浦上咲恵 こもりうた研究家@井出 音 研究所

ひっそり開始―――大人だってこもりうたであやされたい。   母と子の愛情の歌だと思っ…

浦上咲恵 こもりうた研究家@井出 音 研究所

ひっそり開始―――大人だってこもりうたであやされたい。   母と子の愛情の歌だと思っていた子守唄が、実は育児の辛さの捌け口だった?自分を鼓舞する労働歌だった? そんな裏話に魅了されて、これからのこもりうたを考えます。 https://idesound.com

最近の記事

#9 こもりうた、ご褒美にすると良い説

これをイヤイヤ期というのでしょうか。 ことを一つ前に進もうとすると、必ず「イヤ!」が挟まります。 上手く誘導しようとしますよね。してるんです。 しかし最近知恵がついてきたのか、「促す」ことで「イヤ!」が引き出されている気がするのです… 寝かしつけも一緒。アンパンマンもねんねしてるよ、と促すと、自分も寝なきゃいけないことを察して嫌がります。 このシステムじゃ、こもりうたで眠りに誘うなんて、もっと逆撫でしてしまうのでは…? そんな私に朗報が入りました。こもりうた、ご褒美にすると

    • #8 暗闇への恐怖にこもりうたが出来ること

      夜21時。 早かった呼吸が少しずつ落ち着き、やがて小さな寝息に代わる。 「さあ寝たかな」とゆっくり身体を起こすと、裾を掴む小さい手。 もう知ってるのだと思う。自分が寝た後、ママがベッドからいなくなるって。 ほどいて気づくわけではないんだけど、力の抜けたその手を見てキュッとなる。 今や一緒に寝落ちるほど遅い就寝ですが、なかなか寝付けないヒントはあの袖を掴む手にあったのかもしれない。 子どもから見た暗闇への恐怖一人かもしれないという恐怖 心理学者、精神科医であるジークムント

      • #7 こもりうたが赤ちゃんを眠りに誘う3つの理由 -モントリオール大の研究より-

        魔のイヤイヤ期と呼ばれる2歳目前。 最近、息子が全然寝ない。 抱っこ紐で揺らせばよかった時期はとうに過ぎ、不安定なベッドにダイブする息子を押さえつけることもできず。 大人にもこもりうたを…眠りに留まらないこもりうたの素晴らしさを悩める大人に届けていきたい…そんなことを思っていますが…いや待てよ まずは子を眠らせよう。眠ってくれ。ママはアスレチックじゃありません。 こもりうたが赤ちゃんを眠りに誘う3つの理由さあどうやって眠りに誘いましょう。原点回帰、こもりうたと眠りの関係を

        • フロイトが面白いことを言っていた。 "子供が怖いのは暗闇ではなく、暗くてあなたが見えないことで「一人かもしれない」と思うから。"(訳は自己流) こもりうたは、目を閉じても自分が安全であることが分かるから子どもたちも眠りやすいんだろうな〜

        #9 こもりうた、ご褒美にすると良い説

          #6 音楽ではなく、こもりうたを「歌う」メリットとは?

          ずっと考えていたんです。私が歌うのと、音楽を流すの、どちらが良いんだろうって。 実はなかなかこもりうたを歌えず1年10か月、音楽派のままきました。 考えても分からないので、いくつか専門家の意見を調べてきました。 結果は、ざっくり言うと、母が歌うと良いことがありました。 歌う振動で癒される ウー博士は行動睡眠心理学者。歌う振動で癒される…そう言われると、歌ってあげたくなりますね。 確かに、歌は空気中の振動だけでなく、身体からも音とその物理的な振動が伝わります。身体を楽器なの

          #6 音楽ではなく、こもりうたを「歌う」メリットとは?

          昨日は寝かしつけの戦いに負けた。レスリングが落ち着いたと思ったら同時に寝落ちた。 愛おしい息子を寝かしつけようとすると自分まで寝かしつけてしまうのは、何だろう、自分も愛しているから?

          昨日は寝かしつけの戦いに負けた。レスリングが落ち着いたと思ったら同時に寝落ちた。 愛おしい息子を寝かしつけようとすると自分まで寝かしつけてしまうのは、何だろう、自分も愛しているから?

          #5 大人にこそ、こもりうたを。

          ―――こもりうたの中では、本当の気持ちを隠さなくていい。 こもりうたの歴史で学んだ、本音とあやしの世界。 癒し、発散、気分転換、気晴らし、ご褒美… そのどれとも違う、自分に優しくなるための新しい概念が 「これからの、大人のこもりうた」だと考えます。 大人だってあやされたかった一枚脱いだ、無防備なの気持ちへの答え 親や家族に、あやしてもらっていたことを覚えているでしょうか。 個人的には「癒し」とは違うなあと思うのですが、皆様はどうでしょう。 小さい時、親に「みてみて」と

          #4 こもりうたは人類のぶっちゃけ音楽だった - 見直されたいポテンシャルの話 -

          「歌われざるものを歌う場所」 「悪魔を追い払う呪文」 「鬱憤をはらす労働歌」... 私の中のこもりうたの世界が、ぽつぽつと本音をこぼし始めてきました。 この「本音」は、大変価値のあるものです。 こもりうたは、もっと見直されるべき。そして、今の時代に必要な「何か」になる。その確信について数回に分けてお話したいと思います。 今回の記事では、私の考察するこもりうたのポテンシャルのお話から。 それどころじゃない、と思っていた優しい気持ちになれなかった産後 独身時代からこもりう

          #4 こもりうたは人類のぶっちゃけ音楽だった - 見直されたいポテンシャルの話 -

          先に寝ている息子の布団にもそもそと入り、寝息を聴くルーティンは確実に私のこもりうた

          先に寝ている息子の布団にもそもそと入り、寝息を聴くルーティンは確実に私のこもりうた

          #3 こもりうたは労働歌だった?

          こもりうたの英語である"Lullaby"の語源には「あやし、そばにいる」というハートフルなものから、「子どもを奪う悪魔リリスから護るお守り」といった、子どもへの愛情を感じる様々な説が見受けられました。 しかし、親になった今、正直に思うのは「綺麗事すぎやしないか?」ということ(笑) 初回では「こもりうたは辛い寝かしつけの捌け口であった」見解をご紹介しましたが、その通り、世界のこもりうたには実は寝かしつけの過酷さ、つらい気持ちの吐露が存分に見て取れるのです。 今回は中でも日本の

          こもりうたは「癒し」というより「あやし」。コミュニケーションだからかな。

          こもりうたは「癒し」というより「あやし」。コミュニケーションだからかな。

          #2 魔除けの呪文だった? Lullaby -ララバイ- の語源の話② 

          前回は、こもりうたの英語"Lullaby"の由来Lulla(なだめる)+by(そばにいる)である説についてご紹介しました。「ラララ」と歌う音から来ているのかも?という、ほのぼのしたお話でした。 今回は、一変して悪霊が登場する、別の説をご紹介します。 悪霊リリスから子どもを守る「リリスよ、去れ」 あくまで民間語源(ある語の由来について、言語学的な根拠がないもの)という前提ではありますが、さまざまな文献でこのような由来が支持されています。 リリスはアダム最初の妻とされ、アダ

          #2 魔除けの呪文だった? Lullaby -ララバイ- の語源の話② 

          #1 世界は「ララ」であやしてきた? Lullaby -ララバイ- の語源の話①

          こもりうたは、英語で"Lullaby"や"Cradle Song"と言います。 後者は直訳すると「ゆりかごの歌」。では、Lullabyはどこからきたのでしょう。その世界を知るには、まずは言葉から。 今日は諸説あるうちの一説についてお話しします。 なだめ、そばにいる第一有力説は中世英語 Lullen + by 比較的新しい辞書によると、Lullabyの語源はこのように説明されています。 中世英語のlullen(ラレン)。英語のlull(ラル)という単語の語源で、「なだめる

          #1 世界は「ララ」であやしてきた? Lullaby -ララバイ- の語源の話①

          #0 こもりうたのはじまり -息子が私で眠った日-

          息子と私のはじめてのこもりうた止まらなかった大泣き 「そろそろ寝ようよ」 1歳息子の大泣きがあまりにも長いので、半分笑いながら心の声が漏れた午後1時。さっきまでの水遊びをまだ続けたいと訴え続ける大粒の涙たち。 いつものお昼寝時間を過ぎているし、本当は眠くてご機嫌斜めなんだよね。 大好きな「あまちゃんのオープニングテーマ」は試した。ダメだった。 「おかあさんといっしょ」のお兄さんお姉さんの美声も虚しく。 遊びたいけど眠たい、眠たいけどうまく落ち着けない…。 親としたこと

          #0 こもりうたのはじまり -息子が私で眠った日-