話題の『Balatro』はどこからやってきたのか?
2021年に『Vampire Survivors』が発売され世界を塗り替え、2022年は『ELDEN RING』がコンシューマ業界をあっと言わせ、2023年は『ホグワーツ・レガシー』や『アーマード・コア6』が思わぬ売れ行きを見せ、2024年が始まったと思ったら『パルワールド』が爆発的なヒットを記録中。
そんな中、新たな新星が登場しました。
ポーカーにデッキビルドを組み合わせた『Balatro』です。
どういうゲームなの?
ベースはポーカーです。
山札から配られたカードのうち、ラン(ポーカーの役に相当)を作ってハンドプレイ(場に出す)する。
ラン(役)によってチップを獲得し、これをスコア(与ダメージ値)に換算、ラウンドを繰り返し、相手のスコア(敵の体力)を上回った時点で勝利です。
ざっくり言えば、役を作って相手のHPを上回るまでスコアを貯める、というゲームです。
加えて、通常のポーカーと異なるところがいくつかあります。
カードのスキルが色々ある
通常の「ダイヤの7」は7チップ獲得できるだけですが、スキル持ちの場合は「倍率+4」といった効果を持ちます。
『Balatro』のルールでは「ラン(役)」によって獲得チップが決まっています。どんなカードであれ、ストレートを作れば30✕4=120チップ獲得できます。
具体的なプレイ事例をあげてみましょう。
試しに以下のような役を作ってみました。
上図で発生しているのは以下です。
ランによるチップ
5→9まで連続しているのでラン(役)「ストレート」が成立
ストレートのチップは30✕4
場に出したことによる加算
9+8+7=24チップ加算
元の30に24加えて54チップ
6と5はブラインド(敵)のスキルによりデバフ(無効化)されているのでチップに換算されない
倍率は元の4に「スキル持ちのダイヤの7」の効果により+4で8になる
つまり54✕8チップになるはずですが、実際は54✕12になっている。
なぜか?
レリック(恒常的な補助効果)が色々ある
実はジョーカーカード(レリック)により常に「最終的に倍率+4する」補助効果を得ていました。
これにより54✕12になり、スコアは648。
ブラインド(敵)を一瞬で葬り去りました。
このカードのスキル、ジョーカー、消耗品のアイテムなど様々なカードが用意されています。
ショップがある
色々なスキルを持ったカードをどうやって入手するのか?
ブラインドに勝利するとドル(お金)を獲得でき、それをショップで使えばカード購入など自身のデッキを強化できます。
ドルはブラインドを倒すラウンド数が少ないほど多くもらえるので、より強力なランとカードスキルを組み合わせて高スコアを叩き出しましょう。
そして、どこから来たのか?
こちらの記事を見ると『Balatro』が生まれるまでの興味深い事例がいくつも書かれています。
Balatro's creator has barely played other deckbuilders, and thinks that's partly why it succeeded | Rock Paper Shotgun
1.既存のデッキビルドゲームをあまり参考にしなかった
>他のデッキビルドゲームをプレイしたことが無かったことが自由な発想に繋がったのかもね
2.参考にしたのは『幸運の大家様』
>スロットマシーンゲーム『幸運の大家様』を土台にしている
密かに?日本でも好評な『幸運の大家様』が参考になっているようです。
「バックパック系」ブームの兆しもありますが、この路線での進化もあったんですね。(記事によると「夢中になったがプレイはしていない」とも書いてあるので、アイデアを参考にしただけかもしれません)
Steam:幸運の大家様 (steampowered.com)
3.『Slay the Spire』は技術的な観点から参考にしただけ
>この手のジャンルのチャンピオンである『Slay the Spire』は技術的解決のためにプレイした
>『Balatro』を作る前に『Slay the Spire』をプレイしていたら多大な影響を受けただろうね。でも、そうした要素を入れたくなかったんだ。
まとめ
今度大流行し、インスパイア作品が多数生まれるであろう『Balatro』。
その誕生には「既存の作品をあえて参考にしない」という独立精神が背後にありました。
既存の何かを参考にして「安定した面白さを担保しがち」な現代のゲーム制作に対して強烈なカウンターになっています。
おまけ
『Balatro』が気になった方は以下のサイトを参考にしてみてください。