セラムン二次創作小説『子育ての些細な幸せ(外部家族)』


『子育ての些細な幸せ』


「ほたる、今日は寒いからこれ履きなさい」

タイツ片手に履かせようと悪戦苦闘するみちる。

すくすくとやんちゃに育っているほたるは、心配するみちるを余所に走り回っている。

「やだ!あたし、別に寒くないもん」

先程からこれの一点張り。

別に体温の問題ではなく、風邪を引いて欲しくない。その一心で履く事を進めているのだが、本人には中々伝わらずにいた。

「お転婆なほたるに手を焼いているようだね、みちる」

楽しそうに他人事感満載に笑いながらはるかが声をかけてきた。

「はるかったら、他人事だと思って!」

「ごめんごめん。2人のやり取りを見ていたら微笑ましくてね。すくすく育ってるほたるが嬉しくて」

「すくすく育つのは嬉しいけど、少々やんちゃが過ぎて手が付けられないわ……」

「普通の女の子として育ってる証拠だろ?気長に見守ってやろうよ、せつな」

はるかの言う通り、転生前とは違って明るく元気に育っている。

転生前のほたるは壮絶な人生を送っていた。

敵に無理矢理生かされ、ミストレス9のオスティーとして実の父親にサイボーグ化された体を衣服で隠す生活。体も弱く、発作に悩まされ、まともな人としての生活なんてあってないようなもので……。

挙句にセーラーサターンとしてほかの戦士よりも重い使命を背負っていた。

どんな辛い生活だったのか計り知れない。

そんな前回の土萠ほたるとしての生活を知ってか知らずか、今のほたるは前とは違いとても明るく活発でヤンチャ。

そしてタイツなど、肌に密着するものを身に付けることをとても嫌う。

子供だから体温が高く、密着すると暑いと言う事もあるかもしれないが。兎に角嫌がる。

ここの所毎日みちるやせつなとタイツ論争を繰り広げていて、最早この家族の風物詩と化していた。

「……だといいけど」

「気楽に行こうぜ、2人とも」

暴れ回るほたるをひょいと抱き抱えながらはるかは言う。

「子供は風の子ってゆーでしょ?あたしは裸足でも全然元気だもん」

みちるやせつなの気も知らず、笑顔でそう言ってのけるほたる。

タイツや密着する衣服を身につけたがらなくなったのは新しいほたるとしての生涯を生きようとしている。良い傾向である事を無邪気な笑顔を見て3人は願うばかりだった。





おわり



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