レイモンドチャンドラーの最高傑作「長いお別れ」の一節、「ギムレットには早すぎる」は有名なフレーズですね。初冬の夜長に、孤高の私立探偵フリップマーロウの嗜む洋酒と粋なフレーズを振り返ってみました。
なお、写真は私のお勧め至宝のバーボン🥃ブッカーズです。
The Big Sleep : Champagne Brandy cocktail
依頼主の石油王スターンウッド将軍がマーロウにブランデーをもてなす。
マーロウは「なんでもいい」と答えるが、将軍はシャンパン割りがお好きなようだ。アメリカ独立戦争の試練の宿営地バレーフォージのように冷たいシャンパンにグラス3分の1のブランデーがいいのだよ、と述べている。
Farewell My Lovery : Dry Martini
ドライマティーニ :ジンとベルモットを使ったカクテルの王様
ベルモットの量が少ないものを「ドライマティーニ」と呼んで区別します。通常のマティーニはチェリー入り、ドライマティーニはオリーブ入り。チャンドラー長編にしばしば登場します
The High Window : Old Tayor
オフィスのデスクの引き出しにはウイスキーと短銃を装備しているマーロウ
バーボン:オールドタイラー 禁酒時代にも薬用酒として製造を認められていたというバニラとスパイシーなアロマがまろやかな逸品。
The High Window : Four Roses
ロサンゼルス市警から殺人事件を聞きつけて訪れた警部補 BreezeとSpanglerの二人にバーボン:フォアローゼスを振る舞うマーロウ
ボトルラベルの4つのバラには美しい逸話がある。創業者ポール・ジョーンズジュニアがプロポーズした南部の美女は、「次に会うときに胸にバラのコサージュ(花飾り)をつけてきます」といい、彼女の黒いドレスの胸に深紅のバラをあしらえてきたというロマンチックな逸話があるそうです。
The Lady in the Lake : Bacardi
サンタモニカがモデルとされるベイシティのバー(Peacock Lounge)、しわがれたウエイターからバカルディのカクテルをサーブされるマーロウ
バーテンダーから絶大な信頼を得るラムの大御所。スムーズなフレーバー、キューバリブレ、ダイキリ、ピニャコラーダ、モヒートなどのトロピカルカクテルには欠かせない。
The Little Sister : Old Forester
正統派クラシックバーボン:オールド・フォレスター
「私はウイスキーの壜を鼻に持って行って、匂いを嗅いだ。からだが慄えた。これではっきりした。ウイスキーの匂いを嗅いでからだが慄えるときは、私はものの役に立たないのだ」
The Long Good-bye : Old Grand-dad
テリーレノックスが朝5時にマーロウ宅を訪れ、チュアナまで車で連れてってくれと頼む場面。台所でコーヒーを沸かしながら、オールド・グランド・ダッドをグラスに注いで、テリーは一息に飲みほす。
バーボン:オールド・グランド・ダッドは、滑らかで重厚な味わい、偉大なる祖父の肖像があり、祖父母に思いを馳せながら飲んでみるのもよさそう
Playback : Gibson
マーロウが、田舎のカンザスシティの探偵ゴーブルと会うレストランで頼んだのが、「ギブソン」というカクテル。禁酒法時代にNYのバーテンダー、チャールズ・コノリー氏が考案。「ドライ・マティーニ」より更に辛口仕上げで、オリーブではなく、パールオニオンを飾るのが特徴。