言葉のアップデートの必要を感じた東京駅でのできごと

東京駅の丸の内改札の前でぼーっと立っていたら、海外からの観光客に話しかけられた。八重洲口にある店に行きたいのだけど、道がわからないらしい。

東京駅をご存知の方ならよく分かるだろうが、東京駅の地下はわりと複雑だし、丸の内から八重洲まで歩くのは一駅分くらいの距離がある。

残念ながら、そんな複雑な道を説明できるほどの英語力も持ち合わせてないし、時間にも余裕があったので、目的の店まで一緒に行くことにした。


その女性はアメリカから来て、10日間滞在して明日の飛行機で帰ること、完全なベジタリアン(ビーガンというらしい)なのでレストラン選びが難しい…なんて話に「Aa…」とか「fmm…」とか微妙な相槌を打ちながら、地下道を一緒に歩いた。

唐突に「わさびを買いたい」と言われたから、道沿いの紀伊国屋に寄って買い物もした。
(わさびの荒削りと普通のペーストのわさびの違いを説明するのがめちゃめちゃ難しかった。)

彼女は途中何度も「どこに行く予定だったのか?」とか「時間は大丈夫か?」と聞いてくれたので、「あいはぶたいむ、おっけー」という怪しい英語で返事をした。


日本人は歩くのが早すぎて声がかけられず、東京駅の中で15分位さまよっていたと聞いて、なんとなく申し訳なくなり、ごめんねの気持ちも込めて、東京駅にいる人間は大体so busyだと伝えた。

他にもいろんなことを話してくれたのだけど、残念ながら半分も理解できなくて、気の利いた返しもできなかった。


私はもともと適切な言葉で話したいという欲が強い人間だ。真剣に話そうとすればするほど時間がかかる。
日本語だってちょっとおぼつかないときがあるのに、他の言語では単語どころか、言葉未満の微妙な唸り声しかでてこなかった。


そうこうするうちにやっと目的の店まで到着し、盛大に感謝の言葉を述べられ、ハグをして、ツーショットを撮って、別れた。

そういえば名前すら聞かなかったなぁ、と別れてから思う。
名前の知らない彼女の旅が最後まで楽しいといいなぁ、と思うと同時に、もっといろいろ話せたら楽しかっただろうな、と思った。

前々から英語を勉強しないとな、とは思っていた。
「英語ができないから勉強する」のはもちろんなんだけど、今日の出会いで「適切な言葉を選べること」の難しさを改めて感じた。

その場その場に適した言葉で話せることは、毎日を心豊かにすることだろう。
英語だけじゃなくて、自分の中の「言葉」をアップデートしていかないといけないなぁ、と窓に映る自分に言い聞かせた。

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