「オタク」から『アニメ先生』の仕事につながった学び【アニメ先生Yuukiの生き方④】 #お仕事図鑑(Podcast配信中)
【前回までのあらすじ】
アニメオタクでコミュ障で、繊細すぎて就活に落ちまくり。そんな自分とは対照的に豪快な父が突然すすめた留学。ここぞと一念発起で「誰も自分を知らない地」で「バカを演じ」て「コミュ力の修行」を決意。バンクーバーのOTAKU達に「頼もーーう」と突撃し、見事に友人を得て自分の心のカラを破り始めた、ゆうきさん。「誰かを楽しませたい」そんな気持ちが人と繋がる鍵だった。その鍵は転勤族だった頃に得た様子。他にもどんな学びがあったのだろう。
アニメ先生 ゆうき(Yuuki)
オタクが仕事になる学び
会話も佳境に入り、ゆうきさんの人生が見え始めていたが、少し学業の目線で気になることがあった。
ー バンクーバーでモンハンする時に「粉塵まいて」の例文はどこにもないと思いますけど、どう学びましたか?
「それはですね。やっぱ好きなことはどんな手を使っても調べようとしますね」
やっぱりイタズラっぽく笑いながら答えてくれた。
「答えなんてgoogle先生が知ってるんです。それまではなんか言い訳してやらなかったけど、まず[粉塵 英語]とか調べて、そこから自分で1番良さそうな単語を考えて、それをどんどん単語帳に書いてっていう繰り返しですね」
ー 自分で単語帳作った?
「そうですね、やっぱ興味さえあれば、やる気さえあれば、もう教材なくてもできちゃいますよね」
「なので、好きなもの。僕の場合はアニメ。アニメ漫画で、既に見てたものを向こうの図書館とかで英語で読んでました。例えば、デスノートとか。めっちゃ難しいけど、時間をかけて読んでました」
すごい。ゆうきさんは今、実際にアニメ漫画を活用して外国人には日本語を、日本人には英語を教える仕事をしている。
ーでもそれができるって小中学校、高校、成績とかどうですか?
「正直良かったです。でも高校から落ちました。高校の偏差値が割と高いところに入れて。小中までほんとに何もしなくてもよかったから、高校でツケが回ってきました」
ー小中のころは、なんで勉強できたんでしょうか
「自分もよくわかってないです。でも、よく文字を読んでました。本はね、読まずに、漫画ばっか。でも、小さい頃、母とドライブしてると、そこら辺の字とか、漢字とか、とりあえず読んでたらしいです。何何クリニックみたいな」
「文字への興味があったのかな。作文とかも割と好きだったし」
ー本は読まないけど、作文は好き。興味深いですね
「そうですね。読むのは飽きちゃうけど、板書を書いたり、議事録組み立てとか、 結構苦なくできますね。インプットよりも、アウトプットの方が好きかもしれないです」
ー でもけっこう本読んでますよね。
「最近は、ですね。学生時代は圧倒的にアニメのインプットが多かったですね」
「よくないのかもと思いますけど。僕にとってはアニメは現実逃避の格好の場だったんです。いじめられた時とかもあるから。アニメには色んな世界観があって、そこから脱却できてた。だから、アニメを見てましたね。中学、高校、大学、 今まで1500作品ぐらい見ました」
1500作品の中からのおすすめ
ー1500。数で見るとすごいですね。1番アイデンティーになってるアニメはありますか?
「中学2年の頃に見た、『げんしけん』っていう作品があります。現代視覚文化研究会っていう大学のアニメサークルのオタク部員たちをテーマにしたアニメ。その舞台が実は、中央大学なんですよ。僕、中央大学卒業なんです。 だいぶ影響を受けてますね」
「オタクの生活とかもそれを読んで。めちゃめちゃいい、楽しそうって思って進学しました。」
ー大学に行かせるほど。おもしろそうですね。今の若者たちに勧めるものはありますか?
「とりあえず『ヴァイオレットエバーガーデン』ですね」
「優しくなれる」
さすがアニメ先生あらすじの語りに熱が入る。
「元々戦争で兵士だった孤児のヴァイオレットに戦争後、代筆屋の仕事が与えられるんですよね。でも代筆屋さんってただ文字を書くだけではなくて、その人の心の奥にある、本当の気持ちっていうのをすくい上げないといけない」
「けど戦争孤児のヴァイオレットちゃんには最初、人の気持ちがわからない。そのバイオレットちゃんの変化が段々ね、怒りとは悲しみとは、喜びとは、愛とはって学んでいく。おじさん嬉しいよって泣いちゃうよね」
私も大好きな作品。もう全ジャパニーズ、全人類に見てほしい。京アニ様様で映像の美しさは折り紙付き。
「あとは最近はまったサッカー漫画『アオアシ』。スポコンではなく、理論に基づいた漫画ですね。勘に頼った天才的な主人公が壁にぶつかりながら自分のプレー1個1個の意味を考えて、言語化して、再現できるように、頭で考えてプレーするようになっていく」
「とても論理的です。これは学生だけじゃなくて、社会人が見てもすごい参考になります」
私も大好き。
ー 主人公もいいけど福田監督の姿、目線、押すとこ引くとこ、注目しちゃいますよね。
「そう、つい教育者として教えたくなっちゃう。でも、あえて言わずに自分で答えを見つけさせるっていうところ、慧眼。勉強になりますよね」
点と線をつなげる
ー いいですね、すごい面白かった。まとめてみたいですね。ターニングポイントがどの辺にあって、今に繋がるのか。点と線を繋げていく感じで。
「いいですね」
「そうですね、まずは留学が1番大きい点ですね」
「その前は引っ越し族で、自分の環境がよく変わるっていう点。その中で自分のことを忘れてほしくないって気持ちが生まれて。だから、ちょっと変わったプレゼントを考えた。そこも今考えたら納得ですね。今も忘れられたくない気持ちもあって、サプライズ、相手を喜ばせるっていう点の繰り返し」
「部活での色々な責任や、でもネガティブなそそっかしい点も合わせて。 その辺で自分のコミュニケーション能力が少し下がってるのかな。それでもコミュニケーション能力をなんとかしたいと思って、留学した」
「それで自分のオタクっていうアイデンティティが全然恥ずかしいものじゃないし、自分がオタクだったから英会話もできるようになった。じゃあ今度はそれを海外のオタク、日本のオタク、他のオタクに対して還元したいっていう思いが今後の点に繋がっていく」
「カウンセリング完了ですね(笑)」
今コミュニケーションが苦手で悩んでいる人。もしかしたら大人でも参考になる経験だったと思う。
最初の「旅の恥は書き捨て」に始まり、「頼もーーーう」と思い切った新天地。留学。非常識な行動に見えでも「誰かを喜ばせたい」の気持ちが根底にあるから、全部綺麗にまとまった気がした。
その気持ちはゆうきさんが今までで得てきた経験や、大切なアニメ漫画、OTAKUカルチャーによって形作られていたったのかもしれない。
そして、ゆうきさんがカラに気づいたり、カラを破るきっかけは、意外にも自分自身ではなく恩師の先生や豪快な父からもたらされていた。
ー 今悩んでる子たちにも脱するための機会を作り出すことは大事そうですね
「本当にそうですね。僕もそうですが、自分で気づけてないことも多いです。周りがきっかけを提供してくれたのもよかったと思います」
ここまでがお仕事図鑑、記念すべき第1回。
まだまだ聞く内容が定まっていない中でのテスト回でした。
それでも誰かが生きてきた軌跡は興しろく。
きっと同じような経験をしている人、したい人の役に立つだろうと感じています。
感想要望等もNoteのコメント、TwitterのDM、おおすみのHP等からお待ちしています。
このあと
第2回 教育系フリーランス おおすみ
第3回 あいにく囲碁講師 つかさ
第4回 旅する占い師 ゆきな
第5回 旅するライター/コーチング misaki
が予定されています。
Noteの更新は追いつかないかもしれませんが、Podcastが随時更新されていくのでぜひチェックください。