夜の川、向こうとこっち〈詩〉
夜の川、向こうとこっち
真っ暗で、何も見えない
月さえも雲に隠れて
線路には 黄色の車が
ゆっくりと走ってゆく
調べようと スマホを出したら
眩しくて 思わず瞑る
コンタクト 乾いてる
「保線車両」って言うらしい
手を振ってみる 気づくかな
夜の川、流れが早い
河川敷、ここまで来ても
どうしてまだ 君を想うんだろうか
川に流れてしまうのに
理由なんか、別にない
ただここに来ると今までも
考えてきた色んな悩み
今更になって吹き出して
止まらなくて、ただ、それだけで
わざわざ死のうとしなくても
まだどうにかなることがあると
どうしてまだ、思えるんだろう
そんなことだからダメなんだ
きっともう、どうしようもない
何もかも、もう遅すぎた
君はもう、僕を向かない
どうかもう、忘れてください。
川に入って流されて
洋服越しに冷たさの
染みているのが 気持ち悪い