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私と貧血と不定愁訴のはなし ~そして心療内科へ

パニックの発作が初めて起こったのはたぶん2018年頃。その当時の頻度は年に数回程度だったと思います。

その後2019年末の乳がん検診再検査の通知を受けてメンタルの状態は急激に悪化していました。

この頃の私は起きている間中「怖い」という意識に囚われ続け、主に自分の体調や感覚に対して過敏になっており、何か感じるたびに不安を覚えるようになっていました。

例えば動悸がするだけで「心臓が止まったらどうしよう」とか考えて怯える。呼吸がしづらい感じがして息ができなくて怖い。意識が遠くなる感じがして怖い。寝ようとすると息苦しさを感じて呼吸が止まりそうな気がして怖くて眠れない。などなど。

こうして振り返って書いていると、起こっていた身体症状はパニック発作のそれだったろうと思うし、些細なことにでも不安を感じて怖くなっていたのは全般性不安障害の症状だったろうと思います。

当時パニック発作を起こしているだろうという自覚はありましたが、不安を感じることに対して何かの病名がつくとは思っていませんでした。

そして、当時の私はネットで自分の症状を調べた際、どこかの記事で「不調の原因を自己判断せずに医師による診断を受け、問題が無いことを確認して初めて心理的なものを疑うこと」とあったので、それをくそまじめに守って心配な症状があるものについてはそれに対応した病院を受診するようにしていたのでした。

そういう理由があって、まず最初に訪れたのは循環器内科でした。
まずここに来たのは、一番心配な症状が動悸だったから。

病院に予約を取って訪れ、心電図と血液の検査をしてもらい、その結果、心肺機能に問題はないけれど、私は極度のかくれ貧血だろう、と言われました。

かくれ貧血とはなんぞや?と思って先生に聞いてみると、貧血には2種類あり、一般的に貧血と言われる際に調べられているのはヘモグロビンの値であり、かくれ貧血という場合は貯蔵鉄と呼ばれるフェリチンの値を見るのだそうで、私はこの値が極端に低いということでした。

この貯蔵鉄が足りなくなると何が起こるかと言うと、漠然とした不安に襲われる、動悸がしたり不安になったりする、いわゆる「不定愁訴」という症状が出てくるのだそうで、先生に渡された資料に書かれたフェリチン不足で起こるとされる身体的、精神的な症状のほぼ全てがその時の自分に当てはまっていました。

先生には「貧血を改善するところから始めましょう!必ず治りますよ!」と声をかけていただき、心細かった気持ちが和らいだのを覚えています。

また、貧血の話をされた際、そもそも自分は学生の頃の貧血検査から貧血と言われていたこと、半年程度前に月経不順の大量出血から極度の貧血を起こして鉄剤の注射で鉄分を補ったことがあることなどを話すと、先生からは貧血の改善のためには鉄が必要だけど、鉄剤は内臓を痛めるからサプリメントが良い、と説明を受け、その日は先生おすすめのサプリメントを購入して帰宅しました。

これで少しは良くなるだろうという期待があったのですが、まあしかし、貧血なんてそんな一朝一夕で改善するものではないんですよね。
そうは思うのですが、どうしてもやっぱり一日中ずっと恐怖に苛まれる状態が続くことが辛く、恐らくパニックの発作を起こしているだろう時に意識が飛びそうな感じがするのが怖くて、次に脳神経外科を受診しました。

診察の際に半年前にパニック発作を起こした時にかかった病院でCTの検査を受けて問題無いと言われていたことを話すと、先生は「半年でそんなに状態が変わるわけではないから、検査はしてもいいけど何も問題は無いと思うよ」と言われ、終了。
不安は募る一方でした。

その後も少しずつ症状は悪化し、乳がん検診の再検査の結果がグレーと言われる頃にはもう生きていることすら怖い(生きていたら死んでしまうから)という、人が聞いたら鼻で笑われそうなことですら真剣に怖くて悩むようになっていました。

その日も怖くて息を潜めるようにして過ごしていたのですが、その日は遠方に住む心療内科に通院中の友人と通話していて、その友人から、病院で話を聞いてもらうだけでも楽になることもあるよ、空いてるなら今からでも行ってきたら?と背中を押してもらったこともあって、ようやく心療内科を受診することにしたのでした。

診療時間終了間際の病院で、先生に症状を色々説明したような、何を話したか覚えていないけど、ひととおり聞き終わった先生は落ち着いた様子で「パニック障害と全般性不安障害ですね」と告げました。
そして「ありふれた病気ですから大丈夫ですよ」と続けました。

その瞬間、何かから解放された気がしました。
自分の不安や不調などが機能的な病気ではないのだと知れたこと、その症状に名前を付けてもらえたことに酷く安堵しました。
気付けばこみ上げた涙が零れ落ちていました。
感情的になったりすることはありませんでした。
私が何か伝えた言葉に、先生は大丈夫ですよ、ありふれた病気ですから、と繰り返しました。大丈夫なんだ、と専門の先生に言ってもらえたことで、ようやくほんの少しだけ大丈夫だと思えるようになりました。

この病気は薬ととても相性が良く、はやく治療を始めたほうがはやく回復すると教えてもらい、薬を処方してもらって帰りました。
この薬があればこの不安からも解放される。薬と相性の良い病気なのだからきっとすぐに良くなる。という期待がありました。

後日、貧血の件でお世話になっていた病院で先生に心療内科を受診して薬を処方してもらったことを伝えると、先生はとても残念そうにしていました。理由は教えてくれませんでした。

私としてはこの不安がなくなるなら薬に頼ってでも早く治したほうが良い、と当時思っていたのですが、あれから何年も経った今考えると、薬に頼らずとも改善させられる方法があって、薬に頼らない方が経過も良かったかもしれない、ということを先生は知っていたのかもしれないと思います。
はっきり聞かなかったのですべては憶測の域を出ないのだけど。

そんな感じで心療内科にかかってメンタルの薬を飲み始め、パニック発作と全般性不安障害の治療を始めたのですが、結果から言ってこの薬による治療、たぶん私には全然合ってなかった。

ここから約4年に渡る私と薬との戦いが始まってしまったのでした。

つづくよ。

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