本に救われてきたからこそ
本に救われてきた人生だったと思う。人に相談できず悲しい寂しい辛いと表現することが苦手で。そんな姿をどこか俯瞰で見ていて。何よりマイナスな感情表現をしている自分がたまらなく許せなかった。
そもそも相談するというオプションが私にはなかった。そんな時にいつも頼りにしていたのが本で、私にとって本はずっと酸素のような存在だった。
本を好きになるきっかけ
おじいちゃんが図書カードをよくくれた。町の小さな書店に行くようになった。そこで本や漫画をたくさん買った。
すると小学生になる頃には、しっかり本が好きな子どもに育っていた。図書館に行くのが好きだった。国語の授業がいちばん好きだった。
中学・高校は部活にのめり込んだ。もともとかなり負けず嫌いな性格で、せっかく練習するならうまくなりたかった。レギュラーになりたかったし、試合にも勝ちたかった。何もかもに負けたくなかった。だから生活の優先順位の一番は部活で、本を読む時間はなかった。でもテスト前に勉強のため通っていた図書館で流れる時間や、国語の授業だけは相変わらず好きだった。
本を取り戻す
大学生になると何かを取り戻すかのように本を読み始めた。本が好きであったことをこのときにやっと思い出した。大人になっていく過程の中で、悩んだときや困ったときにいつも本に頼ってきた。
社会人になるとますます本を読むようになった。初めて一人暮らしした部屋には本を敷き詰めるようになった。そこは自分だけの空間でゆっくり息をできる場所だった。
たくさんの本を見ていると安心した。その頃の私はたびたび息ができなかったから。日常の中で息継ぎをする場所がなかったから。だからいつも本の世界に逃げ込んでいた。本の世界に逃げることで現実世界から目を逸らし、かろうじて日常を生きてきた。あの頃の私のそばに本があって良かったと心の底から思う。
最後に
私は本に、そして言葉に救われてきた人種だと思う。言葉を見て感情を動かすことができたから今ここにいる。本を読むことが好きでよかった。これからの人生をかけても読みきれない本があると思うと、私はいつも安心する。