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MVに欲情する人達


 
 YouTubeで好きな音楽を聴いていた時のことだ。
 気だるげでシニカルなアニメーションmvと落ち着きのある曲調の中、過激な言葉選びがたまらないアーティストがいた。
 新曲の余韻に浸りながら、考察や感想を聞こうとコメント欄を覗こうと思い、1番上のコメントを見る。
 
 『MVの男の人がえっち』

 思わず目を閉じた。
 不愉快だった。ひとえに気持ち悪かった。
 1番上に来るべきコメントではない。
 返信欄も地獄みたいだった。怖いもの見たさにどんな話をしているかが気になって開いたことを後悔した。
 その不愉快なコメントに賛同するように、あたかも自分たちだけが見えているかのように下品な話で盛り上がり、群れているのが気持ち悪かった。
 
 嫌ならば見なければいい。
 
 その通りだ。特に返信欄は嫌な予感がすれな避けられる。
 しかし、1番上に性欲丸出しのコメントがあるのは避けられない。コメント欄を開かずとも1番上のものは見えてしまう。
 公然の場所で壁にあるイラストを見てでかい声でえっちだなんて叫ぶヤツはいない。
 
 なぜえっち、なんだろうか。
 もう少し抑えて色気がある、とは言えないのだろうか。
 その言葉を下品とは一切思っていないのだろうか。感情の共有だと思っているのだろうか。

 
 また、別の曲の話だ。
 
 mvと歌の主人公は、もしかしたら男の娘かもしれない、というような考察がコメント欄にあった時の話だ。
 
 興味深い考察だな、と思った。
 が、その返信欄の方向性は全速力で性的な話へ向かっていた。骨格がどうのとか、このシーンでは谷間に見えるから女の子だの、いやこの絵師さんならそういうことやりかねない、などの議論ばかりが拡がっていた。
 楽しみ方はそれぞれだ。それぞれだが、そんな1秒ほどの一瞬のシルエットに齧り付いてまで骨格の話ばかりをすることに違和感がある。

 今回の歌は性の話を歌っているわけではない。
 勿論エロティックでカッコイイ歌やmvは沢山あって、自分だって聴く。その時はうわ、えっちな歌詞だとか思う。
 そうは思うが、なぜmvがアニメーションで、闇っけのある男性だと高確率で性的な話になるのだろうか。
 なぜ男の娘だと性的な方向に走るのだろうか。
 歌や絵を性的な消費物だと見ているのだろうか。
 その話ばかりで盛り上がるのはなぜなのだろか。

 感情をシェアする場所だからこそ、ダイレクトな言葉が映えているのだろうか。

 それ以外の感想も沢山ある。むしろそちらの方が多い。
 でも、アニメーションmvに出てくる男の人に対しての性的な発言が目立つなと最近感じる。

 気にし過ぎであってほしい。
 
 
 
 

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