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雲と風とのありてこそ月と花とは尊けれ」

桜もすっかり散り、
風に舞っていた桜の花びらも消え、
青葉の季節がやってきた。

しかし穏やかな季節のはずが、
急な寒の戻りもあり、
春の嵐も襲ってくる。

このような春の嵐は、
恋心を持つものにはいささか落ち着かず、
寒暖差に体が合わないように、
恋の熱さを上手に抑え込めない時もある。

「雲のかかるは月のため、
風のちらすは花のため、
雲と風とのありてこそ月と花とは尊けれ」
(熊沢蕃山)

月は雲がかかり隠され、
花は風に散り舞うからこそ、
さらにいっそうその美しさを引き立てる。
雲と風があるからこそ、
月と花のその美しさが際立ち、その尊さが増す。

雲のかからない満月や
風に散らない桜よりも、
その情緒はずっと深く濃い。

私があなたを抱きしめてその服を脱がしながら
しどけない姿になったときに垣間見える素肌や、
あなたが日常の姿からまさに女に変身を遂げる時の心にも似て。

だから私があなたのために、
あなたの裸体を隠す雲となり、
あなたの理性を吹き飛ばす風となり、
あなたの美しさを尊いほどまでに引き立たせよう。

それまでのしばらくの間、
お互いに月と花を愛でながら、
お互いを想いつつ酒を飲みながら時を過ごしていよう。

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