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トーキョーライフワークトーク 第3回アーカイブ:文章

2020年10月配信分

【ゲスト】髙島 勇夫さん(株式会社ジリリタ 代表取締役)
【ナビゲーター】田中結子


「楽しいトコロに人は集う」を企業コンセプトにおもちゃメーカーを営む髙島さん。
そんな髙島さんが生み出すオリジナル商品はシンプルで素材に近い見た目でありながら、たくさんの機能と遊び心が詰まっています。
緻密な商品設計を成し遂げるためのシゴトの楽しみ方や商品を使う方に楽しんでもらうために大切にしていることを聞かせてもらいました。

音声でお聞きになりたい方は前の投稿からご覧ください!

番組提供:城北信用金庫



たくさんの機能を持つスラックレールが生まれたきっかけ

田中:
それではさっそく今月のゲストをご紹介します。

ジリリタ株式会社 代表取締役 髙島勇夫(たかしま いさお)さんです。

髙島さん、よろしくお願いします。


髙島:
よろしくお願いします。


田中:
ジリリタ株式会社はどういったことをされている会社なんですか?


髙島:
当社はですね、まずおもちゃのメーカーとして活動しております。
まずこれが一つの事業ですね。

もう一つはグッズ製作。
アニメとかキャラクターのグッズ製作を行っておりまして、いわゆるOEM、受託製作をやらせていただいています。


田中:
オリジナルで製作されているおもちゃとOEM、両方されてらっしゃるんですね。


髙島:
そうですね、はい。


田中:
会社はどちらにあるんですか?


髙島:
場所は赤羽の方でやらせてもらっています。


田中:
オリジナル商品があるということでしたので、その商品について聞かせてください。

お作りになられている商品でスラックレールという商品があるんですよね!
こちらはどんな商品なんですか?


髙島:
スラックラインという綱渡りみたいなスポーツがあるんですけどご存知ですか?


田中:
縄の上で高く飛んだりするスポーツですよね!


髙島:
そうです!
最近ちょっとテレビで取り上げられたりするようになったんですけれども、あちらのスポーツの練習道具として開発したものです。

とは言っても高さがあったりというのは中々練習しづらくて、どこでもできるわけではないので床に置いて、どなたでもできるように安心安全に作ったものがスラックレールです。


田中:
実際に私も使わせていただいているんですけど、すごく簡単に見えて難しいですよね!


髙島:
そうですね。はい。


田中:
スラックレールに乗って歩いたりとか、使っているうちに体幹が鍛えられるような感じがしました。

他にもたくさん様々な効果があるという風に聞きましたが、もっとスラックレールについて教えてもらえますか?


髙島:
はい。
まずスラックレール自体なんですが形は細長いかまぼこのようなもので、
長さが90cmくらい、幅が6cm、高さが3cmで本当に長―いかまぼこだと思ってもらえれば(笑)


田中:
触った感じもかまぼこみたいですよね!


髙島:
そうなんですよ!
素材としては発砲ゴムというもともと壁とか角っこに頭をぶつけても痛くないような素材を使っているんですけど、非常に柔らかくて安全性が高くて、しかも耐久性があるという素材でして、その上に乗ると実はさっき田中さんも言ってくれたように中々難しい。


田中:
本当にそう思いました。


髙島:
乗っていただくことによって、体が自然とバランスを取りに行くんですよね。

ガタガタ道も今は中々ないですし、外遊びも昔ほどはできないので、不安定なところでバランスを取りに行くっていう動作が少ないんですよね。

スラックレールはあえてそういう状況を作ることによって綱渡りのような不安定なところにしっかり立つという状況を作ることができるので
体を支える能力がついてくると心が落ち着いたり、集中力がついてきます。

あとは体の真ん中で立つことができるようになるので姿勢改善につながって猫背であるとか、頭が下がっているっていうのが胸を張れるようになるので
呼吸がしやすくなったり安定しますし、腹筋が使えるようになるので精神面においても非常に効果が期待できると思います。


田中:
機能がたくさん詰まっているのに軽くて持ち運びも簡単というところが
すごく緻密に商品設計をされてるんだなっていう風に感じられてすごいなぁと思います。


髙島:
ありがとうございます!
もともとそこまで考えて作っていたわけではなくて・・・


田中:
そうだったんですか?!


髙島:
考えとしてはもともとスラックラインというものを赤羽の桐ヶ丘というところで地域の子供達と始めまして、その時木に直接線を1本張ったらやっぱり楽しくて2〜30人集まってきて、大渋滞になったんです。


田中:
お〜すごいですね!


髙島:
もともとそこの公園の治安が悪かったので、みんなでスラックレールをやっていたら変な人来なくなるんじゃないかということで、スラックレールをやることになったんですけど、
最初は全く上手くできないので、調べて練習道具を探したらまだ若いスポーツのため練習道具はそんなになかったんですよ、お家で気軽にできるようなものは。

私がもともとおもちゃ業界にいたので、研究を始めて作ってしまったという経緯です。
スラックラインがやりたかったっていうのと、安心安全で子供でも高齢者でも誰でも楽しめるものを、ということだったので、効果のほどは実は後からわかったんです。


田中:
そうだったんですね〜。
今、実は私たちもスラックレールをお尻に敷いてお話をさせていただいているんですよね!


髙島:
声の通りが良くなりますよ!


田中:
なんか本当にいつもよりいい気がします!
背筋が伸びて声がしっかり出て、お尻も疲れにくいですよね!


髙島:
そうですね!やっぱり体重のかけ方とか・・・

とはいえ、ずっと同じところに敷いてたりとか姿勢が同じだと体の血行とか滞っちゃうので入れたり出したり腰に当てたり、足元に置いて踏んだりとかそんな使い方をしてもらえればいいかなと思います。


田中:
じゃあこの後ちょっと敷く場所を変えて、このままお話聞いていきたいと思います!


髙島:
はい!ちょっとずつずらしていただいて。


コミュニケーションを消さずに仕切るパーテーションつきデスク「SOiRO」


田中:
もうひとつのオリジナル商品SOiROについても聞かせてもらいたいと思います。

紙製の机と聞いたのですがこちらの商品についても教えてください!


髙島:
こちらSOiROという商品は今年7月に発売したばかりの商品です。
壁が一体になった、折りたためて軽くて畳むと厚み5cmになるというパーテーションつきの机です。

素材は強化ダンボールという素材で、「ダンボールでしょ?」って思われると思うんですけど、硬さでいうと木みたいな感じで木材に近いです。

ただ重さはめちゃくちゃ軽くて、同じような机を木で作った時の10分の1くらいの軽さですかね。
SOiROが6キロなんですけど、子供の学習机と比べると学習机が平均60キロくらいらしいので10分の1くらいの重さですね。


田中:
今実際に素材をお借りして触らせていただきながらお話しているんですけど、本当に軽いですよね〜


髙島:
そうですね。重さで言ったらダンボールに近いですね。

あと硬さで言ったら表面をラミネート加工という水を弾く加工をしていまして、今発売しているSOiROが全面真っ白でホワイトボードとして使っていただけます。

今自宅でリモートワークされている方が多いと思うんですけれども、メモを内側に書いていただいたりして、そうしている間に子供は外側に落書きができるという・・


田中:
いいですね!あの大きさで落書きができるって!


髙島:
はい。結構ダイナミックに!


田中:
大作が出来上がりますね!


髙島:
そうなんですよ!

お家で集中するスペースが中々持てないじゃないですか。もともと私自身が家で仕事するのが難しいでしょと思っていて、子供がいると尚のこと。


田中:
難しいですよね〜


髙島:
寄ってくるとか、前から攻撃してくるんですよ!彼らは


田中:
前から(笑)


髙島:
普通の机とかだと正面から(笑)
前と横から来ます。で、後ろ側は肘でガードができるんですけど(笑)


田中:
(笑)


髙島:
ということでSOiROは3面を囲っています。


田中:
前と両脇ですね。


髙島:
これも7月に発売したんですけど、開発自体は3年くらい前にスラックレールと同時期にアイディアが浮かんでまして、
その時にはもう国の方でリモートワークを推奨しててワークライフバランスとかが話題に上がっていました。

うちとしても在宅のママとかにデザインのお仕事をお願いしたりしていて、そうすると小さいお子さんがいたりして集中したいけど集中しすぎると見えなくなっちゃうじゃないですか。


田中:
仕事以外のことがですね。


髙島:
いざ囲ってしまうと良くないので、囲ってるけどちゃんとコミュニケーションを切らないということでSOiROは18センチの丸い窓を左右につけています。
気配を感じながらも思いっきり邪魔もされない。

それに丸い窓っていうのは潜水艦しかりワクワクするんですよ〜。


田中:
つい覗きたくなっちゃうというか・・


髙島:
そうなんですよ!

見た目的な可愛らしさもありますし、開け閉めができるということで大人の方が使うときは外の子供たちの様子を見るっていう役割で使っていただいて、
子供たちはアイスクリーム屋さんごっこをやったりとか。


田中:
いいですね!あの窓から商品渡したりとか(笑)


髙島:
そうそう!「ジュース持ってきたよ」とか。
そう言ったコミュニケーションを消さずに仕切るということを目指して開発しているので、若干おもちゃ屋さん目線というか、わたしがやるとそうなっちゃうというところが入ってますかね。


田中:
すごい遊び心が散りばめられてますよね!


髙島:
そうですね〜まだまだ入っています!(笑)


田中:
先日打ち合わせさせてもらった時に組み立てから座るところまでやらせていただいたんですけど本当に簡単ですよね〜説明書がなくてもすぐできて。


髙島:
はい!
女性とか重い家具はなかなか組むのが大変だと思うんです。
それにネジとか使っちゃうとなんだかんだ言って複雑じゃないですか。説明書があっても中々読めない人もいますし。


田中:
そうですね〜。


髙島:
その中でいかにシンプルでしかも丈夫で。

うちの測定ですけどSOiROはスーパーで買ってきた2リットルのペットボトルを30本乗せて60キロ、乗せましたけど全然大丈夫でした!


田中:
すごいですね。10倍の重さを乗せられるんですね!


髙島:
耐久性も確保する設計にして、デザインも自社でやっています。
収納や出し入れも意識して、本体自体の厚さが5センチになっています。

組み立てた時の幅は大きければ大きいほど仕事をするスペース増えていいんですけど、
27インチのデスクトップが置けるサイズにしておりまして、モニターがしっかり置けるんだけどギリギリのサイズの75センチです。
このサイズは廊下で使ったりベランダで使うのにギリギリのサイズ。この前買ってくれた方はお風呂場に置いたりしてるみたいで(笑)


田中:えー!!(笑)


髙島:
いろんなお家がありますけどやっぱり基本的に狭い。


田中:
そうですよね〜


髙島:
じゃあどこでやるの?ってなった時にリビングは想定してやってますけど、それでもリビングにずっと置いておくわけにいかないじゃないですか。


田中:
かさ張りますもんね。


髙島:
はい、そんな時に折りたたんでしまえる。あと、逃げる場所も。
いろんな場所でやりたい場所でできるというか、玄関とかで囲ってしまえばリモート会議なんかもやりやすいじゃないですか。
なので幅も結構ギリギリまで詰めて作ったりしてるんですね。


田中:
普段の作業はリビングでお子さんとかがいてもいいかなと思いますけど、どうしてもリモート会議みたいなちょっと静かにしないといけない時には動かしたくなりますもんね。


髙島:
皆さん困ってるというのは薄々感じてましたし、一人暮らしの方もワンルームとかで見せたくない部分が色々写っちゃうというのことで困っていて。


田中:
背景とかに(笑)


髙島:
そういうことを聞いてると需要があるのかなと思いますね。


田中:
3年前から開発されてたということなんですけども、テレワークや会社でもソーシャルディスタンスを守ってお仕事したりっていうことが増えた今の状況にぴったりですよね!


髙島:
その当時、3年前だと今のところまで作り込めてなかったんですよね。
今よりワンサイズ大きくて、そうすると値段も高くなってしまって10万円とか。
流石にそれはないだろうということで、同時にスラックレールをやりかけたところだったのでスラックレールに注力をしていました。

今年コロナが流行りだして、私も会社にいることが多くなりまして、社員は在宅にしていることから赤羽のオフィスに一人で引きこもることが増えまして(笑)


田中:
(笑)


髙島:
それと同時に仕事でいうとOEMのアニメグッズなどの制作の方も非常に激減しまして、かなりやばいところまで行ったんですね。


田中:
それはイベントなどが中止になってしまったからですか?


髙島:
イベントもそうですし、映画の公開が伸びたりとか思いっきり影響を受けた業界の1つがエンタメ業界だと思うんですけれども、シェアの8割をそっちでやっていて酷い時は9割減になりました。今年の2月とかは。

これはまずいと当然わかってはいたんですけどその時に引きこもっていたんで、
その時にオリジナル品の比率を上げなければと考えていて、その時に「おぉ!忘れてた!」と(笑)


田中:
(笑)


髙島:
それからずーっと図面とかにらめっこしたり、ミニチュアの模型を設計したりして。

うちの社員がデザイナーなので綺麗にするところは社員にやってもらうんですけど、ベースのところは僕が考えて、何回もやり直して今に至るという感じですね。


田中:
そうだったんですね。
SOiROが新聞に取り上げられているのを拝見したんですけど、実際の反響いかがですか?


髙島:
問い合わせはご家庭よりBtoBの方が今のところ多くてですね、今度もコワーキングみたいなところで採用していただいたりとか、障がい者の子供たちの教室で仕切りがある方が集中できるということでそういうところとか。

あとはテレワークで使って買っていただいている方もいますし、とはいえ思ったほどでもないですね。
というのはやっぱりダンボールという響きの壁が超えられてないというのが本音でございます。


田中:
あ〜。ネットで見た印象よりも実際に使った方が機能に驚くというか、やっぱり使ってみたいとわからないというところはありますよね。


髙島:
そうですね。スラックレールもそうですし、やっぱり見た目だけじゃなくて使わないと伝わらなくて・・・でも理由も正直わかってるんです。
自分が作ろうとしているものってシンプルなものなんです。
デザインもごちゃごちゃしてないし、機能機能してない。シンプルにすればするほど何かわかりづらい。


田中:
あ〜。洗礼されすぎてるんですね!


髙島:
素材に近いので。
で、やっぱり大きい会社でもないのでCMを打てるわけでもないですし、広告費を、っていうわけでもないのでそこは本当に地道伝えていくしかないと思っています。
なので、このラジオは期待しています!


田中:
(笑)

でも実際に使ってもらいたいですよね〜!


髙島:
そうですね!ぜひ!

そういう触れる場所っていうのは今このコロナ禍でやりづらい部分ではあるんですけれども、そういうことでご協力いただける企業があれば・・・例えば城北信用金庫さんとか、城北信用金庫さんとかですね!(笑)


田中:
(笑)


髙島:
ちょっと窓口の記帳台で置いていただくとかですね。


田中:
あ〜いいですね!


髙島:
そう言ったこととかでちょっとずつ質感とか見ていただく場が増えたらいいなと思っています。


田中:
絶対に実際使うとすごさに感動しますもんね〜!


髙島:
ありがとうございます。


髙島さんが考えるおもちゃとは?


田中:
優れた独自製品を生み出す髙島さんですが、いまの事業をはじめた経緯について聞かせてください。

髙島:
働きだしたのは30年弱前で、大学を卒業して最初に就職したのがおもちゃメーカーでした。
元々は開発志望で入ったんですね。大学も機械工学科を卒業した理系の人間なんですよ。とはいえあんまり勉強はしてないんですけど(笑)
モノを作るのが好きで、営業なんかしたくない、モノと何かしていたいという人間だったんです。

新入社員時代、最初に入った会社で開発志望なのにいきなり大阪の営業へ飛ばされてしまって、とはいえ自分でものづくりがしたいという想いがたまっていきました。
実は他のおもちゃメーカーへも転職したんですけど、もう一社でも同じように売り歩いたりしながらやはり最終的に自分でモノを作りたいな、というのがずーっとあったんですね。

それこそ北区起業塾とかも2回ぐらい参加させていただいて、そろそろ起業しようかなと思いながらも、でもやっぱりなかなか起業ってお金もないし・・・とかいろいろあるじゃないですか。


田中:
一大決心ですもんね。


髙島:
なかなかやったことがないことなので。

でもやっぱりどうしても、という想いが消えなくて実は一回ちっちゃなおもちゃメーカーをやろうと思ったことがあったんですね。
試作を自分の子どもに与えて実験していたのでこれ作りたいあれ作りたいという想いは持ってたんですけど、ずっと営業畑だったのでいざやろうと思ったら生産・製造するスキルがないことに今更気が付いたんですよ。

結局元々勤めていたメーカーというのは中国で商品をつくっていたので、どうしても営業サイドにいるとものづくりの現場には携わっていなかったんですよ。
これはいかんということで3年半ぐらい川口の、町工場に近い企画とかもやっていた会社に勤めさせていただいて、その時にそういった町の方々とモノをつくっていくことがどういったことなのかを知りました。
そして、3年くらい前に起業させていただきました。


田中:
おもちゃを作りたいと思ってらっしゃったということですが、どうしておもちゃだったんですか?


髙島:
大学の時に就職でおもちゃメーカーを受けるんですけど、この理由も本当に大した理由じゃなくて、本当に勉強をしてなかったんですよ。
とはいえ機械や装置を作る、実験だけは好きだったんです。

いざ就職となったら、愛知県の学校だったのでみんな自動車産業、メーカーでなくてもなにかしら部品であったり、それに近しい会社へ就職していきました。

その時にふと思ったのが、いやそっちはあまりにも勉強してないから無理だな。
いやでもなんか作るならおもちゃぐらいいけるんじゃないか、って突然降って湧いてそこからおもちゃメーカーを受けるようになりまして、たまたま入社しました。

ただその後、大阪で営業をやるようになって、百貨店とかでクリスマスや土日に実演販売をやってたんですよ。
そうするとクリスマスの24日の18時過ぎとか、会社終わりに買いに来る人が居るじゃないですか、何か紙に書かれた物を買いに。
で、ヒーローものでいうと「赤が欲しい」みたいに同じようなものを買いに来る。
でもその時には申し訳ないけど、売れ筋だと先に無くなってしまう。
それを見たときに、いやこういうことかと、うちの親はずっとこれだったなと(笑)


田中:
(笑)


髙島:
そのお父さん達も必死になって来てるんですけど、残念ながらないものはしょうがない。
そういうのもおもちゃを志した理由には入ってまして。
そういうのを見ていたので僕が作るおもちゃは基本的に、売れる売れない、その時だけ売るとかではなく、どちらかといえば定番の長く売れるものを作りたいなと思ってます。


スラックレールはただのかまぼこみたいなものなんですけど、これはトレーニングと言いながらも、遊べるっていう意味ではおもちゃで、使い方はお客さん次第なんです。
基本的にはおもちゃなんて要らないよ、枝や割り箸で良いんだよ、遊ぼうと思えば遊べるから、というような考え方がベースにあるので。
使い手がどうやって遊ぶかを楽しみにしながら作っていくおもちゃメーカーを目指しています。

一回作ったものはどうやったら長く売れるかをすごく研究しながらやっているので、実は変わった営業スタイルをとっていまして。
ただ売ればいいっていう訳ではなくて、皆さんと一緒に広めていったりとか、誰もが長く使っていっていただきたいんです。


田中:
髙島さんが作られるものって、スラックレールにしてもSOiROにしても、いろんなことができたりいろんな効果があって、本当に長く使えそうですよね。


髙島:
そうですね。本当に使い手で変わる商品なんですよね。

説明書があって、これはこうしなきゃだめっていう考え方への捻くれたアンチのようなところがありまして。
あれやっちゃダメ、これやっちゃダメっていう社会的背景が嫌で、自分自身もだめって言われるとモチベーションが上がらないのでどちらかというと「どうぞどうぞご勝手に、自由にして下さい」っていう人が居てもいいんじゃないの、と思います。
今はどちらかというと説明書があって、こういう使い方しないといけませんというものが非常に多くて。

そこに対してスラックレールはまず壁に使われている安全な素材で作られている時点で安全ですし、高さも3センチですし、それで危ないじゃないか!って言われたら、
いやそこの段差の方がよっぽど危ないじゃないか!と、実はそんなことも思いながらやっていますね(笑)

とはいえ子供に渡せば振り回しますし、わっかにして輪投げしますし。
お母さんに「これ使い方駄目ですよね?」とか言われても「いや何でもオッケーです!全然オッケーです!」みたいな(笑)

実はスラックレールの長い方は一回リニューアルをしていまして、最初のやつよりもちょっとだけ柔らかく、軽く、形も改良しています。
何故かというと初期のやつは理想よりもちょっとだけ硬かったんですね。叩くと「ペシン!」と、ちょっとだけまだ痛い硬さだったんです。
で、振り回して叩いたときにシャレでシャレで効くだろうという硬さに改良したんです。


田中:
ちっちゃい子がそれこそチャンバラごっこだったり(笑)


髙島:
そうそう、絶対やるから(笑)それを駄目って言いたくないんですよね。
なかなか伝わりにくいことばかりやってるんですけど、実はそういうことも含めて考えられた商品で、随時改良をしています。

実はソイロも下に半円の溝が付いているんですけど、それはデザインのためだけじゃなくて、スラックレールが通るようになってるんです。


田中:

えー!それ初めて知りました。


髙島:
そうなんですよ、足元においてフットレストみたいに使っていただいたり。
強引かもしれないですけど、そこからスラックレールを繋いてSOiROをくっつけて、みたいな。SOiROも、子供たちからしたら秘密基地だなと、思いましたね。


田中:
確かに、秘密基地にしたくなりますね!


髙島:
そんなことをやって遊んでくれるのもありかなと、考えながらいろんな仕掛けを地味にいっぱい突っ込んでます。


田中:
すごいですね、本当にもう遊び心がこれでもかと(笑)


髙島:
ただ伝わりにくい(笑)


田中:
でも聞くとどんどんお話が出てくるので、聞いている人はどんどん商品のファンになっていきますね。


髙島:
いやいや。長くなっちゃって編集ごめんなさい(笑)


田中:
会社のコンセプトを教えていただきたいです。
「楽しいところに人は集う」にはどんな思いが込められているんですか?


髙島:
おやじの会をやっていた時に、「じゃあやるよ!」と言ってもなかなか人は付いてこなかったんですよ。で、結局一人でやってしまっていた時代があって。

お客さんも同様に「こっち来な!」って言ってもなかなか来ないじゃないですか。
でもそれってよくよく考えたら自分が子供の頃を考えてもそうで「こっち来いよ!」ってせっかく誘ってくれるけど、言われれば言われるほど行きたくない、行きづらい、みたいなそういうことやってたなと思いまして。

でもほっとかれてもすごーい楽しそうにしてるのを見せつけられると行きたいなーっていう思いのバロメーターが並々溜まっていって、その時に「来いよ!」って言われたら「行きます!」みたいな。その声のかけ方もあると思うんですよ。

最初はとにかく楽しくやっていれば人は興味を持ってくれて、最後の一言「どうぞ」って言えば人は集まるだろうな、と思っています。
「楽しい」に対して文句を言う人はそうそういないじゃないですか。
そこをベースに何でもやっていけばそんなに人と戦うことも争うこともないし、何より自分たちが楽しいからですね。そんな良い武器ないじゃないですか。
そんなところから、楽しいオフィスを作ろうというコンセプトにさせてもらったのかな。


田中:
「楽しい」って能動的になりますもんね。


髙島:
そうなんですよ。能動的じゃないと嫌だし、無理矢理やらされちゃだめかなと。


田中:
能動的なものって選択肢があった時に絶対上位になるじゃないですか。
それほど強いものってないですよね。


髙島:
やらされ仕事はどこまでいってもやらされ仕事というか、やっぱり自分が心底やりたいという気持ちが大事ですよね。

でもやっぱり興味があることに蓋をすることが一番もったいないなと思いますね。
まずはやらせるということをしないと、悶々としたものが残っちゃうと思うんですよ。
とりあえすやっていいんだよっていう雰囲気を作ってあげることもすごい大事で、そこにはやっぱり楽しい雰囲気を作ってあげることがすごい大事だなって。

おもちゃが実はその一つの装置になればいいなと思っていて、親子関係だとか、地域だとか、スラックレールに乗っておけばなんか知らないけど笑ってる。
おじいちゃんおばあちゃんもできるし、子供もできるし、車いすに乗った方だって使い方を考えれば一緒に遊べるし、そこにこれがあれば会話も生みやすい。間に入る糊みたいな役割かな。
それがおもちゃの定義で、コミュニケーショングッズみたいなものだと思っています。


田中:
おもちゃって能動的に学んだりとか、人に何かやってみようというきっかけにさせたりとか、可能性が幅広いですもんね。


髙島:
そうですね。だからおもちゃに限ってじゃないんですけど、僕はおもちゃという言葉が一番使い勝手が良いというか、僕の中では基本全てがおもちゃというか、物だけじゃないんですよね。
お父さんなんか一番いいおもちゃだなと思いますし、考え方次第なのでお金をかけなくてもアイデアがふ、と湧くかもしれないし・・・そうなんです。アイデアは平等なんですよ!
皆さんがやられている仕事にもアイデアがあるし、でもそれはお金持ちだからとか育った環境とか関係なく、生み出そうと思えば生み出せるんですよ。
だから僕はそのアイデアの可能性を子供たちにも伝えたいなと思うんですよね。


お互い様な関係を作るために楽しい雰囲気を


田中:
髙島さんは様々なことに取り組まれているとお伺いしました。
最近のエピソードとして、スラックレールを北区の小学校へ寄付されたお話について聞かせていただけますか?


髙島:
はい。
元々スラックレール自体が子供の遊びや体力に良いんじゃないかな、と思いながら作っていたので、スラックレールを北区の小学校に寄付させていただきました。

それから大きな目標でいうと、この商品がなわとびとかフラフープみたいにずーっと永遠にあるような商品になったら良いなと思っているんですね。
大きなことを言いますけど、やればやるほど、いろんな方にお話しするほど、可能性があるんじゃないかと思ってきて、僕の中でも小学校で使っていただきたいなという想いがありました。

元々私の子供が通っている桐ケ丘の小学校の校長先生とは、春先からスラックレールを導入して子供たちの体力アップを見てみようぜ、っていう話を実はしていたんですね。
ただコロナの影響で学校自体が大変な状況になりまして、その話は一度止まったまま半年以上経ってしまいました。
そんな中、子供たちの体力低下だとか体を動かさないことによるストレスや精神に及ぼす影響はめちゃめちゃ大きいと思ったんです。


田中:
よくニュースとかで言われてましたもんね。


髙島:
そうですね。やっぱり体と心は一体だと思うので。
そんな中、スラックレールが本当に必要なのは今じゃないの?って思って。

これはもう子供が通っている小学校だけじゃなくて、北区で会社もやらせていただいているし北区にお知り合いもいっぱいいますので、まずは小学校にできる本数ですけども1校8本を35校で、合計280本を何かしらお役に立てればなということで寄付させていただきました。


田中:
今はみんなで集まって遊んだりもできないですしね。


髙島:
そうですね。
スラックレール自体が、いかに閉鎖空間でも体を動かすことができるかっていうのをやりたかったんですよ。

理由は狭い保育所さんとか一番イメージしたのは院内学級とか、なかなか外に出れない子供たち。
ともすれば室内でなんかするって言ったら手を動かすおもちゃとか、そういったものにどうしてもなっちゃうじゃないですか。とはいえ走り回れない。
そんな中これは乗るだけ、でも意外と体を使う、しかも安全。実はそういうのも同時進行でイメージしながら作りました。

今回のコロナで閉鎖空間にみんなが追い込まれて、でもその中で安全と同時に体を鍛えるというか、トレーニングしたり遊べたり、ということが必要なのは・・・まあ今でしょ(笑)


田中:
本当にそうですね。
外で遊べなくてもこのスラックレールを置くスペースさえあれば、できちゃうんですもんね。


髙島:
そうなんですよ。


田中:
小学校の子供たちの反応はいかがですが?


髙島:
実際はまだ導入までいっていないんですけれど、もう既に寄付の前から児童館などに何か所か取り入れていただいていて、みんな勝手に出してきては乗ったり、繋いでぐるぐる歩いたりということはしているそうです。


田中:
子供たち夢中になってやるでしょうね。


髙島:
そうですね。
子供たちもなんですけど本当は同時に先生もやった方がいいと思います。
先生も病んでるよね(笑)


田中:
(笑)


髙島:
ごめんなさい、怒られる(笑)
でもやっぱり健康のためにも先生たち、というかみなさん運動不足だと思うので、先生も子供と一緒にやっていただけたらいいんじゃないかなと思います。


田中:
ちょっと体を動かすと、心も楽になりますもんね。


髙島:
そうですね、やっぱりほぐれますよね。


田中:
他にも髙島さんは災害支援の取り組みにも携わっているんですよね。
こちらはどういった取り組みなんですか?


髙島:
これ話すと長いですよ~(笑)


田中:
(笑)


髙島:
実はですね、「スラックライン推進機構」という団体が長野県の小布施町というところにございまして、そこの代表と仲良くさせていただいていて、スラックレールの発売においてもスラックラインの普及のために使える練習道具として導入されているんです。

その前段階で、我々桐ケ丘でスラックラインのチームを作るにあたって、代表といろいろやりとりをさせていただいていた経緯がありまして、その代表というのが小布施町にある浄光寺というお寺の副住職、坊さんなんですよ。


田中:
ちょっと意外な(笑)


髙島:
意外な(笑)チーンって感じですね(笑)
その副住職が林映寿さんという方で、その方とスラックラインを通してここ2~3年仲良くさせていただいているんです。

林さんを知るきっかけになったのが東北の震災の時で、林さんが宮城県の女川町に復興支援の「笑顔プロジェクト」というものを作って長野から毎週のように物資を持って炊き出しに行ったり、「筆遊び」という筆で楽しく書く教室をされていたんですね。

私は全然別のプロジェクトでたまたま女川町と関わらせていただいていて、実際会うことはなかったんです。
でもなんとなくフェイスブック上で「笑顔プロジェクト」っていうよりは、アイコンのにこにこした坊さんがやたらと出てくるな・・・みたいな感じに思っていたんですけど(笑)

それが実はスラックラインをやっていたお寺だっていうのがわかりまして。
和尚が書いた「楽しいだけで世界一」という著書が、我々がスラックラインを始めたのと同じタイミングで出たんですね。
それを読んでいたら地域活動であるとか、スポーツを通してであるとか、お寺とは何だ、っていうよりも普段からみんなが楽しく集う場所であれば、いざ何かあったときに使えるよねとかお葬式だけじゃないよね、お寺ってそういうスタンスだから人が来ないんだよ、というようなことが書いてあったんです。

楽しいことをして人を集める、というのはまさに私がさっき言ったことと同じことをやられてまして。


田中:
同じですね。


髙島:
教科書みたいな感じだったんですね。
実際もう布施町ではスラックラインというのは結構前からお寺に導入していて、楽しくやってたら人が集まってきて、いろいろ設備を整えていったらそこにいた高校生が世界チャンピオンになっちゃった、というリアルストーリーがあって、それも本になってるんですけど。

そういうきっかけもあって林さんと交流をしながら、去年9月に林さん率いるスラックライン推進機構が長野でワールドカップを開催したんです。
その時は丁度千葉の方で台風があった直後で、大会を通して募金活動をやらせていただいてたんですけど、一か月後に大会会場だった公園が水没したり、小布施町がすごい被害にあったんです。
その時に林さんが「笑顔プロジェクト」をまた復活させて活動し始めることになって、その時に私も一緒にお手伝いをさせていただくことにしたんです。


田中:
髙島さんはどんなお手伝いをされているんですか?


髙島:
長野の件でひとつだけ補足させていただくとスラックレールという商品を最初は商店街で作っていたんですけど、実は二年目から長野の小布施町で作ってまして。
その理由は長野に移す前の段階で「もやもやさまぁ〜ず」っていうテレビに出たんですよ。


田中:
髙島さんがですか?!


髙島:
そうです(笑)
商店街で出たんですけど、その時もすごい売れたんですよ。
その当時は一人で夜な夜な作っていた感じなのでキャパオーバーで、もう限界っていう時に林さんに「そろそろ工場とか考えないと無理だな〜」って言ったら「いい場所あるよ。」って翌週4件ぐらいとんでもない物件を紹介してくれて。
ヘリポート付きとか、250台止めれる駐車場付きとか、カラオケルーム付きとか(笑)
最終的には別のところにしたんですけど、そんな御縁から小布施町で生産と物流をするようになって、長野には月1~2回くらい足繁く通っていたんですよ。

そうやってスラックラインの筋でお世話になっていた中で、長野自体が震災で変わって我々としても出来ることをやろうと。
グッズ製作で缶バッチみたいなものを作って、最初の頃は子供たちにガッチャンガッチャン作らせたり、商店街のお祭りに募金箱を置かせていただいたりとか。
そこからちょっとだけ拡大させてバッチを全国の置いてくれるところ、例えば御縁のあった神戸のお好み焼き屋さんとか、お寺とか、そういったところに送らせていただいて、収益は「笑顔プロジェクト」に寄付するっていう活動をさせていただいただいてました。

基本的には楽しくにこにこできればいいじゃん、ぐらいにしかベースは考えてないと思いますし、僕もそうなんですけどそこに問題が起きたときにそれを辛そうにやるとか、どうしようどうしようってなるんじゃなくて、逆に楽しくクリアしてく、みたいなのが一緒にやっていてワクワクします。

実際いま長野に対してお手伝いさせていだだいているのが、それこそ先程の林さんのお話の通り、いつ起きるかわからない、我々こっちの北区であっても去年荒川の水位が上がって、明日は我が身。

今そういう困ってらっしゃるところとこういうことをやってるっていうのはもしかしたら逆の立場になることがあり得る。
その時いまこういう関係を作っておくというのは凄い大事なことじゃないかなと思うんですね。
まあ勝手に思ってるだけかもしれないけど、逆の立場になっても絶対やりますし、もし何かあった時に何かしら助けていただく側に回る気もします。
これは遠いからじゃなく、近所とか、北区とか、それぞれ全ての人なんですけど、そういうことを思うと、困ってらっしゃる人に対して何かしらアクションを起こしておくっていうのはすごい大事なことだと思います。
プラス僕がラッキーなのはそんな中でも楽しんじゃう面白い人になっちゃったんで、一緒にやってる経験っていうのはなんかの時に役立つんじゃないかなと、こうやってラジオを通してお話しさせて頂いてるのも何かしら繋がりができたり、興味を持っていただけたらな、という思いがあります。

実はいま長野の「笑顔プロジェクト」の中の大きなプロジェクトとしては、重機やバギーに乗る体験をしたりとか、災害の時の訓練じゃないですけど、アミューズメント的に体験をしておいて有事に備えるみたいな、防災のテーマパークみたいなものを本気で作っているんですね。

課題解決の為に必要なものは遠慮なく使うし、作るし、お願いするし、それはお互い様に繋っていくことなので。
そういった方と今のうちから繋がっておいたり、そこにヒントを得て何かしら取り組んでいったり、ご縁繋ぎみたいな話になっちゃいますけど、そういうことってすごい大事だと思います。
そこに我々は必ず、楽しんじゃうというのを入れていて、その方が来やすいじゃないですか。難しい顔されてたらね、恐縮しちゃうしね。


田中:
入っていいのかな?って思っちゃいますもんね。


髙島:
僕らみたいに「あぁそうだね〜」みたいな、「大丈夫このおっさん?」みたいにしておくと話しかけやすいかなっていう(笑)


髙島さんにとってのライフワークとは?

田中:
ここまで髙島さんが行っている事業や取り組みについて聞かせてもらいましたが、全てに遊び心を持って取り組まれている印象を受けました。
スラックレールやソイロに関しても沢山の効果を生み出すための緻密な商品設計があって、これは楽しむことができないと作れなかったんじゃないかなと思うんですよね。

仕事をするときに楽しむことって非常に重要なことだと思うんですけれど、髙島さん流の仕事を楽しむ極意を教えてください。


髙島:
はい。
極端に言うと、楽しくないことはやらないと決めちゃうということです。
ただ実際やらなきゃいけないことは当然山ほどありますし、首をつっこめばつっこむほどやることは膨大に増えていくんですけど。
楽しむっていうのは興味を持つことで、興味を持ったら蓋をするんじゃなくてとりあえずやってみる。何故そうするかっていうと、結局蓋をしても最後はまた出てくるんですよ。


田中:
ありますね。


髙島:
後で後悔したり、やりたいなと思いながら他のことをすると、他のことをしている間もやりたいことに引っ張られるので実際やってることに集中はできない。本気になれないと思うんですね。
何が一番いいかというと、興味を持ったものはその場ですぐやっちゃう。興味を持ってるから思いきり入っていけるので。

楽しくなきゃ辞めればいいし、楽しければのめり込めるし、やっぱり本気で入りやすいというか、本気でやるとクリエイティブに頭も働くし、そういうことだと思うんですね。
だからやりたいなと思ったことには素直に自分の耳を傾けてとりあえずすぐやる。寝かすとやらないから。

とはいえ自分も起業に至るまでうじうじしていた期間が本当に長かったです。
でも今の心境としては興味を持ったりとか楽しそうだと思ったものは何かしら自分に引っ掛かるものがあって、それは経験もあるし、本能なのかもしれない。
やってみると失敗もするんですけど、やればやるほど精度が上がるんですよ。
で、いま僕失敗しないので。

嘘です(笑)ごめんなさい(笑)


田中:
(笑)


髙島:
それは嘘ですけど(笑)
類は友を呼ぶとも言いますし、一緒にやる仲間においても、つまらない人とはやらない。
見た目がつまらないとかじゃなくて、やろうとしていることが自分と似ているとか、興味あるものが近しければ楽しくなるんじゃないかなって。

そこに至るまでが僕は大変だったので簡単にできるとは思わないですけど、一個ずつ皮を剥いていくというか。
どうしても蓋をいっぱい抱えちゃってる人って多いなって思うんですね。それをちょっとずつちょっとずつ剥いていく感覚かな。
でもそれを続けていくと、和尚みたいになれますよ(笑)


田中:
(笑)

でも髙島さんもお仕事をすごく楽しまれているなと思うので、勿論ご住職もですけど聴いてて髙島さんみたいになりたいと思われている方もたくさんいると思います。


髙島:
あ、あ、ありがとうございます(笑)


田中:
(笑)

まずはやってみるということですね。

髙島:
そうですね。
やっちゃいけない理由って無いと思うんですよね。
だってみんな失敗するし。失敗しない人なんていないじゃん。子供の頃って転ぶわけだし、大人で転んだっていいわけだし。

良くないのは転んだら終わりっていう風潮が一番嫌だなと思って。ミスったり、大袈裟ですけど犯罪を犯したら終わりとか、こういう生まれだからダメとか。
そういうので人を判断するんじゃなくて、いま目の前の人がどうしたいかで付き合っていけばいいんじゃないかなと思うんですよね。

実は「楽しいところに人は集う」というコンセプトの大元は、老若男女、障害、国籍全て問わず、日の当たる場所にみんなが自然と出てこれるような世の中になったらいいな、と思ってるんです。
そのために僕はたまたまおもちゃを通じてでしたけど、何か貢献できればいいなと思ってます。同じように皆さん何かしらお仕事されたり、活動されたりすると思うので、そんなイメージをお持ちの方と一緒に歩んでいけたらいいなと思っています。


田中:
これが最後の質問です。

この質問はインタビューに答えてくださる方皆さんにお伺いするものです。
あなたのライフワークは何ですか?

個々の取り組みに限定されたお話ではなく、人生をかけて取り組んでいることや果たしたい目的を教えてください。


髙島:
みんなが普通に暮らせればいいと思います。
そのためにもっと自由でいいんじゃないかって、自由を訴えながら生きていきます。
それはおもちゃであったり、活動であったり、とにかくみんな自由でいいんだよっていう想いだけです。


田中:
自由ってなかなか難しいですもんね。


髙島:
そうですね。
とらえられ方はいろいろあると思いますけど、やっぱり基本は自分なので、犯罪とかそういうのじゃなければ自分がしたいようにすればいい。
もっと自由でいのに自由にできないことって本当に多いんじゃないかなと思うので。そういうことで苦しんでる人たちや、子供たちや、世界中の人がいらっしゃると思います。

でも何でこんなに不自由なのかなって思うんですよ。不自由になった理由もわかるんですけど、自分の思うやり方で、僕は僕の思うやり方で、一緒にやれる仲間たちとずっとニコニコしながらやっていきます。


田中:
スラックレールの使い方を特に定めないというのも「自由」に繋がってますよね。


髙島:
そうですね。もう本当に、自由です。
特に許しを得るとか必要ございませんので、自由にどうぞ!(笑)


田中:
(笑)
これからも沢山の新しい使い方が広がっていきそうですよね。


髙島:
それがね、見たいんですよ実は!
自分たちの考えだけじゃなくて、ぶっ飛んだ使い方とかを、皆さんお待ちしてます!


田中:
髙島さんありがとうございました。


髙島:
ありがとうございました。

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