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郷土の味で甘いひととき
疲れた時には甘いもの。
疲れてなくても甘いもの。
だって甘いものには幸せが詰まっているから。
こんなことを書いていますが、わたしは人気のカフェや話題のお菓子屋さんに行かずとも、市販のお菓子やコンビニスイーツで十分心が満たされる安上がりなタイプ。コンビニに行くとついうっかりコンビニスイーツを買ってしまうので、極力コンビニには寄らないようにしているくらいです。
コンビニでの出会い
先日、荷物受け取りのためにコンビニに立ち寄った際、「今日は不可抗力」と自分に言い訳しながらいそいそとスイーツコーナーをのぞきました。(別にコンビニに行くとスイーツコーナーをのぞくのが義務ではないけれど)
そこであるお菓子がパッと目に飛び込んできました。
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(ローソン限定)
丸ぼうろのスイーツだってぇ!!?これは買わねば!
丸ぼうろとは?
他県の方にはあまりなじみが無いかと思いますが「丸ぼうろ」は佐賀の郷土菓子です。2020年に「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」の構成文化財として、日本遺産に認定されました。
ちなみにわたしの地元では、和菓子屋さんにも洋菓子屋さんにもあるため、和菓子・洋菓子どちらに属するお菓子なのか今ひとつわからないのですが、いわゆる南蛮菓子の一つです。
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画像は村岡屋さんのHPより
現在に伝わる日本の丸ぼうろの起源には、佐賀市伊勢屋町の横尾家の祖先が17世紀後期に完成させたものをルーツとする「北島ルーツ説」および鶴屋の二代目店主太兵衛が17世紀中期に長崎にてオランダ人より製法を直伝に学んだとされる「鶴屋ルーツ説」がある。
発祥とされるお店のひとつである「鶴屋」さんのホームページをPCで開くと、職人さんが手作りしている工程の動画がバックに流れていて、ずっと眺めていられます。(スマホからだと動画ではなく画像が切り替わる感じになります)
URLが屋号の「tsuruya」とかではなく「marubouro.co.jp」なことに、我こそは丸ぼうろの元祖であるという矜持を感じますね。
ちなみに「丸ぼうろ」の表記は様々。一般名詞として使う場合は「丸ぼうろ」や「丸ボーロ」のような書き方をしますが、上記の鶴屋さんでは「丸房露」。もう一つの発祥の店とされる北島さんでは「丸芳露」という名前が使われています。
「ぼうろ」と聞いて思い浮かぶお菓子に京都の「蕎麦ぼうろ」があります。
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このお花みたいなかたちが何とも可愛らしいですよね。余談ですが関西に住んでいた当時、わたしの周りでは阪急百貨店の紙袋の柄を“蕎麦ぼうろ柄“と呼んでいました。阪急は今も蕎麦ぼうろ柄なんでしょうか?(※花柄です)
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話は戻りますが、「蕎麦ぼうろ」がサクサクしたクッキーのような食感なのに対して「丸ぼうろ」はもっとふわっとした食感です。主な材料は小麦粉、砂糖、卵の3つ。バターは使われていないためマドレーヌやフィナンシェとはちょっと違う、もっと素朴でどこか懐かしい味わいの焼き菓子です。
佐賀県民にとってのソウルフードということになると思いますが、
おなじみ過ぎて取り立てて語るほどではないお菓子
法事や初盆のお参りに行ったら大抵もらってくる、ど定番のお菓子
あまりに素朴過ぎて、県外の人への手みやげには持って行きにくいお菓子(県内は可)
もらってもテンションは上がらないけれど、あるとついつい食べちゃうお菓子
そんな存在。
でも、お店によって微妙に味や食感が異なるため、人それぞれ好みが分かれるお菓子でもあります。子どもはふかふかで甘め(はちみつ入り)の丸ぼうろが好きだし、しっとりタイプが好きな人もいれば固めが好きな人もいる。
ちなみにわたしは、がわがちょっとサクッとするほど固めで、甘さ控えめのものが好きなのですが、なかなか「それ」に巡り会えません。わたしにとって(そしてきっと多くの佐賀県民にとって)「丸ぼうろ」は、基本的に「どこからのもらいものかはわからないけれど気がつけば家にある」お菓子。いちいちどこの丸ぼうろかなんて確認せずに食べて育ってきたため、自分が好きな丸ぼうろがどこのメーカー・お菓子屋さんのものか把握できていないのです、、、なんたるポンコツぶり。
「丸ぼうろサンド」を実食!
さて、初めましての「丸ぼうろサンド」。パッケージには“九州の味 めぐローソン“と書かれており、調べてみると九州各県の郷土メシをモチーフにした企画で、1月から佐賀・長崎のシリーズが始まったようです。(九州のローソン限定展開)
いざ、
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…おいしい(知ってた)。
丸ぼうろ2枚で、あんことホイップクリームをサンドしたお菓子。好きなものしかないので、普通に考えておいしくない訳がありません。
一般的な丸ぼうろより生地の色が黒かったので黒糖でも入っているのかな?と思いましたが、そんな味はしませんでした。生地はかなりふわふわ系で厚みがあります。そしてあんことホイップをサンドしているので、生地自体の甘さはかなり控えめ。想像よりも“丸ぼうろ感“少なめでしたが、生どら焼きとはまたちょっと違った食感が楽しめました。
物心ついた頃から食べてきたお菓子ですが、丸ぼうろに何かを足す、あるいは何かを挟むという発想がなかったので、今後はちょっと食べ方の幅が広がりそうです。
ちなみに前述の老舗「鶴屋」さんでは「丸房露のためのマーマレード」という商品を開発・販売されているくらいなので、丸ぼうろに何かをトッピングするという考え自体は、わたしが知らなかっただけで結構メジャーなのかも(?)
世の中、意外と知らないことばかり。
たまには郷土の味を見つめ直すのもいいな、と感じたひとときでした。