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1230_手のひらで

【140字小説】
私のヤモリが動かない。ここ数日薄々と気づいてはいたが、今朝のことだ。触れても動かない。私は静かに彼を手のひらに包み熱を与えることにした。けれど反対に私の手が冷たくなっていく。負けじと温め続けていると、彼は観念したのかピクリと尻尾を動かした。小さな口を開けて私を見ている。そんな夢。

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