舞台「日本の歴史」を観ました。
今回は三谷幸喜さんのミュージカル「日本の歴史」を観て来ました。前回の公演のときはチケットが確保できず、泣く泣く映像での視聴しかできませんでしたが、今回は運よく確保できたので、新国立劇場・中ホールに足を運んでいます。
単純にいえば、面白い構成で、テキサスに移住してきた家族とその家に雇われた小作人の歴史と、日本の古代からの歴史を交互に見せて楽しませていきます。
で、観ていながらふっと思ったのですが、、、、、この舞台ではずっと「因果(INGA)」というキーワードが出てきます。出自、人種、人の思惑などなど、いろいろな出来事に因果関係があって、つながっているということを示唆していると思います。
現実の歴史における因果関係は、後世による修正もあるので、どこまでが正しいのかはわかりませんが、でも無作為に何かが起こることもなく、この「日本の歴史」の中で織田信長を討つために出てくる明智光秀は、たしかにぽっと出の人物で、織田信長を討つためだけに出てきた人物に思えるのも確かです。「麒麟が来る」をずっと見ていましたが、やっぱり彼の価値は織田信長を討ったということ以外には見出しにくいですよね。
テキサスのシュミット家の歴史の中の話では、メキシコが出自であったり、小作人からの脱却、雇い主への深い憎しみという部分を織り交ぜながら、栄華と衰退を見せて、また新しい歴史は作られるという締め方をしています。
正直、ストーリーとしてはすごく複雑とかそういう作品とは違って、目の前で起こる様々な歴史上のひとかけらを楽しむで良かったです。そしてシュミット家の歴史と、日本の歴史上の史実をうまく織り交ぜて、因果関係を描いています。
肩肘張らずに楽しめました。新国立劇場の椅子は硬いので長い芝居は心配でしたが、きちんとクッションを置いてあって良心的でした、嬉しい。
面白かったのは、幕末のエピソードで出てきた相楽総三の話、だいぶ端折っていますが、実際にはなかなか面白い人物で、三谷幸喜さんが大河ドラマ「新選組!」を書く前に考えていた人物のというのも興味深いです。こういう人物を出してくることが三谷さんらしいし、そのあとの秩父事件についての描き方も含めて、支配するものされるものという構図について、示唆するものを感じます。
俳優さんたちはとにかく大変だったと思います。早着替えの連続ですし。個人的には中井貴一さんの天使姿で十分にお釣りはくるかなと(笑)。歌も皆さんうまくて、ミュージカルという形式でこういう作品を見せてもらえるバラエティのような賑やかさや楽しさがとても良かったです。
先日、「フェイクスピア」の二回目を見ましたが、そのときの感覚とは違った意味での面白さがあって、やはり演劇は奥深いと改めて実感。なかなかチケットも取れず、足も運べない状態ですが、行けるときは楽しもうと思います。
とりあえず明日の配信を見るのが先ですね。
(追記)
いいですね、ジョセフが織田信長、トーニョが秀吉、メキシコ人が明智光秀っていう図式がうまく効いています。
身分制度云々を織田信長が壊すという構造だったり、平清盛の子供が姻戚関係を結ぶなど、三谷幸喜さんの「因果」という話と、今の悩みは誰かが悩んだことみたいなつながりも含めて、歴史の繰り返しを楽しくみせています。
配信で見るとあらためて、構成の上手さが際立っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?