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1月16日_振り向いて

【140字小説】
そこでは名前を呼ばれない。「そこの君」とか「ちょっと」とか、そんな風に呼ばれる。私は違和感もなく振り向くが、いざ振り向くと誰もいないのだ。そんなことが何度か続き私は振り向かなくなった。しばらくしてやっと私の名を呼ばれた。気がした。分からなかったのだ。もう、私の名は忘れてしまった。

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