事業プレゼンの極意~創業期のベンチャー向け~
株式会社Another works代表の大林です。複業したい個人と企業・自治体を繋ぐ総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営しております。
ビジネスコンテストでの審査員やスタートアップ向けのメンターを務めさせていただく中で、よくいただく質問がプレゼン/ピッチのポイントです。いかに限られた時間で実績が少ない創業初期のサービスの価値を伝えていくか、私も初期から試行錯誤を繰り返してきました。
そこで今回は、創業初期の自分自身を振り返りながら、プレゼンやピッチで意識していたポイントをまとめました。スタートアップ経営者/事業責任者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
*エレベーターピッチや(テーマに沿って優勝を争う)ビジネスコンテストなど特殊性のあるピッチは対象外としています。
もっとも伝えたいフレーズを何度も繰り返し口にする
プレゼンやピッチで最も重要なポイントは、一番伝えたいフレーズを何度も繰り返し口にすることです。観客にとって初めて聞いたサービスのプレゼン内容は、1回の説明ですべて理解することはできず、想像以上に頭に残りにくくなります。特に多くの企業が参加するプレゼンやピッチにおいては、全く印象に残らないというケースも稀ではありません。そのため、重要なポイントは何度も繰り返し伝え、「○○企業は○○をやっているところでしたね」と印象付けることが大切です。
また、伝えたいことを複数用意し、情報をたくさん詰め込んでしまうことも逆効果です。情報過多により聞き手が混乱し、結果何も印象に残らず終わってしまうというケースもよくあります。その際は、まず伝えたいことを1つに絞り、伝えたいことを補足する情報やデータを選択していくことをおすすめします。
何より時間厳守
プレゼンやピッチにおいて指定時間がある場合、時間終了の数秒前に終わらせることを意識していました。時間オーバーはもってのほかですが、中途半端に時間が余ってしまうと上手く締まらず印象に残りません。ピークエンドの法則にもあるとおり、プレゼンやピッチにおいて最後の印象が鍵を握りますので、意識して練習することをおすすめします。
投資家/VC向けにクローズドな場でピッチをする場合、質疑応答に多く時間を回すべく10分(最大でも15分)を目安に話すように意識していました。伝えたいことを詰め込むあまり、双方にとって価値のある質疑応答の時間を削ってしまっては元も子もありません。複数サービスがあるなど説明が多岐にわたる場合は途中で質疑応答の時間を設け、タイムスケジュールをすることをおすすめします。
ピッチブックはデザイナーと作る
創業初期のスタートアップに多いのが「社長が自らピッチブックをデザインする」というケース。資金に余裕がない初期に選びがちな選択肢ですが、私はピッチブックはデザイナーと共に作るべきだと考えています。
”デザイナーと共に作る”というのは、完成された構成の資料をデザインしてもらうことを意味しているわけではありません。ピッチの壁打ち段階から議論し、最も伝えたいメッセージは何か、それを伝えるために最適なワードやフレーズは何か、どんな構成にするのかを共に考え形にしていくことを指します。これらはデザイン思考を持ったメンバーからの視点が非常に重要です。
弊社がピッチブックを作った際のポイントはこちらで詳しくまとめていますので、併せて参考になれば嬉しいです。
質疑応答をメモする
私はピッチやプレゼン内でいただいた質問をすべてメモに取ることを意識していました。例えば、ピッチ終了後に質問をいただいた方に話しかけにいき、どのような観点からその質問をいただいたのか、応答として不十分なところはなかったかについて聞くことでビジネスの穴や改善点が見えてきます。もしくは、質問をしなかった方に話しかけにいき、フィードバックをいただくこともありました。
ピッチはプレゼンをし、質問にすべて答える(場合によっては優勝する)ことがゴールではありません。すべてを事業グロースのポイントとして血肉に変えることができるか、偶然の出会いをまたとないチャンスに変えることができるか、終わった後が大切です。
また、事前準備(事後の振り返り)として自分なりのQAシートを作っておくことも実践していました。事前準備では、自社サービスを客観視したときにどこを聞きたいと思うか、徹底して想像し、質問を考え、回答を書いていきます。事後の振り返りでは、1人に聞かれた質問は他の人も抱いている質問であると捉え、次に聞かれた際に最良な返答ができるよう、最適な回答を書いていました。この作業を通じてピッチやプレゼンの穴や修正点が見えてきたり、不足している実績や作るべき事例なども明確化されたりするため、非常に価値があります。
ピッチを録画して、何度も見て研究
ピッチの振り返りとして最も有効なのは、録画を何度も見て研究することです。見るポイントは大きく分けて3つあります。
まず、目線や手振りなどのボディーランゲージです。会場全体(もしくは参加者全員)を見渡すことができているか、立つ位置や座る向きは適切か、必要に応じた身振り手振りができているかなど自分自身の立ち振る舞いを観客視点から振り返ることが大切です。
次に、ピッチで話す際のスピードや間です。速く話しすぎていないか、スムーズな流れになっているか、そして、重要なキーワードを伝える前に適切な間があるかなど聞き手の目線に立ったときにすんなりと内容が入ってくるかを確認します。
最後に、審査員や観客、聞き手の表情です。録画に聞き手が映っていれば、どのタイミングで頷いているか、どのタイミングで興味深い表情をしているか、どのタイミングでメモを取っているかを確認します。頷きがあるタイミングでは内容が伝わっているという確信を持つことができる一方、暗い表情をしたタイミングでは説明不足・説明過多が発生している可能性があります。同席してもらったメンバーからフィードバックを貰うことでも同様の振り返りができるでしょう。
最後は熱意
ここまで創業初期の自分自身を振り返りながら、ピッチやプレゼンで意識していたポイントをまとめてきましたが、何より大切なのは熱意です。
起業家自身が自分の事業を一番に信じ、その熱意を相手に伝えることが欠かせません。是非、本noteでまとめたポイントを参考にいただきながら、自信をもってプレゼンに臨んでいただければ幸いです!
大林 尚朝 / NAOTOMO OBAYASHI
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