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まるで穢れを祓うかのように

わたしには、何をしてもいいの?
わたしには、何を言ってもかまわないの?
わたしがそのことでどんなに傷ついても
あなたたちは平気だものね。

わたしは何もできないくせに、
困っている人を見ると、ほうっておけない。
わたしは誰かにひどいことを言ったりするのが
とても、いやだ。

実父が他界したあと、実母が沈み込まないように
わたしの仕事の休みになると、花の名所めぐりをした。それで、母は喪失感から逃れられた。

もう、だいぶ月日が過ぎ、わたしはわたしで
子供たちのことやなんやかんやでバタバタして
しばらく母とは連絡を取っていなかったある日、
その夜は、晩ごはんわたしひとりで食べることになったため、久しぶりに外食しようと母を誘った。待ち合わせ場所は駅前のスーパーのコーヒーコーナー。

母はずいぶん前からそこで待っていたらしく、
しかも、わたしの小学から中学生までの同窓生の男の子のお母さんといっしょだった。
本人は結婚して二人子どもに恵まれて東京で暮らしているらしい。
実は、その男の子とは、わたしの初恋の人だった。小学5年生から中学3年生まで片思いしていた。向こうはこちらのことなんてなんとも思っていないことは承知している。

ただ、家庭環境が劣悪だったわたしにとって、
好きな人がいる、ということは心の支えになり、それは「神様」みたいな存在だった。

その人のお母さんがわたしとわたしの母を見て
懐かしがって話しかけてくれたのだが、
わたしたちは食事に行く約束をしている。
でも、彼女はご主人が旅立たれた直後でさみしくて、誰でもいいから話し相手が、欲しかったのだった。


わたしはそれを本気にしてしまって、時々
電話をかけたり、手紙を書いたりした。
そうしたら、その男の子はわたしのことを
「覚えていない。」と、言ったそうだ。
それから、そのお母さんの態度が変わって
「わたしはあなたのお母さんと話したかっただけなの。」と言われた。


わたし、気持ち悪かったのかな?
何かの勧誘と思われたのかな?


わたしの母は、外見では
しっかりした人に見える。
見せかけだけというか、見かけ倒しというか、
頼りなくて気が弱い。
そのくせ、強欲でわがまま。


もう、わたしも母を求むる心はとっくに枯れた。
だって今はわたしが「母」だから。
わたしは女手ひとつでふたりの子どもを育て上げたお母さんなのだ。
ふたりの子どもどちらとも立派に育てたのは
わたしなのだ。
出産後の里帰りも出来ず、下の子が3歳で自分から幼稚園に行きたいと言ったので、お月謝分、わたしが土日だけ子どもたちの父親に子どもを見てもらってパートに出た。

そうしたら、だんだん反抗期に近づいてきた上の子に子どもたちの父親がわたしのいないとき、暴力を振るっていることをふたりから聞いた。


どうしていいかわからなくて、弁護士に相談しに行った。行政の無料相談だった。
そこで話せと言われたから、有り体に話したら
言われた言葉が、

「負のオーラが移るわ。もう聞きたくない。」
そして、さも汚そうに両肩をパッパッと払う仕草をわたしの目の前でされた。


わたしの半生は穢れているのか。
わたしは、きたないのか。
誰かを陥れたり、わざと傷つけたりしたことなどないのに。
わたしには、何を言ってもいいのか。
兄がしたように。
母がしたように。
今まで出会った全ての意地悪な人たちにも
問いたい。
わたしがあなたたちに何をしたと言うのか。
やつあたりじゃないのか。
わたしがおとなしそうに見えるから。
外見は体を表すとか嘘っぱち。
可愛い女の子ほど性格悪い。
それでも、男はいいんだよね。
知ってる。

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