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#11 こもりうたを「思い出す」効果

小さいころ歌ってもらった気がするこもりうた。
私の場合は、「ねんねんころりよ」。
祖母が優しい声で、トントンしてくれながら歌ってくれました。
母親も歌うのが好きだったので、日中から寝る直前まで、ZARDづくし(笑)。寝る前じゃなくても、記憶の中にある今、あれも「こもりうた」だったなあと思えます。

皆さんの記憶の中のこもりうたは、どんな歌ですか?
今思い出すと、どんな気持ちになりますか?

今日は、大人になった時にこもりうたを「思い出す」ことのいいことをご紹介。
いつか思い出してくれることを期待しながら、子どもにも歌ってあげたい。


大人にとってのこもりうたのメリット

海外文献をあたっていたところ、素敵な問いかけに出会いました。
「子供の頃にお母さんやお父さんが歌ってくれた子守唄を思い出したとき、あなたはどう感じますか?懐かしい?物思いにふける?リラックスする?」

このメッセージはこのように続きます。

子守唄は優しさの感覚を呼び起こします。そして、あなたはもう赤ちゃんではありませんが、その感覚を自分の人生にまだ生かすことができます。

How Adults Can Benefit From Lullabies

子守唄を歌うことで、子どもだけでなく歌っている側にもメリットがある…多くの場合この論説は「歌う」ことによる発散などに視点が集まりますが、今回は「思い出す」ことによる効果。

それは、優しさの感覚を呼び起こすというもの。
これ、なんだかいいですね。

「思い出す」の効果

思い出す、ってどんな行為でしょう。
認知科学的には、貯蔵された記憶にアクセスする行為と位置付けられ、脳への一定の刺激が認められています。

人は、その刺激によってさまざまなメリットを享受できます。その最たる活用例が「回想法」。
NHKによると、「なつかしい物や映像を見て思い出を語り合う回想法は、脳を活性化し情緒を安定させ、長く続けることで認知症の進行予防やうつ状態の改善につながる可能性がある」といわれているとのこと。高齢者の認知症予防や認知症患者の心理療法、リハビリテーションに活用されています。

確かに、仕事で高齢者施設へ音楽をお届けすることがあるのですが、童謡など昔聴いていた音楽はとくに生き生きとした気持ちを思い出すというお声をよく頂いています。

うつの治療などにも使われるようで、高齢者ではない大人にとっても、「思い出す」ことで情緒の安定が見られると考えられます。記録過程だけでなく、引き出す過程にこそ大きな意義を発揮するようですね。

音楽は懐かしい気持ちを引き起こしやすい

思い出すきっかけは写真や対話など様々ありますが、特に音楽と記憶はかなり密接にかかわっていると古くから言われています。

米ブログメディア「Slate」では、思い出と音楽との強い結びつきについて述べています。
特に10代で聴いていた音楽が、大人になってから特別な意味を持つメカニズムについて解説していますが、その大きな理由は、音楽ほど感情的な反応を刺激するものはないということ。

脳画像研究によると、私たちの好きな曲は脳の快楽回路を刺激し、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、その他の気分を良くする神経化学物質を大量に放出する。曲を好きになればなるほど、神経化学物質の至福に浸ることができ、コカインが追い求めるのと同じ神経伝達物質が脳に溢れる。

Neural Nostalgia | Why do we love the music we heard as teenagers?

写真を見て思い出すものもあるでしょう。でも、青春時代に聴いていた音楽程、今でも心掴まされるものはない気が、私もしています(笑)。

こもりうたを思い出す

このように、音楽と紐づけられた想い出は、自身の人生のサウンドトラックのように大切な存在となっています。思い当たる曲がいくつかあるでしょうか。

その記憶の一番遠く、最初の音楽を思い出してみてください。
多くの人にとって、それは保護者や家族との思い出の中にあるのではないでしょうか。

※想い出は良いものばかりではなく、世界の心理学者も慎重に扱っている模様。基本的には、くよくよしているときに前を向くためのポジティブな存在としての活用を目指していますが、逆に、想い出に浸るがために新しいものを受け付けなくなる現象にも示唆しており、過去を美化するだけのものではありません。

こもりうたは、青春時代の音楽ほど「なつかしー!」となるものではありませんが、ラッキーなことに、流行関係なく世代を超えて届けられる貴重な音楽。
子どもにこもりうたを歌いながら、もしくは流しながら、ついでにこんなことを思い返してみては如何でしょう。

ああ、自分も聴かせてもらった気がする。どんな歌だったっけな。その時どんな気持ちだったかな。
この子も、いつかこの歌から愛されていることを思い出してくれたらいいな。

あげているようでもらっている

冒頭で紹介した記事は、「そもそも、大人にこもりうたは効くのか?」「なんで大人はこんなに眠るのが困難になるのか?」等という問題提起をしています。

子どもにいいものは大人にもいい。そんな考え方で過ごしてみてると、お世話しているようで、ついでに何かをもらっているような気楽な気持ちになれます。

そして、思い出すことで起こる情緒の安定と脳への刺激で、寝かしつけにイライラしている気持ちが少しでも落ち着くのを感じるのではないでしょうか(願望)


歴史をさかのぼっても世界中誰でも知っている、覚えのある想い出の中の音楽ってすごい存在ですね。


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