【無料記事】電気航空機に関する特許を調べたが・・・うまくいかなかった例
本日の 毎朝特許検索 はこちらの電気航空機を取り上げたいと思います。
電気航空機はタービンエンジンではなく電動モータを用いますが、電気航空機で検索しようとすると、ドローンもヒットしてしまうので、特許調査としては結構難しいテーマです。
まずはJ-PlatPatの全文キーワード検索で、
[電気航空機/TX]
と検索すると、34件ヒットしますので、特許分類を確認していきます。航空宇宙関係の特許分類はB64なので、B64を中心に検討していくと、
B64D27 航空機内における動力装置の設備(略)
がランキングから見つかります。
特許分類のサブグループとして、
B64D27/24 ・・蒸気,電気またはバネ力を使用するもの
が付与されている特許が多数見つかりますので、いったんFI=B64D27/24のみで検索してみます。
[B64D27/24/FI]
588件ヒットし、ざっと数件確認していくと、ドローンやハイブリッド飛行体が混ざっています。
最近の出願には、B64D27/24の定義に含まれる蒸気やバネ力を使ったものはなさそうです。
モータ駆動のものに限定したいのですが、ドローンが含まれてしまいます。
またハイブリッド式はプリウスのように、エンジンとモータを併用していますので、何かで絞り込むかNOT演算する必要があります。
キーワードで
[B64D27/24/FI]*[モータ/AB+電動機/AB]
のように絞り込んでも、ハイブリッド型は残ってしまいますし、ドローンもモータ駆動なのであまり有効な絞り込みではありません
そこで
[B64D27/24/FI]-[ドローン/TX+モータ/TX+電動機/TX]
のようにNOT演算するのですが、実はヒット件数は588件で
[B64D27/24/FI]
と変わりません。これはJ-PlatPatでは特許分類 NOT キーワードが効かないからです(早く直してほしい)。
しょうがないので、特許分類でNOT演算してみます
ドローン関係はB64C27,B64C39が付与されることが多く、エンジン関係はF01,F02なので、
[B64D27/24/FI]-[B64C27/00/FI+B64C39/00/FI+F01/FI+F02/FI]
とすると99件になりました。しかし、特開2020-059472のようなドローンもまだ含まれています。
特許分類同士のNOT演算もあまりうまくいかなかったので、再度B64D27/24にキーワードのAND演算を検討してみます。
ドローンと電気航空機の違いは何か?といえば、基本的にドローンは無人であるのに対し、電気航空機は人を乗せます(貨物を乗せるカーゴもありますがドローンも貨物輸送があるので除外)。
そこで、
[B64D27/24/FI]*[有人/AB+乗員/AB+乗客/AB]
としてみました(人にすると無人がヒットしてしまうので有人)。
ヒット件数は11件ですが、ヒットした特許を見てもいまいち・・・・
十分時間をかければもう少し精度の高い(=ノイズが少ない)母集団検索式を作成することができるかもしれません。
しかし、電気航空機とドローン・ハイブリッド型のように、共通する構成要素(例:モータ駆動)が多い場合は特許分類・キーワードのみで絞り込みが難しいのも事実です
そのような場合は、
航空機×(モータ+バッテリ+・・・)
で母集団を形成して、公報読み込みでノイズを外していく方が早いでしょう。
今日はいまいち不発でしたが、キーワードと特許分類だけで精度良い母集団が作れないケースもあるという例として参考にしていただければ幸いです
以上、本日の 毎朝特許検索 でした。
備考:Twitterで2020/6/22配信
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