詩「雪の泥」 colony vol.6展示作品
雪の泥
はじめてみたとき
そこだけ透明みたいだった
輪郭が白く光って
身体から雪が生まれているようで
あなたが立つ雪原には足跡ひとつなく
そこは誰も踏み入れたことのない場所
わたしはあなたに触れたかった
冷たいのか温かいのか確かめたかった
一人きりで生まれて育ったような姿で
けれど器用に音楽を口ずさむから
最初からこの世界の暗号を知っているみたい
わたしはあなたを知りたかった
暗号の文字を入れ替えて全く違う意味にさせる
わたしにだけわかる言葉であなたのことを教えて
凍えている薄い肌に手を添えたら
あなたは驚きながらわたしを見る
周りの空気が一つに固まって、崩れた
あなたが降らせる雪はわたしに積もって
あっという間に溶けてしまう
あなたを輝かせる白い粒が
わたしの熱で見えなくなる
振り向けば雪原はわたしの足跡がつき
土と雪が混ざり合う
いつしかあなたの発光は止んで
互いの息で呼吸していた
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