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冬季鬱と感情との関係性

冬季鬱(季節性情動障害、SAD: Seasonal Affective Disorder)は、日照時間が短くなる秋から冬にかけて発症しやすくなる一種のうつ病です。特に豪雪地帯や日照時間の少ない地域で発症率が高いとされ、女性に多く見られます。これは40代の女性にとって特に重要な問題で、ジャーナリングなどの自己理解や感情ケアを行っている方にとっても大きな関心事です。
私自身、雪国に移住してその影響の大きさに驚いたものです。

精神医学の見解によると、SADは日照不足による体内時計の乱れやセロトニン、メラトニンといった脳内物質の変動が原因とされています。セロトニンは気分を安定させる役割を担い、日光を浴びることで活性化されるのですが、冬季の間はその分泌が減少し、気分が沈みやすくなるのです。さらに、メラトニンという睡眠ホルモンの過剰分泌により、疲労感や無気力感が増し、活動的でなくなる傾向があります。


冬季鬱と感情の関係

心理療法の視点から見ると、冬季鬱は感情との深い関係性があります。感情ケアの中で特に注目すべきは、悲しみ無気力、そして孤独感です。これらの感情が鬱状態を悪化させ、生活の質に大きな影響を与えることが分かっています。ジャーナリングを実践している方には、これからの季節、特にこれらの感情に対する自覚と適切なケアが非常に重要です。

  1. 悲しみ: 冬季鬱においては、冬の暗さや孤立感が心の中に深い悲しみをもたらすことがあります。自分の感情に対する無意識的な抵抗や、悲しみを感じたくないという気持ちが、鬱の進行を助長することがあります。この感情に対する適切なケアとしては、ジャーナリングを使い、自分が感じている悲しみを言語化することが有効です。

  2. 無気力: 冬季鬱では、特に無気力感が強くなる傾向があります。これは、日照不足によるセロトニンの減少や、寒さによって外出する気力が失われるためです。無気力感に向き合う際には、少しずつ身体を動かし、日常生活にリズムを取り戻すことが推奨されています。ジャーナリングでは、「今日、自分がどのように動き、少しでも前向きになれたか」という問いを通して、無気力に対処するプロセスを記録することが役立ちます。

  3. 孤独感: 冬季は人との接触が減りがちであり、孤独感が増すことがあります。孤独感は鬱の発症や悪化につながる感情であり、特に豪雪地帯に住む人々にとっては、雪に閉ざされた環境がその感情を一層強めることがあります。ジャーナリングを通して孤独感を言葉にすることが、その感情を解放し、新しいつながりを見つけるための第一歩となります。

豪雪地帯における雪の「白色」の心理的影響

冬季鬱に関するもう一つの重要な視点は、豪雪地帯で見られる雪の白色が人々の心理に与える影響です。白という色は、一般的には「純粋さ」や「静けさ」を象徴するものとして捉えられますが、雪景色が続く冬の間、長期間にわたって白い景色を見続けることは、心理的にマイナスの影響を与えることもあります。

豪雪地帯では、無限に続く白い雪景色が一種の「閉塞感」を生み出し、無気力感や孤独感を助長することがあります。この閉塞感は、視覚的な刺激が少ないことに起因し、外部からの新しいインプットが減少することで、精神的な停滞を引き起こします。また、白い雪の反射による強い光が目に負担をかけ、心理的な疲労感を増幅することもあるのです。スノースポーツを楽しむ人たちにとって、この光の強さによる目の負担はよく理解してもらえるのではないでしょうか。

この雪の白さがネガティブに働く一方、もちろんプラスの側面もあります。白はまた「リセット」や「再生」を象徴する色でもあり、感情的な浄化や新しいスタートを意味することもあります。雪に覆われた大地は、春を待つ準備をしているように、冬の間に心をリセットし、次の季節に向けてエネルギーを蓄える時間と考えることもできます。

冬季鬱対策における雪のプラス効果

興味深いことに、ある研究では、雪の白色が人間の心に与えるリフレッシュ効果も指摘されています。雪に覆われた景色を眺めることが、注意回復理論(Attention Restoration Theory)の観点からも、脳をリフレッシュさせ、疲れた認知機能を回復させるというデータがあります。この理論によると、自然環境に触れることは、日常生活の中で失われた集中力や注意力を回復させる効果があり、特に雪景色のように一貫したパターンを持つ風景は、脳をリセットするのに効果的だと言われています。

また、雪景色を楽しむためのアクティビティ、例えばスノーシューイング雪中散歩といった軽い運動を取り入れることで、身体を動かしながら心の中の緊張を和らげる効果があります。運動はセロトニンの分泌を促進するため、冬季鬱の対策として非常に効果的です。

雪の中を「淡々と歩く」という行為は、とても瞑想的です。個人的には他の季節より、冬の散歩の方がより心がクリアになります。私のように、雪の白さをプラスに感じられる人にとっては「浄化の時間」としてより深く自分と向き合えるでしょう。

冬季鬱対策としての感情ケアとジャーナリングの活用

感情ケアの視点から言えば、冬季鬱を防ぐためには、日常的に自分の感情と向き合い、それを外に表現することが不可欠です。ジャーナリングはそのための強力なツールですが、毎日感じたことを記録し、冬の間に特に現れる感情に対して自覚的になることで、鬱の兆候を早期に察知し対策を講じることができます。

ジャーナリングを行う際には、以下のような質問を用いることが役立ちます。

  • 今日、どのような感情が特に強く現れたか?

  • 雪景色を見て感じたことは?

  • 体調や気分にどのような変化があったか?

  • 自分の感情をリフレッシュさせるためにできることは何か?

鬱的な気持ちは、知らず知らずのうちに自分を侵していたりします。
何気ない質問ですが、意識的に日々これらの問いをしてみることで、スルーしてしまいがちな「日々の感情の流れ」を追跡することができ、自分のパターンや感情のリズムを知ることができ、そうすることの積み重ねで自己理解を深めていくことができます。

慣れないうちは義務感が伴うかもしれませんが、一つの「お気に入りの言葉(セリフ)」からでも良いので、継続的に前向きなアファメーションを取り入れることで、ネガティブな感情の波を乗り越えやすくなります。


最後に

冬季鬱は、特に豪雪地帯に暮らす人々が経験する感情的な課題ですが、ジャーナリングや日常生活の工夫を通じて事前に対策することが可能です。

冬という響きだけで、また、雪の白さや体感による「寒さ」から閉塞感を感じるだけでなく、雪国の「白」を感じられる地方にお住まいの方は、その視覚的なリフレッシュ効果を活かす方法を取り入れることで、冬の間も自分の感情に丁寧に向き合い、心の健康を保つことができます。

日々の感情に敏感であり、必要に応じて温かく感情ケアを行うことで、冬季鬱を軽減し、心豊かな冬を過ごすための一歩を踏み出しましょう。

季節はもうすぐ11月。
冬に向けて少しずつ、こころの感情ケアと身体の体調ケア、十分にしていきましょうね。

今回も最後まで読んでくださり、
どうもありがとうございます。


今後、母子共に「自分らしい幸せ」を諦めず、希望をもって生きていけるための具体的なサポート活動を拡げていきます。そのための活動資金にしますので、ぜひお気持ちいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします。