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還暦は親に感謝を伝えるとき
私は今年還暦を迎える。
還暦は60を迎えたことを祝ってもらうのではなく、60まで無事過ごすことができたことを感謝をする節目の年だと思う。
以前、父の1周忌と私の還暦祝いを同時に開催し、皆に感謝の気持ちを伝えたいと書いた。
そして、今は、自分の成長記録をアルバムにして、母にプレゼントしたいと思っている。
村上春樹が『猫を棄てる 父親について語るとき』の中で、こんなことを書いている。
我々は、広大な大地に向けて降る膨大な数の雨粒の、名もなき一滴に過ぎない。固有ではあるけれど、交換可能な一滴だ。しかし、その一滴の雨水には、一滴の雨水なりの思いがある。一滴の雨水の歴史があり、それを受け継いでいくという一滴の雨水の責務がある。我々は、それを忘れてはならないだろう。たとえそれがどこかにあっさりと吸い込まれ、個体としての輪郭を失い、集合的な何かに置き換えられて消えていくのだとしても。いや、むしろこう言うべきなのだろう。それが集合的な何かに置き換えられていくからこそ、と。
母から受け継いだ思いが、60年の時を経て、今の私に結実している。
そのことを、母と共に紡いだ歴史として、アルバムにまとめたい。
そして、母とともに、アルバムのページを捲りながら、60年の歴史を振り返りたいと思う。