10.14〜日記(金木犀の匂い、睡眠、感じること)
10.16(水)
公園に散歩へ行くと、公園の周りに荒々しく茂る草木の一部に、金木犀がたくさん咲いていた。
五感の中でも、嗅覚は最も感情と結びつきやすい、と聞いたことがある。自分は特に、嗅覚から気持ちが生じやすい。季節の変わり目の匂い、特に夏が秋になっていく時の匂いが大好きだ。切なさと安心を同時に感じる、不思議な匂い。けれど、精神的に健康とは言い切れない今、そういった感覚がかなり鈍っている。
金木犀はいい匂いだった。けれど、匂いしか感じなかった。心の回復には、まだもう少し、時間がかかりそうだ。
10.17(木)
産後うつになってから、ずっと睡眠導入剤を服用している。元々は、睡眠にはほとんど悩んだ事がなく、大抵数分で寝ついて朝まで全く目が覚めない人だった。それが、今は薬がないと眠れない。うつはそういう病だ。
寝る前になると不安と緊張が高まり、寝付けない。以前は当然のように感じていた、寝室に入り布団を被った時の安心感や幸福感が、とても弱っている。うつ病は、心と体がSOSを出し続ける病気だ。
自分が安心できる行動を、習慣を、言葉を、たくさん取り入れて、それが心の器を溢れるほど溜まったら、また眠れるようになる気がする。それまでは、薬を頼っていい。
10.18(金)
産後の不調で、体が痺れたり痛かったり、心の中が怖さや不安でいっぱいになったりと、とにかく過敏になった。それらの症状が辛くて、体も心も、「感じること」が怖くなった。
症状から気を逸らすために、テレビを見たり、人と話したりする。気晴らしにもなるけれど、辛さを無理やり麻痺させる方法でもあった。それが当たり前になっていたから、ありのままに体の感覚を感じたり、心の状態に目を向けたりする事が、ひどく下手になっていることに気付いた。
今日、体や心の状態に目を向けて感じることを少し意識してみた。突然大きな変化が起こるわけでは無いけれど。また少しずつ、感じることは怖くないと思い出せるように。