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本気の「鬼嫁」


「鬼嫁」・・・”鬼のような嫁”ということで広く知られているが、日本でそう呼ばれた妻は、実は温かかったり、そんなに悪いイメージはない。

どちらかというと、ユーモア的な意味も含めて、愛嬌のある称号のような。

恐い面もあるけれど、本当は気がすごく優しくて、情が深かったり。

だから日本でなら、「鬼嫁」と呼ばれてもそんなにショックではない気がする。


私の今いるこの国では、「鬼嫁」と似たような表現をされると、真正の毒婦となる。(苦笑)本当の鬼のような嫁だ。

夫を含め周囲の人を徹底的にコントロールしたがり、とにかく強欲。

自分の利益のためには、人からとにかく搾取。夫や親族、時には友人や、全く関係のない人までも巻き込んで、披露される貪欲さ。

本当に自分さえよければいい、自分の半径しか見えていない、という感じ。

まあ、そんな人はいくら何でも滅多にいないだろう、都市伝説みたいなものなんだろうな・・・と思っていたら、それがこんなに真正の毒婦がいるのだ!と驚かされること多々。

(そして私自身も既に3名、実際身近に見ている。。。)

恥ずかしいという気持ちがないのか?とつくづく思うが、本人たちはほんとにそういう点でびっくりするほど「恥ずかしい」とは感じていない。


私が見た、本当の鬼嫁


<本当の鬼嫁その1>

私のあったことのある、知り合い(仮にA)の奥さんは一見もちろん、普通。それなりに身ぎれいにしていて可愛いらしく、年齢はAと同じ30代。

某国からの移民としてこの国で働いていたところ、Aと知り合い恋愛関係になり、結婚することになったらしい。

紹介された時には、Aとはラブラブで「早く子供が欲しい♥」というかわいらしい印象だった。

・・・が、その後すぐに豹変したらしい。

結婚後半年ぐらい過ぎた後から、日々元気がなくなっていくAさんに周囲が心配していると、一年後ぐらいのある日Aから「離婚する。」という報告を受けた。A曰く、

・とにかくお金を取られる。財布に入っていた小銭の果てまでも。
・家事は一切しない。料理もしないので食事はジャンクフード。
・Aの母に、Aの悪口を言いまくる。(A母ショックで寝込む。)
・奥さんの家族や友人が、とにかく毎日やってくる。
・注意すると、大騒ぎしてものすごく非難される。とにかく大声でヒステリックになる。(Aはそれで精神的に病んだらしい。)
・結婚当初になんだかわからないいろんな書類にサインさせられたらしいが、それはなんと財産分与の書類だった。(彼は冗談だと思っていたんだそうだ。)

Aは、たった1年の結婚生活で、これまでの貯金や車までほぼ全財産を、その奥さんに取られてしまったんだそうだ。

ここまではっきりしていると、鬼嫁、というよりは強盗だ。

私はその話を聞いてびっくりしたが、夫曰く「こういうケースは結構多いんだよ。」とのこと!(夫はそういうケースをなぜかいくつも見ていたらしいので、自分は結婚しないと決めていたんだそうな。苦笑。)

<本当の鬼嫁その2>

一時期通っていた語学クラスのクラスメイトだった。仮にBとする。

彼女はとにかく、他のクラスメイトからも一定の距離を置かれていた。

ふらっと途中から入ってきた私は、彼女のターゲットになったらしい。

最初からすごく親し気で、当時まだクラスに慣れてない私は、Bを頼りにしていた。

お互いにこの国の夫を持つ者同士、ということで雑談もするようになった。

が、彼女がちょっとおかしい、と感じ始めるのにそんなに時間はかからなかった。

ある時から、彼女の夫からのメッセージが突然来た。(もちろん、面識なし。)

「彼女にあまりものを上げないでほしい」と書いてあったが、私は彼女に何もあげていない。(飴ぐらいは上げたかも?)

「キャラメルのことですか?」と聞いたら、なんでも彼女は「Mからいろいろもらっているので、お礼をしなくては!」と夫からかなりの金額を引き出していたらしい。

たどたどしい言葉でなんとか、私は彼女に何もあげていないことを伝え、クラスに来なくなったBとはなんとなく、その後は切れた。

後から別のクラスメイトに、「Bのこと、最初に止められなくてごめんね。」と謝られたが、彼女はとにかく周囲から巻き上げるタイプだったらしい。幸いなことに、私は巻き上げられる前に離れた。(苦笑)

後日遠い知り合い伝いに、Bが当時夫と呼んでいた人は実は彼氏で、その彼氏はとにかく彼女に尽くしまくっていたらしい。が、ある日突然Bが国に帰ってしまってそのままになったらしい。

<本当の鬼嫁その3>

実はごく、最近聞いた話。

私も一度だけあったことがある、友人の義母の話だ。

ごく普通の人だと思っていたが、実はものすごい人とのこと。

友人曰く、義母は、

・とにかくヒステリックで、自分の思い通りにならないと大騒ぎ。
・なんでもドラマチックで、常に毎日「悲劇のヒロイン」らしい。
・家にあるもので自分が興味のないものは、どんどん売ってしまう。(友人は、ほんの一日しか置いておかなかった商売道具のパソコンを売られた。)
・とにかくお金に汚い感じ。自分以外には絶対お金を払いたがらない。
・「体が弱い」という触れ込みで、仕事を何年も休職して、休職手当を受け取って生活。(この国では、会社はそういう個人を辞めさせられない。)等

「よく、その夫は離婚せずにいるね?」と聞いたら、義父は義母に疲弊していても、もう彼女から逃れる元気がないんだそうだ。家には義父のものはほんのわずかのものしかないそうだ。息子である友人の夫も、だんだんその義母に似てきたんだそうだ。

ちなみに、友人は夫とちょっと前に無事離婚している。

離婚する前は、外には言えなかった、とのことで、最近聞いてびっくりしたが、友人の離婚の理由が具体的に分かった出来事だった。


・・・この国では日本人が一般的に感じるような「恥」の概念はない。こういう場面を実際に目の当たりにすると、「ああ、私は本当に、日本からすごい遠くにいるのだな…」と感じる。

何よりこの国は、欧州のほかの国同様に、多くの国からの移民を受け入れている。そのため、本来常識だと思われていたラインもどんどん崩れている。

そのため、近年の欧州では極右政党が増えて「外国人排斥」の動きがあることもちょっと怖い現状だ。実際に、移民を受け入れることの意味を考えさせられる場面は多い。


可能なら、私は「日本的な鬼嫁」。。


夫が私と結婚を意識した時なのか、どおりで

「もし結婚しても、お互いのものはお互いのもの、でいいよね?」

というようなことをかなり怯えて確認していたなあ…と思い出す。(笑)

当時の私はのほほんと「OK!私のものは私のもので!」で終わっていた、そういえば。


さて、嫁も10数年やれば、野太くなるものだ。

夫に甘えつつ、だんだん夫にいろんなことを「強要」してしまっている。

意味不明の強気は結婚前から変わらないが、結婚当初の初々しさはもうなく、ほぼ一方的に私によって作られた我が家の決まりに従って、日々暮らしている。

< 我が家の決まり(一部)>
・洗濯機に衣類を入れる前に、ポケットの中を必ず確認する。
・家事のペースは主婦(私)が決める。口出し無用。
・お互いの仕事が大変な時には、お互いの好物をそっと差し入れする。
・プレゼントは事前に相談。メインはサプライズ禁止。 ほか

結構細かいことも、二人の中では「決まり」として、守らなければならないこととして存在している。ちなみに、違反したほうがもう一方に謝ることになっている。

気ままな独り暮らしだった夫には、結婚してから少し窮屈になったかもしれないが、遠くから来た私に慮って耐えてくれているのだと思う。

私は、というと「愛される、日本式の鬼嫁」を目指していきたい。

だんだんこちらの国に染まりつつあるけれど、こちらに存在する「本気の鬼嫁」にならないように時々自分を振り返りつつ、のんびり笑っていきたいと思う。


今回は、友人の義母の話を聞いて、急に書いてみたくなった。(苦笑)

友人の離婚記念に!






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