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遠洋マグロ漁船で捕獲される魚たち

もちろん遠洋マグロ漁船の目的はマグロを数多く捕獲することです。しかし、釣りをする方、特に海釣りをする方はお分かりだと思いますが、海では狙った魚だけが釣れるというわけでもないんです。

この記事では、僕が働いていた遠洋マグロ漁船でどのような魚たちが捕獲されていたか、さらにそれにまつわる秘密をご紹介します。

 


1 メバチマグロ


僕が働いていた漁船は大西洋の赤道からやや南で操業していたので、捕獲されるマグロはメバチマグロという種類でした。

本マグロやミナミマグロ、インドマグロよりも安価な種類です。キハダマグロよりは高価です。日本の食卓へ上がる一般的なものはメバチマグロが多いです。

メバチマグロの名前の由来は他の種類のマグロよりも目が大きくまん丸だからだそうです(先輩漁師談)。体長の平均は1m50~60cmメートル、体重の平均は70~80㎏。大きいものは2m以上、120㎏以上ありました。

捕獲した時に生きているメバチマグロもいるんですが、たまに10㎏くらいの子どものメバチマグロが釣れる時ありました。とてもかわいいんです。赤ちゃんみたいで。そんな時は、「大きくなってまたエサを釣られてくれよ。また会おうな」と言って釣り針を取ってやり、海へ返しました。
 
 

2 マグロ以外の魚たち


エサはマグロ用に準備したイワシ、イカ、アジなどを釣り針に付けるのですが、実際はマグロ以外に様々な魚が釣れました。

その魚たちは、
 
シイラ:アフリカに上陸した際においしいパイナップルと交換
 
太刀魚:捨てます
 
メカジキ:三枚におろします
 
バショウカジキ:船上に上げると角を振り回して暴れます⚠
 
マンボウ:商品にはしませんが、船員で食します
 
ウミガメ:逃がしてあげます
 
シマガツオ:アフリカに上陸した際においしいパイナップルと交換
 
マンタ:別名イトマキエイ。暴れることによりテグスをグルグル巻きに 

アオザメ:メバチマグロの次に多く釣れました
 
シュモクザメ:ハンマーヘッドと呼ばれていました
  (サメについては「3 秘密の収益」でお話します)
 
名前のわからない深海魚:水圧の変化で大きな目玉が飛び出してきました

などです。

僕が働き始めのころは、様々な魚が釣れて、興奮したのを覚えています。自分よりも大きな魚が次々と釣れるので。

また、遠洋マグロ漁船で働いているとイルカをよく見かけます。イルカは仕掛けにはかからないんです。なぜなら、エサには釣り針が付いていて、危険だということが分かっているそうです。頭がいいんですね。

ちなみにシャチも釣れません。シャチはマグロ漁師の天敵です。なぜならば、延縄漁の仕掛けにかかって、逃げられなくなったマグロをシャチは集団で襲い、マグロの頭だけを残して食べてしまうんです。しかも何十匹ものマグロを。なぜマグロの頭だけをシャチが残すかは、お分かりですね。シャチは仕掛けにかかったマグロの頭まで食べてしまうと、自分が釣り針にかかることを知っているんです。誰に聞いたんだか…
 
 

3 秘密の収益


このことは、本当は語らない方が良いことかもしれませんが、ここまで読んでくださった方々は、漁業や魚、釣りに興味がある方が多いと思いますので、こっそりお教えします。

遠洋マグロ漁船の秘密の収益とは、

サメのヒレです。フカヒレのもとですね。
 
実際、僕が働いていた船ではメバチマグロの次に釣れるのがサメでした。

次々と船上にサメを上げます。まず、包丁を使って、頭の神経が多い部分に切れ込みを入れます。すると動きが制御されます。

動きが落ち着いたら、サメの口に引っかかっている釣り針を取り除きます。口をパクパクさせているので大変危険です(僕の右手中指にはその時にサメの歯で切ったキズが今でもあります)。

そして、背ビレ、尾ビレ、胸ビレを切り取ります。とったヒレは5日ぐらい天日干しにして完全に水分を取り、こっそり隠していました。

それらがどのように買い取られたのかは、僕には知らされませんでした。
 


最後まで僕の記事を読んでいただき、誠にありがとうございました。

本日は僕が遠洋マグロ漁船で働いていた時に実際に釣られていた魚たちを紹介しました。

もし、このような魚たちに直で会いたいのであれば、遠洋マグロ漁船で働くことも選択肢の一つかもしれませんよ(笑)

それでは、また。
ありがとうございました🐟




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