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感情のデザイン:快適と不快

多くの(「すべての」ではありません)ゲームはリスクとリターン、あるいはペナルティと報酬をセットにしてゲームデザインされています。

「良いこと」と「悪いこと」をセットにすることでプレイヤーの生存本能や達成欲求を刺激し、モチベーションをコントロールします。

リスクを空間として捉えてみる

図にすると下の通り。

リスクに飛び込みリターンを得よう

プレイヤーは「リスク」を負い「リターン」を得ます。

表現を変えると、以下のようにも図示できます。

リスクとは「空間」

プレイヤーはリターンを得るためにリスクの発生する空間である「リスク空間」に飛び込みます。
リスク空間の課題をクリアすればリターンを得られますが、失敗した場合はペナルティを受けます。また、リスク空間内では継続的なペナルティを受ける可能性があります。

具体的に言うなら、リスク空間とはRPGで言うなら「戦闘」になります。敵との戦闘中はHPダメージやアイテムの消費といったリソースの消耗というペナルティが発生し続けます。

リスク空間は「目的(報酬)のために我慢している空間」です。言うなれば「不快な空間・時間」です。では、リスク空間の外には何があるでしょうか。

安心・安全な快適空間

リスクに飛び込む前、プレイヤーは「快適な空間」にいます。これを「快適空間」と呼んでみましょう。

リスクの前は快適

快適空間にいたプレイヤーはリターンのためにリスク空間に飛び込み、そこでペナルティを受け、最終的にリターンを得ます。

プレイヤーの感情の変化に着目する

ここで着目しておきたいのがユーザーの感情の変化です。
プロセスだけ見れば「快適」→「リスク」→「報酬」といった3点の連続に見えますが、ユーザーの感情はリアルタイムに、微細に変化し続けています。

そこで、空間という言葉を捨てて感情に即したワードに変えてみます。また、日本語はわかりやすい反面ちょっとカッコ悪い時があるので英語にしてみましょう。

ちょっとカッコつけました

Comfortable:快適な、不安のない、落ち着いた
Uncomfortable:不快な、居心地の悪い、厄介な

プレイヤーの感情は「快適から不快へ」と変化していきます。そして「不快」度合いはペナルティを受けている間は上昇し続けます。

不快からの回復に着目する

Uncomfortableな状態はリターンを得れば回復するでしょうか。あるいはペナルティが止まれば回復する?

不快な状態が回復しているかどうかははっきりとは目に見えません。それは精神的な作用であると同時に、ゲーム開発者は開発中にプレイヤーが遊んでいる様子を見ることができないためです。
※そのためテストプレイは重要です

ペナルティが強すぎれば不快な気持ちが残ります。リターンが想像よりもショボければ不快な気持ちは回復しません。

本当に回復したのかな?

そして、プレイヤーはゲームから離脱し、ネット上に酷評を投稿する…かも知れません。

※達成感しだいでは挑戦前よりも快適さの上限が増えることもあります(ソウルシリーズ)

プレイヤーの感情を想像しよう

「強敵を倒せばアイテムが手に入るのだからプレイヤーは喜ぶだろう」

果たしてその想像は合っているでしょうか?

単にリスクとリターンといった関係性だけでなく、プレイヤーの「快適」と「不快」という感情に着目することで適切なゲームデザインやバランス調整が達成できるのではないでしょうか。

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