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【ちょこっとアドバイス3】スタイルミュゼット【人気曲】

はじめに

さて今日の一曲は、日本人のアコーディオン弾きが特に良く取り上げるミュゼットのワルツ、 "Style Musette"(スタイルミュゼット)です。色々なミュージシャンが取り上げるので場所を問わず一定数のリクエストも来ますし、一般聴衆にも「スタイルミュゼット」とそのままカタカナ読みの名前が定着しています。タイトルはそのままで良いとして、まずは少しタイトルの意味・成り立ちについて考えてみたいと思います。

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"Style"とはフランス語で「様式」「流儀」など日本語でも「ライフスタイル」や「ファッションスタイル」などと日常的に使われている、いわゆる「スタイル」です。フランス語は英語と語順が異なる表現がありますので、ここは英語風なら「ミュゼット・スタイル」という並びです。つまり「ミュゼットの流儀で」とか「ミュゼット様式」という事ですね(少し飛躍した意訳として「ミュゼットの心意気」とか「ミュゼットらしさ」なんてのを考えてみたこともありました)こんな「その物ズバリ」という、例えば The Boomの「島唄」みたいなタイトルは、中々勇気が要ると思いますが、作曲者Andre Verchurenの当時の人気の裏付けあっての事なのかも知れません。因みにこの語順の件は、フランス語なら本来Valse Musette(ワルツ+ミュゼット)というところを、文章にする時は読み手の便の為、敢えて英語風に訳してミュゼットワルツと並び変えたりということが日常的にあります。その中で、この曲が「スタイルミュゼット」と語順がフランス語そのままで採用されて定着しているのは、なかなか面白いと思います。

さて、この曲がソロアコーディオンで演奏される時のヒナ型となっている楽譜の存在を踏まえつつ、色々と考えて行きたいと思います。もちろん主観的・個人的な考えに従ってのアドバイスですし、今回の切り口は「楽譜通りに弾かなくても良いのでは?」というものなので「楽譜通りに再現したい人」「楽譜に書いてあることをどうやって練習すれば弾けるようになるのか」といったことは全く書いてありません。たとえお役に立てなかったとしてもご覧になった上での返金には対応していませんので、内容について誤解のないようにお願いします。その一方で、私は他の方の考えを一切否定するものでもありませんので、そちらもくれぐれも誤解のないようにお願いします。

ここで考えたい事は幾つかありますが、私のとる立場は大衆音楽において出版されている楽譜の再現が必ずしも一番大切ではないというものです。メロディやベースライン、カウンターメロディなど、バンド演奏による採譜や編曲者による加筆など、様々なバージョンの楽譜が存在し得ますが、そもそもバンド演奏を落とし込んだ楽譜を一生懸命そのまま演奏することに疑問がある私としては「えー、ここサックスに任せておけば良いパートじゃん。わざわざ弾かないで良くない?」などと思ってしまうので、そもそも作曲家の意図を再現する音楽という意味で捉えたクラシックの楽譜との解釈が大前提で違います。”Style Musette" として、また大衆音楽としての自由度があって然るべきだと思っているので、私の演奏が出版物と違う事はよくあります。その点を「楽譜通りに弾いてない」と揶揄する人がいたり、逆に「あそこ、カッコ良かったですね!どうやって弾いてるんですか?」などと食いついて来る人もいるので、人間の価値観って様々で面白いなと思います。

さて、話を元に戻します。

自分でこの曲を取り上げる時、私はオリジナルの作曲者・演奏者のアンドレ・ヴェルシュレンの音源を参考に作って行きました(Verchurenの発音はヴェルシュ「ラン」に近い物だと思って以前は話していましたが、パリでレッスンを受けた時に話していたら先生からヴェルシュ「レン」と訂正されたので、その自分の経験からここではカタカナ表記を「ヴェルシュレン」としています)当然ながらバンドを従えた演奏でもありますし、そこここにご本人ならではのヴァリエーションも随所に聴かれますし、独奏用のアレンジ譜とは異なった趣があります。その中でも特に取り上げたい箇所が二つあります。

【ベースラインおよびベースソロについて】

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