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かわいいうちの子

うちの子がかわいいのはペットを飼う人なら当たり前だと思う。

私も例にもれずうちの子がかわいい。

だけどうちの子を可愛がれるのは私しかいないと思う。

何故ならうちの子は所謂本気噛みする凶暴犬だから。

誰が見ても健やかな笑顔で笑ううちの犬は、実は誰にも気安く触らせない凶暴犬です。

うちの犬はペットショップで一万円になっていた売れ残りです。生後半年、器量よし、素行極悪でした。

なんらかの訳ありなのは値段を見てわかるし、わからないほどおめでたい頭もしていません。訳あり動物を引き取るのも初めてじゃないし、なんかあるんだろうなと思って連れてきたのがうちの子です。

一万円のワケは3日後にはわかりました。

めちゃくちゃ警戒心が強くて、凶暴な犬でした。

このままでは共倒れだ!とすぐわかるくらいやばい犬。

今日まで何回噛まれたかもう忘れちゃったけど、かなり何度もやられました。痛かったし病院通いも何度もしました。

それでも私は小松がかわいい。

多分、これは私の才能。

腕を一本やられてもいい、小松に腕一本あげると思って付き合うことにしてから小松はずいぶん落ち着いてきました。

小松とずっと一緒に暮らす。

小松を邪険にしない。

小松を嫌わない。

小松を心から受け入れて愛する。

小松のいいところを見る。

うちの犬は嫉妬深くて独占欲が強くて、怖がりだから私を誰かに横取りされると思えば犬や誰かを襲うし、横取りされないとわかれば何もしない。

極めて愛情深いといえばそうだし、

極めて心が狭いといってもそうだ。

小松の心は扱いがすごく難しい。

躾や矯正は本質を書き換えるモノではない。

何をやっても小松という本質は消せない。

小松の本質を愛する事にしたら小松はとても落ち着いてきた。言葉で言えば簡単だけど、何度教えても夫は実践ができない。夫は小松という本質に怯えている。


私は小松と暮らすようになって、自分とも向き合えるようになったと思う。

そして、小松と向き合うことで相手しなくていい人間を選別できるようになったと思う。

向き合ってるフリするずるい人や、

「あなたのため」なんて接頭語で考えを強制する支配する人、

都合が悪くなったら逃げる人、

正義を振り回すだけで正義を履行しない人、

そんな人はたくさんいるしいちいち憎んだり、非難するなんて時間は勿体ない。彼らが変わることも、彼らが自分と向き合う事もその時点では起きえないからだ。

先のことはわからないけど、現時点でそうならそうなのだ。

小松のすごいところは、向き合えば向き合ってくれること。

出来るだけ私の言いたいことをわかろうとしてくれること。

どんなに厳しくしつけたり、叱っても基本的に私が小松を愛していると信じてくれること。

小松という凶暴犬と暮らす現実は、想像を絶する恐怖でもある。

不意にスイッチが入るので怖くて放し飼いにはできないし、添い寝は完全に2人きりじゃないと無理だ。

物音がするだけで警戒してスイッチが入りやすくなるからだ。

それでも私は小松がかわいいと思う。

理由抜きで小松がかわいい。

頭がおかしいのかもしれないけど何度噛まれても小松を憎いと思ったことがない。

自分で言うけど、小松は私のところに来るべき犬だったし、私にしか小松は飼えないとおもう。

私も小松でなければここまで徹底的に向き合って育てていたかわからない。

凶暴犬でうちじゃなかったら命も危うかった小松だけど、うちに来てくれて本当に良かったと思っている。


バカ小松がバカ可愛い。



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