Florence /David
フィレンツェの石畳の上を歩く。ひたすらに歩くだけで嬉しかった。なりゆきに任せてどこか見つけたら行こうと思った。
一度歩いたことのある道はかなりはっきりと覚えていた。以前訪れた際も一人だったからだろうか、迷った道を記憶しているのに近い気がする。途中で通ったことのない路地を進むと、David、 Galleria という文字を頻繁に見かけるようになる。
あぁ、きっとデイヴィッドのギャラリーがあるんだなと思い調べると、ダビデ像がヒットする。ダビデってなんだよデイヴィッドじゃないか。
イタリア語ではこういうことが頻発する。ちょっと間違えちゃった英語、みたいなのを読む感覚でいればイタリア語が分からなくても楽しめる。ダメもとでギャラリーへ向かうと、今から入れるチケットがあるという。
フィレンツェの街は、それ自体がミケランジェロ作品のギャラリーになっていると言ってもおかしくない。どの建物に入っても彼の作品が使われている。(作品が使われているという表現が正しいのかはわからない。仕事として描いたものがのちに作品として扱われ始めた可能性もある)
さて、肝心なダビデ像だが、想像の3倍は大きかった。これから見るという人は、想像よりも大きいことを心得ていてほしい。その心得の2倍は大きいのでびっくりしてほしい。人間の肉体を、よくもこんなに等倍で美しく作ることができたなと感心する。
私は自分の左手の立体像しか作ったことがない。
この女体は美しすぎて、写真に収めてしまった。同じように見惚れている人が何人かいた。