いつか旅立つときに
日本では「老後は最低2000万円必要」という記事を読んだ。
20代の頃、年金型の生命保険を検討した際に「老後資金について」とくとくと説明を受けたが、当時の私は「来るか来ないか分からない老後よりも、とりあえず目の前のご飯だよな。」と思っていた。
美人じゃないけれど、自分は薄命と思っていたので尚更だった。(苦笑)
私達夫婦は、あまり先を見ない。
夫のラテン的な発想から楽観的すぎるのと、日本人の割に私が適当すぎるのが相まって、将来や老後のことをあまり考えられないからかもしれない。
老後はもうすぐそこに来ているのに、不思議と不安が無い。
それは私が「この人生、もういつ終わってもいいや」と思っているからかもしれないし、夫が「まあ、その時が来たらなるようになるんじゃない?」とざっくり考えているからかもしれない。
だから、二人の中での将来設計で「老後」の話題で話すことはあまりなかった。
わざと避けているのではなく、念頭になかったのだ。
友人の老い支度
夫婦で親しくしている夫の友人(男性)から、「結婚式を挙げました」というメッセージが届いた。
とうとう結婚したのね〜と夫と、送られてきた写真を見ながら感心していた。
その友人はもうすぐ仕事を定年予定。
彼は5年前に長年連れ添った同じ年の奥さんと離婚。
すごく仲良かったので、周囲は突然のことにみんな驚いた。
彼が言うには「これ以上、憎みあいたくないから別れたんだ。別れた後も時々食事したりする間柄なので、離婚してからのほうが実は関係はいい。」とのことだが。。。よそのご夫婦のことは分からない。
離婚後数年してから、南アメリカに旅行に行く、というのを聞いた後に、「むこうで彼女ができた。」と聞いた。
彼女がすごく若い、と聞いたのが少し心配になり、一度彼の家でBBQをしていた時に酔った勢いで「そんなに若い子で大丈夫か?」と、失礼を承知で聞いたことがある。(苦笑)
それから数年、彼らは付き合いを深めて、彼は毎年彼女の国へ訪ねて行っていた。
そして、コロナの制約が明けた今、現地で結婚式を挙げたのだ。
彼は、結婚した後に彼女の配偶者ビザを取って一緒にこちら(欧州)で暮らし、定年後は彼女の国で暮らす予定だという。
「向こうなら物価も安いし、年金で十分に二人で暮らしていけるから。」
彼の選んだ老後の計画だ。
定年後はあたたかい南アメリカで、モヒートを飲みながらのんびりビーチを見ながら過ごす、と彼は言っていたが、若い彼女がそれで満足なことを心底願う。
私達の老い支度
さて、そんな友人の様子にうちの夫も珍しくいろいろ先のことを考え始めたようだ。
夫は結婚してから、細々と行っていた株式投資の規模を少しずつ増やしている。
「よく食べる嫁さんをもらっちゃったから。(苦笑)」と冗談で言っているが。(・・・本音かも。)
夫は上手にしているらしく、そこでの上がりで私たちは日本に帰ったり、海外旅行をしたりしてきた。
先日、二人で散歩をしている時にふと、「仕事のほうはこのまま続けるけど、定年する時には実家のそばに住むのはどうかな?」と、初めて先のことを話し始めた。
夫もいろいろ考えているのだ。
私は、日本の年金を20歳から納めてきたのはあるとして、現在細かい仕事で稼いだ分を貯金し始めた。(お小遣い程度でものすごく少ないが)
それを始めたのも、去年東京のマンションを売ったタイミングからだ。
50代。いろいろ考え始める年代なんだな、と思う。(遅いのか…)
まだ始まったばかりだが、これから少しずつ、たぶん、進めていく。
私達が旅立つとき
さて、老後もぼんやり見えてきた今、お互いが「旅立つ時」の事も考える。
・・・実は、私は老後よりも、そちらのほうは結婚当初から考えていた。
私の希望は「ぽっくり」だが、私が先に亡くなった時に夫に片づけをお願いすることになってしまう。
なので、万が一の時のために遺書のアップデートは時々している。
遺書と言っても、簡単な夫への手紙だ。ちなみにこんな感じ。
大好きな〇〇、本当にありがとう。
私はあなたと結婚して本当に幸せなので、死んでも全く後悔ありません。
私が亡くなった後は、あなたは絶対幸せになれるようにしてください。
恋人を作ってもいいし、再婚しても全然いいからね。
さて、ここにある私のお金は、私のへそくりです。
一つだけお願いしたいのは、こちらにある指輪だけは妹に渡してください。
(これは、母が父にもらった結婚指輪なのです。)
それ以外の私のものは全部捨てても人にあげてもよいです。
私の遺体は焼いて灰にした後、ちょこっとだけ海に撒いてください。
(海なら日本にも気軽に帰れるから。笑)
こちらや日本で、お墓を準備する必要は特にありません。
そのために必要なことは、このへそくりを使ってください。 お手数かけますが、上記の件何卒よろしくお願いします。
あなたと一緒にいれてほんとによかった!本当にありがとう。
そして、もし万が一、夫が先に旅立ってしまった時・・・それも考えている。
夫をきちんと見送って、全部後始末をしたら、私は日本に帰る。
そして、たとえいくつになっていても、なんかどんな仕事でも働いちゃう気がする。(苦笑)
そして、たぶんもう結婚はしないと思う。
そんな私のささやかな願いは叶うのかな。
でも、今すでにこっちでの私の荷物がめちゃくちゃ多いから、断捨離も始めなきゃ!と急に現実に戻ったりする。(涙)