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2月8日_優しさ電車

【140字小説】
電車の中、その人は泣いていた。拭うことなくただただ頬を濡らし、そのまま服の胸元にも滲む。泣いているのに、悲しそうでも逆に嬉しそうでもなく、無表情のまま外を眺めて泣いている。周りの人とほんの少しの距離があり、見るとハンカチを手にする人がチラホラいる。私は何だか安心して電車を降りた。

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