セラムン二次創作小説『小さな訪問者』


「ただいま」

ため息と共にせつなは家の扉を開けて帰って来た挨拶をした。疲労困憊。毎日毎日、活発な小学生の手当に追われる日々。
癒しと言えば学校でも家にもいるほたるの存在。今日もほたるの笑顔に癒されようとやっとの思いで家に帰ってきた。ほたるが笑顔で出迎えて来ると信じて。
しかし、そこに誰より早く出迎えてくれるほたるの姿は無く、代わりにいるはずのない予想外のモノがちょこんと笑顔で出迎えていた。

「お帰りなさい、プルート」
「ダ、ダイアナ?どうして?」

せつなの事をプルートと呼ぶその子は、子猫のダイアナ。
いるはずのないダイアナがここにいることに、プルートことせつなは驚きを隠せ無いでいる。

「スモールレディのお話を聞いて、楽しそうだと思って暫くお世話になりに来たの」
「ちびうさちゃんからせつなママが毎日学校にいていつも会えるのが嬉しいって聞いたらしくて、羨ましくなったみたい」

ニコニコした笑顔を保ちながらダイアナはこの家に来る事になった経緯を端的に説明する。
せつなの声を聞いて後から笑顔で玄関にやって来たほたるが補足説明を加えた。

「プルートがいる安心感がたまらないんだって。スモールレディに許可を貰い、少しの間プルートのいる安心感を味わいに来たの」

猫としてこちらの世界へとやって来たダイアナ。人間にもなれるが、日頃は猫として過ごしていて、学校に通えない。
ちびうさと一緒に学校でプルートと毎日会うことが難しく、どうすれば毎日会えるだろうと思案をした結果、せつながいるこの家に滞在しようと決めたのだ。

「大歓迎よ、ダイアナ」

自分に会いに来てくれたと聞いて、せつなは笑顔になって駆け寄り、ダイアナを抱き上げた。
未来でもスモールレディと一緒によく会いに来てくれた。単純に嬉しい。この世界でも毎日ダイアナに会える。
ただ、せつなは一つ気がかりなことがあった。

「嬉しいんだけど、スモールレディは?」

それはスモールレディのこと。ダイアナとスモールレディはコンビみたいなもので、兎に角どこに行くにも一緒と言うイメージがある。
勿論、ベッタリと言う訳では無いし、この世界では特にちびうさが学校に行ったり戦士をしたりで離れていることが多い。何もおかしな事はないのだが、二人一緒では無い事に何故か違和感がある。

「スモールレディは来ないわ。月野家にいるの」
「ちびうさちゃんは可愛い子には旅をさせよで、ダイアナだけで行ってきてって。自分は学校でも会えるからって」

要するに遠慮したらしい。あからさまにほたるが元気をなくした。
ダイアナの言う通りちびうさとは学校でも毎日会える。ここに来る必要は確かにないが、ほたるもいるのに来ないと言う選択肢になるとは。遠慮の仕方が謎である。

「プルート、暫くお世話になります♪」

その言葉通りダイアナはそれから暫くほたる達の家に滞在した。激務に疲れて帰ってくるせつなの為に玄関で笑顔でずっと待ち続け、文字通りせつなの癒しとなった。
しかし、せつなはダイアナが月野家に帰ってからは暫く抜け殻と化し、まるで屍のようになっていたとはるか談。
ほたるはと言うと、ペット飼いたいと騒がしかったとみちる談。

おわり

20240427

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