マガジンのカバー画像

卓球

5
運営しているクリエイター

記事一覧

システムとして卓球を考える3:戸上隼輔に足りないのは本当に「引き出し」なのか

システムとして卓球を考える3:戸上隼輔に足りないのは本当に「引き出し」なのか

オリンピックが終わった。

結果として女子は団体銀、シングルスで早田が銅とメダルを2つ獲得したのに対し、男子は団体4位、シングルスで張本がベスト8と、メダル無しに終わった。

はじめに強調しておく、日本の男子卓球が弱くなったわけではない。

張本は精神的にも肉体的にも技術的にも東京より良いプレーをしていたし、戸上も初出場ながら堂々のプレーを繰り広げた。何より世界ランキング10番台の選手にこの3年で

もっとみる
ゲーマー的卓球戦術論考〜ゲームをつくる、ゲームをこわす〜

ゲーマー的卓球戦術論考〜ゲームをつくる、ゲームをこわす〜

卓球において「読み合い」ってどれくらい必要なんだろう?ってのを考えた記事です。システムとして卓球を考えるシリーズよりもだいぶラフに書いていきます(したがって理論的背景とかは無しで)

フォアに来る、バックに来る、長いサーブが来る、短いサーブが来る、チキータが来る、ストップが来る、打ってくる、繋いでくるetc… 卓球には色んな読みの要素がある。読みが合えば、得点に繋がりやすいし、読みが外れれば、失点

もっとみる
システムとして卓球を考える2:異質ラバーは「考える」

システムとして卓球を考える2:異質ラバーは「考える」

ラケット、ラバー、ウェア、シューズ… 卓球には様々な用具が存在する。特にラバーは卓球用具市場の花形とも言える存在で、毎年各メーカーから新商品が出されている。ラバーの種類には裏ソフト、表ソフト、粒高などがあり、一部のニッチなメーカーを除き、卓球メーカーは裏ソフトだけでなく、表ソフトや粒高も製造・販売している。

が、しかし。特に男子卓球では、フォアにもバックにも裏ソフトを貼る「裏裏」が完全にスタンダ

もっとみる
【卓球観戦レポ】卓球WTTチャンピオンズ ブダペスト 男子シングルス決勝 張本智和 vs. 林高遠

【卓球観戦レポ】卓球WTTチャンピオンズ ブダペスト 男子シングルス決勝 張本智和 vs. 林高遠

世界のトップ32人にしか出場できない大会、WTTチャンピオンズ。その決勝に立っている二人はまぎれもなく世界トップレベルの強者だ。しかし二人の戦っている様子に絶対的王者の面影はない。お互いに自分の弱いところから逃れようともがいている。そんな試合に見えた。

(試合の映像はこちら)

張本選手は当時世界ランキング8位。日本人最高位で日本のエースではあるものの、東京五輪・世界卓球2021と大きな大会でシ

もっとみる
システムとして卓球を考える

システムとして卓球を考える

ここ半年ばかり、忙しくて自分のためだけに文章を書く時間がなかったのですが、ようやく時間が出来たので卓球について書いてみようと思います。

と、その前に身の上話を少々。私は今、とある大学院で経営学を学んでいます。経営学では組織や戦略など様々なことを学びます。その中でも組織理論は、刺激に対して組織がどのような解釈・行動を行い、その結果どういった反応が返ってくるかをモデルとして表すという、「システム」モ

もっとみる