ブルガリアのヨーグルトの話
日本の友達は「ブルガリアといえば~、ヨーグルト?」と口をそろえて言う。
うんざりしたいところだが、うん、本当にその通りなんだよ。
今日はそんな方々に、ブルガリアとヨーグルトについてみっちりと紹介したい。
ブルガリアで食べられているヨーグルト
前回の記事で触れたように、ブルガリアではヨーグルトはかなり人気がある。
ブルガリア(ソフィア市内)のどのスーパーに行っても最低限、ヨーグルトのためにこの程度の陳列面積は確保されている。
ブルガリアに来て驚いたのは、”ヨーグルトを家庭で手作りする”ことが非常に一般的なこと。
スーパーに行き、友人にお勧めのヨーグルトを聞くと「家で作るのが一番好きかなあ」と答えが返ってくることが多い。
菌の種さえあれば、その後は無限大にヨーグルトを食べられるのでコスパもいいとのこと。
夏の帰省中に1ヶ月間ほど電気を止められた経験のある私。
湿気の多い日本で、特別な機械もなしに満足のいく自家製ヨーグルトを作るとなると、なかなか高度な管理が必要であることが想像できる。
自家製ヨーグルトが一番おいしいと思う感覚は日本人の「家のカレーが一番うまい」というそれに似たものがあるのだろう。
羊の乳も使う
乳に乳酸菌などを混ぜて発酵させて作られるヨーグルト。
パッケージデザインから来るイメージ的に、日本で販売されているヨーグルトの殆どは「牛乳」が用いられているのではないかと思う。
一方で、ブルガリアでは”羊”や”ヤギ”の乳を使ったヨーグルトも豊富にある。(勿論、メジャーなのは牛の乳だが)
これもブルガリアがヨーグルト大国であることを象徴する一つの面白い要素ではないだろうか。
脂肪分を”%”表記する
ブルガリアのヨーグルトの大きな特徴の一つは「脂肪分が%表記されていること」といえるだろう。
ちなみに、ヨーグルトはブルガリア語で「кисело мляко(キーセロ ムリャーコ)」。
直訳すると「酸っぱい牛乳」。
パッケージに書かれている「5%」は「ヨーグルトに含まれる脂肪分の割合」を示している。
2.5%から、多いものだと10%まであることを確認済み。
数字が大きいほど、ヨーグルトは固くなっていく。
日本で売られているギリシャヨーグルトが好きな人は、恐らく6.5%あたりがお好みだろうな、という感じ。
こちらはブルガリア人曰く「ダイエット用」ヨーグルト。
「ACTIVA」は、日本でもおなじみ”ダノン”のヨーグルトなので正真正銘のブルガリアヨーグルト、とは言い切れない、、、。
だがしかし、こちらは「バラの国」ブルガリアらしい”苺&バラ”の味。
ヨーグルト飲料
Аирян(アイリャン)
牛乳のようにも見えるこの飲み物は、プレーンヨーグルトを液体にしたものだ。ブランドや店によってそれぞれ特徴は異なるが、私がアイリャンを初めて飲んだときの感想は「飲むヨーグルトの飲むヨーグルト」といった感じ。
さっぱりしていて、ブルガリア人は二日酔いの時にこれを飲むらしい。
近所のスーパーの入り口にある広告。デザインが大胆でかわいらしい。
Верея(ベレヤ)がここまで広告を出せるのもヨーグルト市場は景気が宜しいなあと思った。
ヨーグルトを使ったブルガリア料理
生で食べるだけではなく、ブルガリアでは非常に多くの料理にヨーグルトを用いる。
多くみられるのはヨーグルトを料理にかける楽しみ方だ。
Мусака(ムサカ)
左側のブルガリア料理「ムサカ」にかかっている白いソースはヨーグルトソースだ。
ヨーグルトソースと言っても、何か特別な味付けがしているわけではなく「ヨーグルト」そのものと呼んでも良い味だ。
баница(バニツァ)
こちらは「バニツァ」
薄いパイ生地のようなものにシレネなどを挟みオーブンで焼く非常においしいブルガリア料理だ。(ところで、日本に留学経験のあるブルガリア人の友人の作るバニッツアは信じられないくらいおいしい)
ブルガリアの人々にとっての定番の組み合わせは、上述したアイリャンとバニツァの言われているくらい人気料理。
バニツァにもヨーグルトを用いたソースが使われていて、バニツァにほどよい酸味を与えるだけではなく、”ブルガリア”っぽさを与える大きな働きをしている。
Мекица(メキッツァ)
こちらのメキッツァは、揚げドーナツのようなブルガリア料理
メキッツァの生地にヨーグルトが使われていることもあり、ただのドーナツよりはさっぱりしている気がする。
筆者自身、一番好きなブルガリア料理と聞かれたら一番にメキッツァと答えるくらい大好きだ。
この他のブルガリア料理にもヨーグルト用いたものは沢山ある。
まだ試したことがない料理も多くあるので、今後のブルガリア料理の記事で紹介したい。
日本人の持つブルガリア=ヨーグルトの考え
Mから始まる大手食品メーカーの代表商品の一つの影響もあり、ブルガリアと言えば、真っ先にヨーグルトが思い浮かぶのは日本人特有の考えなのかもしれない。
確かに、あまりにも”青いパッケージ”のヨーグルトの影響が強烈なのは事実だ。
けれど実際にブルガリアで生活して感じるのは、そんな「ブルガリアといえばヨーグルト」の価値観は間違いでも何でもない、ということ。
日本から遠く離れたで、寮の窓から見える色あせたブルガリアの国旗を眺めながら気付く事実は、
あの大手食品メーカーは「ブルガリアの素晴らしい文化の一つを多くの日本人に伝える」という素晴らしい偉業を成し遂げていた、ということである。