【TXT】Heaven 歌詞の和訳と詩の解釈
MOAへのラブレターのような幸せアルバム『STAR CHAPTER: SANCTUARY』。アルバムプレビューでの「You make it, you make it feel like heaven~♪」のフレーズ&メロディからもう、「Heaven」はトキメキの予感しかなかったですね。作詞者にはヨンジュン、テヒョン、スビンの3人が名を連らね、ヨンジュンは一番お気に入りの曲だともウィバースでコメントしていましたね。
浮遊感のあるイントロとアンニュイな「ヘ~ヴン♪」で始まる歌声は、コンセプト「ANGEL」のおうちデートでキュートな寝起き姿を魅せてくれたヨンジュンらの姿も重なり、包みこまれるようにスイートな世界へ溶けていきます。 ※和訳は例によって意訳ありです。ご了承くださいませ。
Heaven
Produced: Johnny Goldstein, Slow Rabbit
Songwriting: Johnny Goldstein, JBACH, Sean Douglas, Slow Rabbit, YEONJUN, 4계절(153/Joombas), Ellie Suh (153/Joombas), TAEHYUN, 이이진, 조윤경, SOOBIN, danke, 이스란, 정진우
THE STAR CHAPTER: SANCTUARY 収録(2024.11)
天国さ
眠っていた星明かりが目を覚ます
パラダイスはもう遠くない
キスした瞬間
君は、君は、
君はまるで…
ほら、目覚めた星明かりに包まれながら
君とのキスで夢中になるよ
約束の始まりで出会った魔法に
かけられたんだ
ねぇ、一体どんなことしたんだい
あぁ、天国はなかった、悲しい歌さ
君との出会いで癒やされて
そばに来てギュッと抱きしめられたら
君は、君は、
君はまるで…
天国さ
眠っていた星明かりが目を覚ます
パラダイスはもう遠くない
キスしたその瞬間
君は、君は、
君はまるで…
天国さ
1から10まで君は満点以上
君さえいれば、そこは天国
僕の天使は毎晩
君は、君は、
君はまるで…
僕にパラダイスはずっと遠かった
今じゃ白い雲の上を歩いているみたい
たぶん、君だけが使える魔法に
かけられたんだ
ねぇ、一体どんなことしたんだい
あぁ、あふれ出すよ、ラブソングが
君と出会って、世界のぬくもり感じるんだ
ギュッと抱きしめて、初めて会った日の約束のように
君は、君は
君はまるで…
天国さ
かまわないさ、そこがどこだって
パラダイスはもう遠くない
出会った瞬間
君は、君は、
君はまるで…
天国さ
1から10まで君は満点以上
君さえいれば、そこは天国
僕の天使は毎晩
君は、君は、
君はまるで…
天国さ
目を覚ました星明かり・約束のはじまりとは
リリース前、アルバムのコンセプトティザーには懐かしの「Nap of a star」(デビューアルバム 『DREAM CHAPTER: STAR』収録)MVを思わせる5つの分かれ道や機械仕掛けの星が描かれていたことが話題を呼びましたね。
↑THE STAR CHAPTER: SANCTUARY Concept Teaser
HEAVEN の歌詞をひもといていくと、「Nap of a star」 のほか「Magic Island」や「샴푸의 요정(シャンプーの妖精)」などなど、過去の曲からも印象的なフレーズが散りばめられているように思います。
そのひとつが「~星明かりが目を覚ます/~目覚めた星明かり」。トゥバの物語全体のなかで重要なキーワードになっている星がどんな意味を持つのかは、「Dreamer」の歌詞から、自分の運命や夢、その夢を共に語り共に歩む友のことではと以前に書きました。
そして今回のアルバムイントロダクションには、こんなモノローグが。
そこからは、星はMOAのことも指していたんだなとうれしくなります。
そして”星明かりが目を覚ました”というのは、「Farewell Neverland」(『THE NAME CHAPTER: TEMPTATION』収録)から 次のアルバム『THE NAME CHAPTER: FREEFALL』を経て、少年たちが傷心やさまざまな不安により逃げていたから現実とやっと向き合い、前に進むことを決意し、夢や運命が動き出して仲間やモアとの再会を果たしたことや、前作『MINISODE3: TOMORROW』を通して前向きな未来への希望が広がったことを指しているんじゃないでしょうか。
さらに。もうひとつの気になるフレーズが"約束の始まりで出会った魔法"。
初見では意味がわかりづらいけれど、過去曲の歌詞を振り返ってみると、「Magic Island」から、少年たちが約束を交わしたのはトゥクソム遊園地から入り込むことができる”マジックアイランド”という名の小さな島だとわかります。彼らはそこで、「離ればなれになってもここで必ずまた会おう」と約束したのですね(「Nap of a star」MVの字幕映像より)。
ちなみに、「Sugar Rush Ride」日本語版のMVを見返してみると、彼らはネバーランドに迷い込んだはずなのに、ダンスシーンの背景にはなぜか「Ttukseom Park(トゥクソム遊園地)」と駅名が書かれ、列車の車体には「PROMISE(約束)」と書かれています。
つまり、マジックアイランドとは、再会の約束をした場所だけでなく、彼らにとってネバーランドのような場所でもあったのですね。
「Nap of a star」MVでは、彼らは幼い頃の別れから数年後に再会を果たし、”이제 마법 같은 일이 일어날 거야. これから魔法のようなことが始まるだろう”と映像が締めくくられています。
そういえば「Sugar Rush Ride」の歌詞冒頭では「君が戻ってきたら、理性なんて吹き飛んだ(意訳)」とボムギュが歌っていました。ということは、約束の場所での君との再会や魔法"とはネバーランドで経験した幻想のことを指しているのでしょうか。あるいは、『DREAM CHAPTER: MAGIC』以降に彼らが重ねてきた魔法のような冒険やたくさんの思い出のことでしょうか。
たくさんの意味がこめられていそうですが、いちばんには『THE NAME CHAPTER: FREEFALL』以降、魔法でも幻想でもない現実世界で彼らがもう一度再会を果たしてともに歩んできこと。それこそが魔法のような奇跡だったと言いたいないでしょうか。
同アルバムの「Back for More」では、こんな風に歌っています。
また、前アルバム『MINISODE3: TOMORROW』の「I'll see you there tomorrow」では、こんな風にも再会の約束とうれしさを歌っています。
現実を生きる方がずっと希望と幸福に満ちていることを知り、だからこそ過去にマジックアイランドで起きたことを振り返り、Heaven の歌詞では ”あぁ、天国はなかった、悲しい歌さ”と回想しているのではないでしょうか。
◇
ところでこの曲、タイトル通り”天国”というワードが多数使われています。
でも歌詞を訳していると「僕にとって天国はずっと遠かった」や「天国はもう遠くない」とも言っていることから、偽りの楽園だったネバーランドを回想しつつ、「Dreamer」で語っていた「ネバーランドの彼方に愛した夢は難しくて」の歌詞とも対比させている気がしました。
「Over The Moon」MVではあふれる愛を水で表現したそうですが、トゥバのMVだから、愛にたどり着くまでの悲しみもまた、雫や雨粒、水面の揺らぎに重ねていたのではと思えて。
そこから、”君”を例えている部分は天国、ネバーランドと対比させているフレーズでは「パラダイス」と言い換えてみました。
”Look what you did ”からの考察
さて。歌詞 ”天国はなかった、悲しい歌さ”の直前、語り手は君に”Look what you did/Look what you did to me like” と言っています。直訳では「君が僕に何をしたのか見て」となりますが、転じて「やってくれたね」とか「なんてことしてくれたんだ」の意味で使われます。
そこから、まるで魔法にかけられたみたいな奇跡に、君がしたの?いったいどうなってるの?と驚いたのではと解釈し、”Look what you did”を「(魔法に)かけられたんだ」、”Look what you did to me like” を「ねぇ、一体どんなことしたんだい」と訳してみました。
考察 その① タイムトラベル
ところで、「Do it Like That」ではMVでヒュニンカイがドラムを叩くようなキュートなしぐさをしている場面がありましたが、「Heaven」にもそれに似た振り付けが入っていますよね。そこでふと思い出したがこんな歌詞です。
タイムマシンといえば「Blue Hour」にも。
↑視聴回数2億回まであと少し!!
今アルバムではタイトル曲「Over The Moon」にも、943こと「Run Away」をはじめ過去曲の振り付けがいくつか取り入れられていましが、これまでの楽曲で繰り返されてきた「一体何をしたの?」のフレーズ。「Do it Like That」「Blue Hour」で言及されていたタイムマシン…。
これは一体、何を意味しているのでしょう。
そういえば「Nap of a Star」ではスビンが、「Over The Moon」ではボムギュが傘を開くシーンがありますが、古い映画『タイム・アフター・タイム』(1979)に登場するタイムマシンには、傘のような形のアンテナがついているんです。
「Run Away」をはじめ、これまで時計を巻き戻すような振り付けや演出も幾度となく登場してきました。また「Blue Hour」や「0x1=LOVESONG」、「Sugar Rush Ride」「Deja vu」など、MVには幾度となく眠り込んだ彼らの姿が映されてきたこと。
彼らは、「夢の世界」でだけ使える魔法によって、何度も過去に戻ってやり直そうとしたのではないでしょうか。
そこで、過ぎ去った日々は二度とやり直せないと気づいたのでしょうね。
過去、ボムギュが V LIVE(現Weverse Live)で映画『君の名は。』が好きだと語っていたり、カバー曲『you!』の披露の際には、忙しい合間を縫って、日本の「君の名は。」ロケ地でMVの撮影を行ってくれたりもしました。
「君の名は。」は主人公の瀧と三葉が、眠りに落ちると互いに入れ替わることができるのに、実際には違う時間軸で生きていたがために、現実世界で会うことはなかなか叶わなかったお話。今にして思えばトゥバの物語の大ヒントを伝えてくれていたのかなぁなんて思ったりします。
◇
考察 その② 物語のほんとうの順序
さらに考察をもうひとつだけ。
トゥバのMVの前後に登場する「BIGHIT MUSIC」のロゴ。「Sugar Rush Ride」からは同曲の日本語版MVと「きっとずっと」を除き、黒く反転したロゴに替わりましたよね。あのナゾがずっと心の片隅で気になっていました。以前に、トゥバの物語は『CHAOS CHAPTER』を境にストーリーが鏡合わせになっていると考察しましたが、アルバム『SANCTUARY』が登場したことで辻褄が合わなくなることに…。
そこでふと思い浮かんだのが、映画『メメント』です。
初見ではさっぱりわからない作品「メメント」ですが、カラー映像はだんだんと過去に逆行し、合間合間に差し込まれる、モノクロの映像は時系列に沿ってストーリーが進んでいくというなんとも複雑な仕掛けです。
「Chasing That Feeling」のMVにクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』をオマージュしたシーン(街や道路がねじ曲がっていくシーンです)が表現されていたこともあり、同監督作品の「メメント」からも着想を得ていたのではないかと。
もしもそうだと仮定するなら─。ごくシンプルに考えると、トゥバのストーリーは実は「Good Boy Gone Bad」+「Sugar Rush Ride」(ともに日本語版MV)から始まり『THE DREAM CHAPTER』に向かって逆行し、黒地ロゴの『THE NAME CHAPTER』から時系列通りに進んでいくのではと。
そう考えた理由が「Opening Sequence」(『MINISODE2: THURSDAY'S CHILD』収録)です。歌詞には、”別れから逆行するシーン/君と僕が別れたシーンから映画は始まる”とあり、これがトゥバの物語全体のヒントにもなっていたのではないかと考察しています。
ただ、アニメのMVがかわいい「きっとずっと」のBIGHITロゴは白ロゴですし、しかもMV最後。ひょっとしたら、番外編的な立ち位置なのか…謎です。
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後半の考察がまたしても長文となってしまいました。今回のアルバムでは、アリス以外にもトゥバの物語全体にモチーフとして使われた作品があったことに気がついたのですが、それについては「Over The Moon」の記事で述べたいと思います。
最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました♡