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眠れる美女の見る夢

「いく!」「いく!」と大きく叫んで、
私の下でもがいていたあなたが急に静かになって、
本当にいってしまったから、
私はそこで腰の動きを止めて、
あなたの顔を眺めている。

男に抱かれていってしまった女の寝顔ほど、
美しく見える時はなく、
それを見ることができるのも、
女をいかせた張本人の男だけの特権。

今あなたはどんな夢を見ているのだろう。
どんなに短い眠りでも人は夢を見るから、
いってしまったあなたも今何か夢を見ているはず。

とっても幸せな夢が、
たった今までされていた淫らな夢なのか。
それとも全然普通に夢なのだろうか。

眠れる美女の見る夢。

額は汗に濡れ、
髪はボサボサに乱れ、
眉間には少し皺がより、
まだ苦しそうな表情を見せたまま、
閉じられた瞼の奥で、
今、あなたが見ている夢を想像する。

眠れる美女を目覚めさせられるのは、
愛しい男のくちづけのみ。

しばらくあなたの顔を見つめた後で、
私はあなたの半分開いたままの唇にキスをする。

するとあなたはすぐに目が覚めて、
私を見上げながら、複雑な笑顔を見せる。

自分をこんなに感じさせて、
自分をこんなに乱れさせて、
自分をこんなにいかせてしまって、

私を恨めしく見上げてくる。

あなたがたった今まで見ていた夢は、
私の今のキスで、
あなたはすっかり忘れてしまい、

またもう一度夢を見させてと、
私の背中に両腕を絡ませてくる。

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