見出し画像

サバイバー短歌紹介✨ <azuさん>

こんにちは✨あの風公式noteです。
今年もあっという間にGWが終了していました。
自粛が続く中での連休、皆さんはどのように過ごされましたか?さて、今回もサバイバー短歌のご紹介をさせてください。

歌集『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』では、制作にあたり作り手の皆さんと300首を超える短歌を詠んだのですが、構成の都合上、本に掲載できた作品は95首です。
未掲載の作品の中にも、作り手の想いが詰まったキラリと光る作品がたくさんありました。作者の思い入れのある作品を中心に「あの風・サバイバー短歌」として紹介させていただきます。
今回は、azuさんのご紹介です。

病院の窓からふと見る街人を見おろすはずが見上げる夕暮れ
   作:azuさん

azuさんは、参加者のお一人の呼びかけに賛同いただく形で、あの風企画が出来立てホヤホヤだった春の企画説明会からご参加いただきました✨
育児などでお忙しいなか、オンラインレッスンや制作にご協力いただきました。上の作品は、中でもとても思い入れのある一首とのことで、詠まれた背景をお聞きしました。

<短歌のたねとなったストーリー>
手術が終わって数日後、院内リハビリ帰りに、渡り廊下の窓からふと見えた人々の中に、保育園のお迎え帰りの子どもを乗せて自転車をこぐお母さんがいました。ついこの前まで私もそっちにいたのに、別な世界から元の世界を見ている気持ちになり、悲しくて病気後初めてたくさん泣きました。


azuさんは、育児中の34歳AYA世代で乳がんの告知を受けサバイバーに。
それまできちんと検診も受けられていたのに突然の告知だったとのことで、手術後ふと目にした何気ない風景に、それまでの感情がぷつりと溢れだしてしまった情景を詠んでくださいました。
告知後、自分よりも家族のことが気がかりで、涙を流すことすら忘れていたという方、きっと少なくないのではないでしょうか。

azuさんの、その他の作品もご紹介させていただきます。


若いのに何度も聞いて消化した信じるは1つ正しい知識

<背景>若年性のサバイバーとなると、一度はめぐり合うのではないかと思う「若いのに」というセリフ。自分も何度も言われた事があります。サバイバーじゃない方からも、同じサバイバーからも。
その度に溜め込んでいたら心がいくつあっても足りないので、その言葉に負けないよう正しい知識や情報を備えました。後は食べ物と同じように消化して心をリセットしています。

身代わりに冬眠している旦那見て己の回復宣言間近

<背景>入院中、ご飯も食べれず水も飲めずひたすらに横たわって居た自分のベッドで、仕事途中に立ち寄る旦那が爆睡している状況をふと冷静に考えると、面白さがじわじわと溢れてきました。
数日前まで自分の陣地だったベッドに今は旦那が寝ていて、私が椅子に座っている。確実に回復してきているのを実感したのでした。ちょうど冷え込む時期だったので、仕事疲れを癒す良い穴ぐらになったのかもしれません。

二首目の「若いのに」という周りの方からの言葉。悪気のないことはわかっていても、気になってしまう言葉ってありますよね。。生活習慣などを責められてしまう場面も珍しくはないですし、そんな言葉たちに振り回されずにうまく感情を落ち着かせることが大切なのかなと感じさせられます。

三首目はお見舞いあるあるで、分かる〜!とうなずいた方、いらっしゃるのでは…旦那さまもきっと、順調に回復されているazuさんの姿を見てホッと気が抜けたのでは…と思います!(ベッドで寝かしてあげたazuさん、お優しい!)ほっこりする一首をありがとうございます✨

家族想いなazuさん。
azuさんは毎年乳がん検診を受けていたのにも関わらず、セルフチェックでしこりを発見され、全摘手術とホルモン治療を受けられていますが、娘さんにも20代のうちから乳がん検診をしっかり受けるよう伝えていきたいとのことです。まだまだハードルを感じる乳がん検診ですが、近い将来、もっと身近で正確な検診へと改善し、乳がんで苦しむ方が減っていくことを願わずにはいられません。

最後にazuさんから、サバイバーの方々へのメッセージもいただきました。

告知された時はどうして自分が、、としか思えませんでしたが、正しい情報を得て、インスタや病院で繋がれた方々のおかげで今はその時よりだいぶ前向きに暮らせています。
悩むこともまだまだありますが、病気になってから今を楽しむ!事を大切にしています。同じ病気や立場の人にしか分かってもらえないことも沢山あるかと思いますが、きっとそれでいいんだと思います。
同病の人たちと繋がれる方法は案外沢山あります!仲間のパワーは本当に支えになりますね。

特に、Instagramでは会ったことのない仲間とメッセージで励まし合ったり、いつか会おう!と約束していたり、生きる希望になりました。
同じ市に住んでいる同じ主治医のお友達も見つけて、たまにご飯を食べに行ったりしてます。また、病院で「再建サロン」という、乳房再建希望のサバイバーが集まる会が定期的にあり、そこで知り合ったお友達も♪
ピアリングや、今回の短歌レッスンに誘ってくれたyuttyちゃんが始めたhug meのように、自分の地域で仲間が運営している団体もあると思うので、殻に閉じこもった後は殻を破るのが大事かと!

涙を流した後は、勇気を出して殻を破ってみる。
決して一人じゃないよ、というazuさんの力強くて前向きなメッセージをありがとうございます!貴重なエピソードも、ぜひ同世代の皆さまに参考にしていただけたらと感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?