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人間の心の構造について(その1)

<地図は現地ではない>

夢に関わるということは、当然のことながら人間の無意識と関わるということだ。ただし、私たちは無意識と直接的に関わることはできないことを、ユングも告白している。つまり、たとえば夢と関わることで、間接的に無意識と関わる、あるいは無意識の世界をほんの少し垣間見るということだろう。
人間の無意識とは、どのくらいの広さと深さを持つものなのだろう。無意識の底の底、果ての果てに、私たちは触れることができるのだろうか。この疑問は、たとえば「宇宙とはどんなところだろう。その底の底、果ての果てに触れることはできるのだろうか」という疑問にも似ている。あるいは、「物質の最小単位である超・素粒子の世界とはどんなものだろう。そこに触れることは可能なのだろうか」といった疑問にも似ているかもしれない。あるいは「神の世界とはどのようなものだろう」という疑問にもいきつくだろう。
結局のところ、これらの疑問へのアプローチは、言葉といった明示的な媒体、あるいはイメージやシンボルといった表象を通して行う以外にはない。これはケン・ウィルバーも散々言っていることだが、私たちは、どれだけ地図を描いても、地図は「現地」ではない。ある意味、「現地」の「影」でしかない。では、私たちは現地に直接赴くことはできないのか?

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