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堆肥考 その1 材料ごとに分解されやすさは違う

私が堆肥作りを始めたきっかけ

 我家の畑の片隅にトタン板で仕切ったゴミを捨てる一角が作ってあります。ここには長年に渡ってばあちゃんが雑草や作物の残渣、庭の葉刈りで出た木の枝や落ち葉などをせっせと捨てていました。ばあちゃんは特に堆肥にすることなど考えているわけではなく、昔ながらのゴミ捨て場としてここを使っていたのです。
 ある日、私がこのゴミ捨て場のそばを通りかかったところ、夏草が山積みにされて枯れかけていました。「この積み方はもったいないな。ちゃんとすればいい堆肥ができるのに。」と思ってしまったのが運の尽き。ためしに少し掘ってみたところ、下層部にはかなりの量の腐植が溜まって黒々とした良い土になっていましたので、面白がって手を出してしまった次第です。www

 早速、ゴミ捨て場のすぐ横に堆肥枠を設置し、先ずは表層に無造作に捨ててある繊維の長い草をわら切りで切っては枠に入れ、水をかけて米ぬかを降りかける。これを繰り返していくうちにいよいよ下層の腐植が姿を現します。

 ところが、腐植をスコップで掘ってみると充分に発酵が進んでいるところとそうでないところが見られ、全く腐っていない木の枝がたくさん出てきます。同時にミミズ、ハサミムシ、トビムシ、ダンゴムシ、ムカデ、ゲジゲジもわんさか。(笑)

木の枝はなぜ腐っていないのか

 長年土中にあった木の枝がなぜ腐っていないか?その理由の一つは炭素率の高さです。炭素率はC/N比とも呼ばれ、有機物などに含まれている炭素(C)量とチッソ(N)量の比率のことです。全炭素÷全チッソで求めた値が低いと腐りやすく、高いと腐りにくいとなります。(ちなみに今回の記事ではものすごくアバウトに「腐る=発酵=分解」と言葉を定義させていただきます。)
 また炭素率はおおむね20を境として、それより小さい(窒素が多い)と、微生物による有機物分解の際に窒素が放出され(無機化)、C/N比が大きいと反対に土の中の窒素が微生物に取り込まれる(有機化)といわれています。

 つまり、この表からもわかるとおり、木は雑草などに比べて炭素率が高いから分解されにくいのです。我が家の畑のゴミ捨て場のように炭素率がちぐはぐなものを混在させて分解させようとすると、それぞれの腐りやすさが明らかに異なりますので、このように話がややこしくなるのですね。

 で、もう一つの木の腐りにくい理由は、木には難分解物質のリグニンが多く含まれていて、雑草などを分解する微生物ではなかなか分解できないからだよというお話はまた今度。

本日の教訓:
堆肥を作る際に炭素率の違うものを混ぜると話がややこしくなる。(^^;)


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