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アンズデザインです。

6年前、拭き漆作家をしていた叔父が
90歳で死にました。

亡くなる4年ほど前から
叔父の活動を継いでほしい、
作品をどうにか売って欲しいと
叔母から相談を受けていましたが、
私自身、仕事漬けで毎日慌ただしくしていた時期で
「少し落ち着いたらやろ」と後回しにしているうちに
上京した2015年 叔母が亡くなり、
叔父もその翌年逝ってしまった。

叔父は、彫刻と拭き漆の技法を掛けわせた
倉敷を代表する伝統木彫工芸漆器『鷲羽彫(わしゅうぼり)』に魅せられたことから、若くして脱サラして作家の道に入った。
駆け出しの頃、師匠の家から自宅へ帰る道で思いつたらしい『阿路彫(あじぼり)』と名前をつけて以降、なくなる10年程前まで、40年あまり創作活動をしていました。

作家が作品発表しやすい世の中の流れができた頃には
すでに高齢だった叔父が作品を披露する場所は
市民会館や天満屋(←近所のスーパー)で個展を開くことで精一杯。クラフト市に出展してみたりWEBやSNSを使ってセルフブランディングなんて皆無、捻くれ者で頑固者のキャラクター的にもそういったものからは一番縁遠い場所にいる人だった。

小さい頃は
子供のいない叔父叔母の家へ遊びに行くのが
夏休みの恒例行事でした。

2.5階という不思議な造りの一戸建てのお家。
(追加増築したからだと大人になって気づいた)
洋裁をする叔母と、漆塗りをする叔父
それぞれのアトリエが家の敷地内にあり、
彫刻教室を開いたり、
夕方、原付でやってきた坊さんが "おかんき”を挙げて帰ったあと
しばらくすると、わらわら人がやって来て2人共通の趣味だった三味線と民謡がはじまる。

「漆は肌が負けるから」と、
爺さんのアトリエに近づくのを禁止されていたけど
親に隠れてこっそり行って
爺さんが彫刻刀で何か彫ったり塗ったりする姿を
ドアにへばり付いて覗いていました。

いろんな人が出入りするこの家には
ワクワクがたくさんあって

漆の匂いとミシンの油、蚊取り線香、
染みついた家の匂いもほんとに大好きだった。

今も遺品整理でちょくちょく訪れていますが
主人を亡くして時が止まり、生気なく朽ち果てていく寂しさの中に
何ともいえない懐かしさと温かさがじんわり漂っている。
60年ここで営まれていた生活に尊さを感じます。

私が退職してでもやりたかったミッションの1つが
爺さんが置いてった作品たちの行き場を決めること。

作品を東京に持ってきて、綺麗な写真も撮りたいし
人に見てもらえる場所を探してアプローチもしてかないと。
でもまずその前に、
自分が爺さんの作品を説明できるように勉強しなくちゃ。
そのための資金調達も計画も必要だなぁ
一体何から手をつけていけばいいのやら、、
と散漫気味ではありますが
マルチタスクは比較的得意なほう。

先ずは企画練りながら助成金申請に挑戦してみようと
いろいろ調べることから始めています。

コトを興すのは とってもたいへん

ほんとはもっと早くすべきだったという
懺悔の思いも少し抱えつつ、
納得できる終い方を決めてあげたいなと。

同時に、この挑戦が何か
新しいきっかけに繋がればうれしい、
そんなわずかな期待もあります。

ちょっとだけウキウキしています。


アンズデザイン


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