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和歌の奥深さについて考える

ご無沙汰しております。

みなさん、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は見ていますか?
私は毎週ほぼ欠かさずリアルタイムでチェックしております。(たまに見逃すけど・・・)

昨日は、ここ最近不穏な回が続いていた中での平穏な回、誰も死人が出ない回だったのですが、正直ここまで見てきた中で一番衝撃だったと思い、ほとばしる気持ちを放出するため筆を取らせて頂きました。
今回は和歌に関して語ろうと思います。以下ネタバレ有りなのでお気を付けください。

なお、こちらの内容はちょっと和歌が好きなだけのド素人が、Twitterの投稿やらネットで検索しまくって得た情報を基にぐっと来た点をまとめただけです。
実際研究されている方やもっと詳しい方からしたら「何言ってるの?」という部分が大いにあると思いますが、温かい目で見守っていただけると有難いです。






あらすじ

北条泰時は、鎌倉殿(実朝)よりもらった和歌への返歌を悩んでいました。
そんな時後ろから源仲章が現れ、「それは恋の歌ですね」と言われます。
泰時は実朝の元へ行き、「頂く和歌が間違っていたようです」と返してしまいます。
実朝は少し悲しい顔をし、間違っていたなと言ったうえで以下の和歌を渡すのです。
大海の 磯もとどろに よする浪 われて砕けて 裂けて散るかも
上記の和歌を受け取った泰時は自室に戻り、やけ酒をあおるのでした。
※若干うろ覚えな部分もあるので、私の解釈が大いに入っている可能性があります。

和歌の内容

大海の 磯もとどろに よする浪 われて砕けて 裂けて散るかも
上記の和歌は、現代語訳にすると以下となります。

大海の岩も轟くように寄せる波 
割れて砕けて裂けて散っていることよ

https://oidon5.hatenablog.com/entry/2019/02/09/001402
おいどんブログ

これだけ見ると、恋の歌ではなさそうです。
また、実朝の歌集である金槐和歌集の詞書には「あら磯に浪のよるを見てよめる」とあるようで、実際に荒れ狂う波を見て詠んだ歌なのではないかなと思います(私は研究者ではないので間違っていたらすみません)。
恋の歌ではないのに、「恋の歌を間違ってると言われて返された」という流れのあとでは、失恋の歌に解釈できることに和歌の深みを感じ、非常に心が打ち震えました。

また、この歌は万葉集・笠郎女の「伊勢の海の礒もとどろに寄する波畏き人に恋ひわたるかも」という和歌を本歌取りしてると言われているらしいです。こちらの歌は見るからに恋の歌ですね。

和歌は面白い

実朝の「大海の~」は恋の歌ではなかったと思うのですが、泰時に渡すに至った経緯と、本歌取りしている和歌から失恋の歌に聞こえるよう仕立てあげた三谷幸喜、すごすぎてびっくりしました。
そして和歌は一通りの解釈ではなく、前後のやり取りによってさまざまな解釈をすることができるという面白さを改めて感じました。(本場の世界でこれが正しいのかは分からないのですが)

ちなみに私は勉強不足故本歌取りに全く気付きませんでした。
万葉集を読むモチベーションが久々に上がったのとあわせて、金槐和歌集は大河ドラマ始まる前からほしいなと思ってたのですが、絶対に買おうと思いました。笑

みなさんもよき大河ライフを!

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