病院で管理されている食事のカロリーと栄養素は適切なのか?
皆さんは、管理栄養士が管理した食事についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
適切な食事。
栄養素が適切。
健康になりそう。
やせられそう。
おいしそう。(これは珍しいイメージ)
このようなイメージではないかな。
実際に、管理栄養士は、ヒトの生理学を理解し適切な食事管理を得意とする。
しかし、管理栄養士個人でみてみると、ピンキリである。
栄養学の知識などほとんど持っていない管理栄養士が多いことも事実である。
ここからが本題。
最近、知人が手術のため1週間、入院をしていた。手術は、重い病気ではなかった。
知人は、私が管理栄養士であることから、「入院している病院の食事はおいしい」と連絡がきた。
よくよく話を聞くと、常食の1900kcalであることが分かった。
知人は、50代男性。身長180cm、体重75kg。毎日ランニングをしており、週末にはロードバイクで山を登るアスリートである。
この知人に1900kcalは、少なくはないか?と感じてしまった。
そこで、私と学生で知人の必要エネルギー量を算出してみた。
一日に必要なエネルギー量は、
基礎代謝量(呼吸や代謝に必要な最低限のエネルギー量)×活動係数(活動のために必要な係数)×ストレス係数(治療に必要な係数)で算出することができる。
基礎代謝量は、Harris-Benedictの式を使用した。
活動係数は、ベッド上安静の1.2
ストレス係数は、手術(中等度)の1.3を使用した。
まず、適切な体重を検討する。
現体重は、75kg。BIMを算出すると23.1であるため、適切な体重の範囲内である。
BMIが22の時の体重は、71.3kgである。
現体重は適切な体重であるため、この体重を使用する。
では、基礎代謝量を算出する。
身長、体重、年齢、性別から算出すると基礎代謝量は、約1650kcalであった。
では、そこに活動係数とストレス係数をかけて、一日に必要なエネルギー量を算出する。
1650×1.2×1.3=2574kcal
私と学生で算出したエネルギー量は約2600kcalであった。
実際に病院で提供された食事は1900kcalである。
約700kcalの差があった。
これはどちらが正しいのであるか。これについては証明をするのが難しい。
ちなみに人の体重が1キロ減るのは、7000kcalと言われている。
私たちが算出したエネルギー量と病院で提供されたエネルギー量の差が700kcalであるため、10日で1キロ体重が増減する可能性がある。
アカデミックの話ではないが、入院すると体重が落ち、体力が落ちてしまうという話をよく耳にする。
これは、病気の問題だけではなく、患者に対して適切なエネルギーを与えることができないのではないか、とも推測することができる。
ちなみに知人は、食事が足りないと管理栄養士に聞いてみたようだが、ご飯が増えることはなかったようである。