本を読もう!(6)
『〈個〉からはじめる生命論 』
加藤秀一 (NHKブックス)
『 魚は痛みを感じるか? 』
ヴィクトリア・ブレイスウェイト
高橋洋 (訳) (紀伊國屋書店)
『はじめて学ぶ生命倫理
「いのち」は誰が決めるのか』
小林亜津子 (ちくまプリマー新書)
『〈個〉からはじめる生命論』は、先日ご紹介した『フランケンシュタイン』に通じるテーマも扱われています。
将来に期待と不安を抱きつつ人生の意味を懸命に模索している最中の若い感性でもって、一度と言わず何度でも読み返してもらいたい内容に溢れた著作です。
『魚は痛みを感じるか?』のような動物や植物の「感覚」・「五感」を扱う著作は、海外の研究者のものが多いように感じます。
生物の進化に関しては、医学部受験生の方々はもちろんのこと、文理さまざまな生徒の皆さんに、ある一定の時間をさいて考察してほしい根源的なテーマです。
当システムnoteに、これは、と思う生物学系の著作を随時掲載しますので、お読みいただければ嬉しい限りです。
『はじめて学ぶ生命倫理』という著書を読んで最初に強く思ったのは、この新書が学生向けであることも関係しているかと思いますが、まず「勉強」の再定義をしなければならない、ということです。
勉強は受験のためのみならず、人間が最も真摯に追求していかなければならない「倫理観」というものに対して、人生の早いうちから真剣に向き合い獲得するために必要な手段です。
特に医学部を目指す生徒さんには、病気やケガで心身ともに傷ついている患者さんや、不安や心配で押し潰されそうになっている患者さんの家族等にどれだけ寄り添えるかということを、高い倫理観をもって常に自問し、誰に対しても自然に優しく振る舞える人格の優れた医師になってほしい、と常に強く願っていることを重ねて強調しておきたいと思います。そしてそれは私がZ会添削講師だった大学時代から一貫してまったく変わらない思いです。