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リンゴで学ぶゲームデザイン
リンゴ=ゲーム内報酬と考えてみます。
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ゲームデザインとは、ユーザーにリンゴを「欲しい」と思わせて、手に入れたら「嬉しい!」と思わせることです。
…という仮説で思考を広げてみます。
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まずリンゴの美味しさを伝える
ユーザーはまだリンゴの存在も味も知りません。
まずはリンゴを見せて…食べ物であることを伝えて…食べてもらいましょう。
とびきり美味しいリンゴを用意すれば、ユーザーはたちまち虜になります。
「リンゴって美味しい!」
こう思ってもらえればしめたもの、リンゴ=報酬の図式が構築できました。
リンゴを見せる。でも見せるだけ。
リンゴを探し求めるユーザーに新しいリンゴを用意しましょう。
でも、簡単に渡してはダメ。
ここからはユーザーとゲーム開発者の真剣勝負の始まりです。
たとえばちょっとした落とし穴を用意してみましょう。
リンゴが欲しいユーザーはどうにかして落とし穴をクリアしようとします。
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そう、落とし穴=障害・課題です。
どうやれば落とし穴をクリアできるのか。
いくつか方法はあります。
スキルを使おう
もし、ユーザーが…操作キャラクターのスキルに「ジャンプ」があるなら。
落とし穴をジャンプで乗り越えましょう。
道具を使おう
周囲を見回せば、落とし穴を越えれそうな板が見つかるかもしれません。
ここではユーザーの知恵が求められます。
ギミックを使おう
ギミック=環境を活かして落とし穴をクリアすることもできます。
近くにあるスイッチを押せば、落とし穴は見事塞がれました。
川の流れを変えて、落とし穴に水を溜めてもいいかもしれません。
報酬があれば、課題がクリアできる
ユーザーにリンゴの美味しさを伝えて「報酬である」と認知してもらえば、落とし穴といった障害を乗り越えてくれます。
リンゴを壁で隠してみる
リンゴを壁で隠してみましょう。
確かにリンゴは存在しますが…ユーザーはそれを認識していません。
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リンゴを置いたからユーザーは大喜び!と考えるのは早計です。
見えていないリンゴは存在しないも同じ、たとえ報酬を用意しても「ユーザーがそれを認識していない」のなら意味がないのです。
事前に隠してあることを伝えてあり、探し出す遊びであると受け入れてもらっているなら問題なしです。
でも壁が置きたい
とはいっても、いつもリンゴが見えているのは変化がない。
たまには隠しておきたいこともあるでしょう。
そこで考えるべきは「見えないリンゴの存在をどうやって伝えるか」です。
匂いを使う
ふわっとリンゴの甘酸っぱい匂いがすれば、ユーザーはリンゴの存在に気が付きます。
匂い=シグナルです。
操作キャラの肩に乗っているカナリヤが鳴いてもいいですし、リンゴから発せられる電波を受信してもいい。コントローラーが振動してもいいですし、猿が食べたリンゴの芯を置いても良い。
「あっ、ここにリンゴがあるかも」と思わせるシグナルで、リンゴ自体は見せずに存在を知覚させることができます。
でも、リンゴにも飽きた…
そのうちにユーザーはリンゴに飽きてきます。
味なのか、量なのか。
変化による刺激が必要です。
一度に大量のリンゴを渡してもいいでしょう。
リンゴの木を用意して、ゆすったらリンゴが大量に落ちてくると単に道端にリンゴを置くよりも効果的かもしれません。
リンゴではなくバナナを置き始める頃合いかもしれません。
またはリンゴパイという変化球も…?
リンゴ=報酬ですが、その「価値」はゲーム進行に従い変化していきます。
ゲームは進行するにつれて高難易度化することが常ですから、同じリンゴを食べ続ければやがて飽きてしまいます。
難しい課題をクリアしたあとは、どんどん美味しいものが欲しくなる。
とはいえ無限に報酬を用意することはできない
リンゴがダメならバナナ、バナナがダメならパイナップル。
報酬をいつまで用意すればいいのでしょうか?
そして、それを作るコストはあるのでしょうか。
有限なコスト(予算やスケジュール)の中では提供できる報酬は制限されます。
ゲーム全体を俯瞰して、限られた報酬の価値をいかにコントロールするかがゲームプランナーの腕の見せ所となるでしょう。
おわりに
2024年が終わる前に何か記事を書いておきたい…という欲求のもと作成しました。