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1012_栗の香

【140字小説】
丁寧に栗の皮を剥いていた。爪のわずかな隙間には、びっしりと黒く土が詰まったように着色されている。自然味が溢れると言えばその通りだが、土の香よりも栗が食べたい。ようやく渋皮に辿り着きそれもまた丁寧に剥く。じん、と指先が鈍く痛む。けれど、ふぁんと薫るほの甘い香りを目先に私は負けない!

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