言葉を読んでいただいた。
私へのはなむけの言葉は、恩人の2人にお願いした。10代と20代、それぞれで希死念慮を拗らせて一線を越えそうだった時、一緒にいてくれた人。
私にとって結婚式は、死を回避して辿り着いた日だったように思う。
12.誓いの手紙
はなむけの言葉の後、誓いの言葉として手紙を読んだ。
13.リビングルーム
リビングルームは邸宅がテーマのパーティー会場で、美しいけど華美じゃないところが好き。家のようにリラックスして、いつも通りのみんなでパーティーを楽しめる空間だった。
仰々しい入場はせず、私たちがゲストを迎えた。
お出迎えの時「ここで会えるの?!」というゲストの反応も嬉しかった。
関連リンク:
【IWAI story # 7〜リビングルーム編〜】とことん邸宅を意識した空間
14.ペーパーアイテム
招待状、席次表、席札、全てペーパーメッセージで作成していただいた。
ペーパーメッセージは吉祥寺へ行くたびに立ち寄る大好きなお店。結婚式に際しての注文がきっかけで店員さんと顔見知りになったり、思い出のイラストが増えたことも嬉しい体験だった。
招待状はWEBと紙を併用した。紙で招待状が届く体験は取り入れつつ、手書きの返信やピン札の用意といったゲストの手間は減らしたかったので、WEBで返信できるよう紙の招待状にWEB招待状のQRコードを印刷していただいた。
席札の新郎新婦イラストにはお顔がなかったので、納品後に手書きした。お誕生日が近いゲストには「Happy birthday!!」って言ってるタコさん付き。本来は日めくりレンダー用のパーツを、思いついて席札と組み合わせてみたら良い感じにはまった。
席次表は、挨拶、写真共有の案内、プロフィール を含む構成。
写真共有はGoogle Photoのアルバムをあらかじめ作成して、QRコードを席次表に載せた。みんなの写真を見て楽しかった上に、ゲストからも好評で嬉しかった。
プロフィールの項目は名前と出身地に加え「好きな街」「好きな映画」「好きな本」を書き、写真はゲストのカメラマンさんが撮ってくださったものを選んだ。
15.引出物
カタログギフトの自作は楽しかったし、ゲストにも楽しんでいただけようで良かった。写真の感動が想像以上だったようで嬉しい。
"初版"というのは、最終的にお渡ししたカタログギフトの前に印刷し、わずかに失敗したもののこと。彼女には印刷の困りごとを、対象がカタログギフトであることは明かさずに相談していたので、答え合わせとして初版も同封した。
詳細は前回の記事に書いたので割愛。
16.引菓子
キハチの焼き菓子詰め合わせ。
単身者が多かったので、切り分けるお菓子よりは個包装が良いと思ったのと、上品なラッピングも惹かれたポイントだった。
それから、いつか弟と一緒に、母へパティスリーキハチのケーキをプレゼントしたことがあった。「キハチだ〜!」と喜んでもらえたことが印象に残り、私の中では喜ばれるスイーツというイメージが出来ていた。
紙袋のTHANK YOUタグは前述のペーパーメッセージで調達したもの。
お気に入りの組み合わさった写真が嬉しい。
すごく余談だけどリビングルームのワイチェアもお気に入りで、いつか家に置きたいと妄想している。
17.縁起物
お見送りの時に緑寿庵の金平糖をお渡しした。
プチギフトが夏頃まで決まらず、色々と考えているうちに夫の家族が好きなお菓子として思い出して、夫のルーツとも重なるこちらにした。
緑寿庵は京都にある老舗の金平糖専門店。やりとりがアナログでびっくりした。FAX注文、電話で詳細確認、支払いは振り込み。WEBに慣れてる身としてはちょっと手間だったけど、緑寿庵にして良かった。
18.料理と乾杯
料理とドリンクに関しては、私たちの要素など入れずそのままにした。いつものように楽しんでくれた様子が嬉しい。IWAIでの食事は、テーブルで食べるゆったりとした気持ちと、カウンターで食べる楽しさ、両方あるように思う。
既存のジャンルにとらわれず、旬の素材を最高に美味しく楽しく食べることに特化した料理。ソフトドリンクも個性的で、種類が豊富。カード型のメニュー表には料理名の記載がなく、"饗宴"に込められた想いと素材のみ記されている。
大好きなんだけどまとまらないので、料理についてはぜひリンク先の記事を読んでほしい。
乾杯の挨拶は弟にお願いした。
弟であり、親しい友人のようで、尊敬する人。束の間の挨拶の間、これまで一緒に過ごした時間を思い出してしみじみしていた。
19.写ルンです
結婚式の直前になって「そういえば」と思い用意した。
写ルンですのデザインが好きなので、カバーなどは付けずそのまま。結婚式の前夜、ペーパーアイテムと同じイラストのハガキから「フラッシュONにしてね」のタグを作り、マスキングテープ製の紐でカメラに付けた。
当日持参し、ウェルカムスピーチの前後でゲストに手渡しした。当たり前ながら渡した時とは違う人から返ってきて、カメラが短時間で何人もの人の手に渡ったことが嬉しかった。
20.ポートレート
パーティー中、ゲスト一人ずつのポートレート撮影をしていただいた。
IWAIの結婚式は集合写真がなく、アルバムの中でベストショットのみんなが集合する形。
カメラ、釜飯、ワイン、人によって違う小物を持ったりポーズをしていて楽しい。この時のポートレートは全て印刷して、後述する手紙と一緒にアルバムにした。自慢のアルバムであり、宝物となった。
私は結婚式に際して「おめかしして来てね」とゲストにお知らせしていた。伏線回収してくれて嬉しい。
写真は、引用している手紙をくれた竹ちゃん。
私の名前から想起する白と青をテーマとした衣装で、ネイルまで揃えて来てくれた。持っているのはサプライズでくれた寄せ書き。似顔絵も彼女が描いたもの。とても嬉しかった。
21.ゲスト紹介
私たちがマイクを持って、ゲスト一人ひとりを紹介していった。
内容はアドリブで短時間の断片的な紹介だったけど、"この場にいたことが嬉しい" とまで思ってもらえて嬉しい。
"結婚式に対すする概念がここらへんでぶっとんできた"
特にこの言葉が嬉しかった。概念をぶっとばせて嬉しい。
22.ライフストーリー
プロデューサーの永栄さんが作ってくれた、私たち二人の人生と出会ってからのお話。
作成にあたってのインタビューでは負の感情もそのまま話したので、どんな仕上がりになるだろう(きっと作りづらいはず)と思ったけど、当事者にも第三者にも見せられるし、伝わる形にしていただいた。
2回目の打ち合わせでライフストーリーを観てから、人生の転機をくれた人のことを思い出して、その人に改めてお礼を伝えられたのも良い出来事だった。
私は夫のライフストーリーを見た時「こんな人いるんだなあ」と、改めて思った。
23.同じ釜の飯を食う
ゲストとカメラに囲まれて、ケーキ入刀のような盛り上がりをした。
よそう際は「大盛り」「すり切り一杯」「愛情の分」など様々なリクエストを受けて、家でご飯を振る舞っているかのような楽しい体験だった。
書きながらふと、自分の家族とはもうこんな体験をすることは無いんだなあと思った。家庭は好きじゃなかったけど、最後だった思うと少し切ない。
24.エンドロール上映
撮って出しエンドロールをSTUDIO SUGARさんに作っていただいた。
後日ゲストと話した際、持ち込みの制作会社だったことを驚かれた。
事前にヒアリングをしてくれた窓口の方。細かい要望を汲み、初めての会場でも私のツボを押さえて撮影してくれたカメラマンさん。人の持ち込みまで許容してくれるIWAIの寛容さ。様々な人のおかげで出来たのだと思う。
費用面で迷ったけど、やってみてとても良かった。
25.手紙とお見送り
締めの挨拶を二人でした後、ゲストから私たちに手紙を書いていただいた。
これはIWAIが用意した演出のひとつ。
私から手紙を書くことは多いけど「手紙を書いてください」とお願いすることは少々抵抗があるので、IWAIの演出でなければ取り入れなかったと思う。
書いてもらって良かった。
私たちへの想いや、この時間で一人ひとりの感じたことを読んであたたかい気持ちになり、私のゲストにも夫のゲストにも、また会いたいと思った。
最後は手紙を受け取ってお見送りをした。
その時に「楽しかった!」という言葉を沢山いただいた。「私が幸せならみんな幸せ」を信じつつ、やっぱりゲストが楽しんでくれたことが1番嬉しかった。
26.写真撮影
kuppographyの大原さんに撮影していただいた。
これまでの記事で掲載したkuppographyの写真は、全て大原さんの撮影によるもの。
カメラの存在を感じない、みんなのそのままの表情が嬉しかった。
ドレスアップした私たちも自然体で、いつも通りの姿を残してくださったことが嬉しい。
iPhoneとSIGMA fpを両方手に構えてる写真に、私らしさを感じる。
27.その他
・招待状
前述の招待状は、ペーパーメッセージのイラスト×トレーシングペーパーの組み合わせがツボだった。かわいい。
シーリングスタンプは招待状作成を機に我が家に導入した。メルカリで偶然<YA>という私たちのイニシャルのスタンプを発見したので採用し、ワックスはゲスト一人ずつにイメージした色を選んだ。
切手はオリジナルを作り、風景印にもこだわりがあったので、大安の日に夫に指定の郵便局窓口から出してもらった。私たちの招待状で風景印というものを知った友人が、旅先から風景印を押した手紙をくれたのも嬉しい出来事だった。
返信の楽しさは葉書にあると思いきや、両方とも良かった。
葉書はポストに手書きの手紙が入っているというのがシンプルに嬉しい。中には、思い出のアイテムいっぱいのイラストを描いてくれる友人がいたり、大切なシールで彩って手渡ししてくれる友人がいたりと、想像以上の出来事が沢山あった。
WEB招待状の返信には思い出の写真を添付してくれるゲストが多く、その写真をきっかけに高校や大学時代の話を聞いたり、夫自身が思い出せないような写真もあったりした。
返信が届く期間は準備の中でも特に嬉しくて楽しい時間だった。
私も招待状の返信は、一層心を込めて作成しようと思う。
・お車代袋
お車代袋の用意にあたり、水引きで梅結びとのしを作れるようになった。
こちらもゲストごとにイメージした色で作った。
・やらなかったこと
こんな記事を書いてる割にやってないことが多い。
その分ゆっくりと手紙を考えたり、引出物に凝ったり、ペーパーアイテムに精を出したりと、本当にやりたいことに時間とお金を使えた。
あとがき
みんなが自身のタイミングで人生を祝うことが出来たら良いと思った。結婚した人だけが結婚式を挙げることに違和感を覚えたというか。この体験はきっと、結婚しなければ出来なかったんだろうなあと、選ばなかった人生の先にいる自分を想像した。
人生を祝う≒結婚式(いまの私の感覚)
婚姻関係やパートナーシップ制度を結ばなくても、ポリアモリーでも独身でも、ひとりの人生を祝う手段として、結婚式のような選択があったら素敵だなとぼんやり考えた。
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