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episode-1 移り変わるもの


窓際の角が落ち着くのは
なぜだろうか

日暮れの西側
ハイカウンターテーブル席

ブラインドの隙間の
青みが淡から濃紺に変わり
コントラストが見えてきたが
再び目を落として読みふけって
ふと顔を上げたら
黒地ののっぺりした
景色に変わっており
時折ライトが行き交う

ある日も濃淡の違いを感じ
生活の移り変わりを
実感したことを思い出した

漆黒の空から解放
残業続きからほぼ定刻で
帰れるようになり見上げた
紺色に何故か安堵したものである

あるエッセイ本に
この本はお茶でもしながら
会話している気分で
読んで欲しいと記されてあった

読みながら「仰る通りですね」とか
「それはちょっとどうだろうか」
などという同意や意見など
口には出さないだけで沸々と
気持ちが湧き出していることだけは
確かである

馬鹿げた話かもしれないが
家などで周りに人がいなければ
気になったワンフレーズを
復唱して唸っていることも
あるかもしれない

誰かと会話をすることで
刺激やものの考え方の変化は
少なからずあって
何か変化を起こしたいと
くすぶっている自分にとっては
それは大きな後押しとなっている

追い風まかせのつもりはなくて
共感や賛同だけでなく
その個性の違いから受ける
喜怒哀楽の熱情が
一呼吸を置いて考えようかと
そんな気にさせるのだと思う

対面の出会いも素敵だ
表情や仕草、声だけでなく
もっと近い形で寄り添ったり
その熱を感じ取れるのだから

しかし直接感じ取れることから
疲弊してしまうこともあって
人と関わっていくというのは
素敵でもあり厄介でもある

自分の中の読書習慣なのか
自分との対話時間であるのか
そんな時間も悪くないでしょう

気を使わずに会話したい時に
その時の気分で選び
好きな時間や場所で
うん、悪くはないな

端の席は安心できる所だから
他者からの干渉を避けられるから
そんな心理があるようだけど
ただの気分だったりもする

結局は寂しくなったりして
人を求めてしまうのかもしれません

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