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「行き渋り」時期に後悔した発言3選
娘の様子に「あれ?」と違和感を覚えたのは中2になってから。テストの後や行事の後にポツポツ休むようになった。「少し休めば気力も体力も回復する」と信じていた私は、不安を感じつつも「まだ大丈夫」「まだがんばれる」と励ますことしかできなかった。
もし、この時期に学校を休ませていたらどうなっていただろう?不登校にならずに済んだのか?それともやっぱり不登校になったのか?それは誰にもわからないし、今となってはべつにどうでもいい話だ。
ただ、振り返ってこれは我が子を追い詰めていたと猛反省した発言があった。親心から、子どものためを思って言ったつもりだったが、まさに「傷口に塩を塗る」言葉だったと思う。
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1.学校に行ってダメだったら帰っておいで
腹痛や頭痛を訴えることも多くなってきた頃、朝になると「行きたくないなあ」と時々言うこともあった。「私だって仕事に行きたくない」と心の中でつぶやきながら、途中で体調が悪くなったら帰って来ていいからと娘に伝えていた。
これは学校に行くことが目的になっている典型的な例だと思う。とにかく学校にさえ行っていればなんとかなると、この時はそう信じている自分を疑うことはなかった。実際、学校に行ってしまえばそれなりに過ごして帰ってきていたので、「こんな時期もあるんだなあ」くらいに軽く考えていた。
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2.もっと頑張ってる人もいるからね
娘は部活に入っていたが、この頃大会の成績が伸び悩んでいた。私は努力を認めつつも、有名なアスリートを例にあげて「まだ努力する余地がある」的なことを偉そうに言っていた。週1回の休み以外は活動し続け、娘にとって、はじめは楽しかった部活も「やらなければならない」ものに変わっていき、勉強との両立も大変になってきたことはわかっていた。それなのに「もっと上を目指せ」と励ますことしか私にはできなかった。娘はどんな気持ちで聞いていたのだろう。きっと素直に「もっとがんばらなきゃ」と自分を追い込んでいくしかなかったんだろうな。
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3.社会に出たらもっと厳しいからね
これは娘だけじゃなく、中学校教師だった頃も生徒にも言っていた。私もそう言われて育ってきたから、そういうものだと思っていた。社会は厳しいから学校にいる時も多少理不尽なことも我慢しなさいということだと思うが、そもそも「社会は厳しい」設定が変化してきているのではないだろうか。
今年就職した息子の話だと、パワハラ的な上司や飲み会にしつこく誘う先輩など、昭和世代にはありがちだった職場の環境はないそうだ。息子の職場だけで社会全体を語るのはムリがあるかもしれないが、令和になって時代の変化が加速しているのは、誰もが感じているだろう。若者の価値観を作ったのは時代背景や環境、そして教育だと思う。そしてその指導する立場にあったのが私たち親世代なのだ。変化を責めることはできない。それに仮に社会が厳しいなら学校や家庭はそれを癒す場であるべきだ。世の中が厳しいから、家でのしつけも厳しくしなければならないというのは、私世代で終わらせるべきではないだろうか。
4.親のせいじゃない、でも覚悟を決める
不登校はその時期によって親の対応も変わってくる。でも一貫しているのは親が腹をくくることだと思う。「我が子を丸ごと受け止める」覚悟だ。私は不登校は「こどものせい」でも「親のせい」でも「学校のせい」でもないと考えている。もちろん「いじめ」が原因の場合は別の話だ。
でも誰かが悪いと決めてしまうと、そこで思考が停止してしまう気がする。「親のせいだ」と言われた親はどうすればいいのだろう?これまでの子育てや、自分の人生まで否定されなければならないのだろうか?そんなことはない。ただ、子どもの幸福を願えば、何をして、何をしなくていいのかがわかってくる。その努力は親がしなくてはならないと思う。