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9月1日 キウイの日
そこにあったものがない。
それに気づいたのはお昼であった。
この週末、子供を一時保育に預けるためにお弁当を作る。そのためもあってデザート用のフルーツにキウイを買っておいた。息子はキウイが大好きなのだ。
その、キウイがいない。
ゴールドキウイは食べ頃であったものの、息子はより柔らかくなったそれが好きなので追熟させようと思い、残っていたバナナ1本と一緒に袋にいれておいていたのだが。
その、キウイがいない。
「コウちゃん、キウイ食べた?」
「食べてないよー」
そうだよねぇ。息子は1人で皮をむいて食べないし、夫はそんなにキウイが好きではないはず、そうなると何かの拍子にゴミ箱に入ってしまったり捨ててしまった?いや、そんなことはないか。
「ま、いっか。とりあえずお昼ご飯食べよう」
そう言って私は昼食として親子丼を作っていると、スマホが鳴った。夫である。
「お疲れさま、どうしたの」
「ねぇ、キウイってどうやって食べるの?」
「え」
もしかして・・・・・・。
「台所においていたバナナとキウイ持って行った?」
「うん、袋詰めされているから俺の為に用意してくれていたのかなと思って」
どこか照れたような小さな笑いが電話口から聞こえた。思わず私も笑ってしまう。
「ごめん、それキウイを熟そうと思ってバナナと一緒においておいただけなのよ。まさか持ってくとは」
「え、そうなのか。ごめんごめん」
続けて、バナナと一緒だと熟すのかと彼が聞くので私は答える。
バナナやリンゴでも良いが、一緒に置いておくことで、それらが出す『エチレン』と言う成分がキウイを熟してくれるのだ。
「へぇ、知らなかった。食べてみようかな。あ、でも、そうだ。ナイフとかないから食べられないんだよ」
「そのキウイ、皮の薄いゴールドキウイだから、水で綺麗に洗って皮ごと食べられるよ。栄養も皮ごとの方が多いらしいし」
夫や子供が食べるときには皮を剥いているが、私1人で食べるときには時々皮ごと食べることもある。栄養は取り込めるだけ取りたい。
「あ、でもいつもみたいに蜂蜜づけにしていないから酸っぱいでしょう?」
「え」
蜂蜜?何のことだろう。私はキウイを蜂蜜づけになどしたことはない。
「キウイってさ、昔から酸っぱいでしょ。でも家で出してくれる黄色いキウイはめっちゃ甘いからさ、蜂蜜づけにしているんだろ思っていたんだけど」
「そのまま出しているから単にゴールドキウイの甘さだよ」
「ええ!そうなの?小さい頃に食べて以来キウイは酸っぱいと思っていたのに・・・・・・今のは甘いのか」
夫は驚愕の事実を知らされたように驚いているが、私も同様である。ちゃっかり手を掛けてフルーツを食べさせていたのだと思われていたのか。私はどれだけ優しいのだ。そうではないことがバレてしまったのは少し残念。
「じゃあ、ありがたくこのままいただきますね」
「どうぞどうぞ」
私が笑いながら夫に促すと、息子が聞いていたようで電話を代われと言う。
「パパ!僕のキウイ買ってきてよね」
怒ったように頬を膨らませて言った。
「ちゃんと買って帰るよ。パパもまた食べたいから多めに買って帰ります」
皮を剥いて(剥かなくても)、家族に出すだけでたくさんの栄養を与えられるなんて、何という家族思いの手抜きだろうか。
今日もまた、キウイを買って。
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【今日の記念日】
9月1日 キウイの日
夏の暑さで疲れがたまっている体や、弱った肌をいやすキウイフルーツ。「元気フルーツ」と呼ばれるキウイを食べて多くの人に健康になってもらいたいと、ニュージーランド産キウイフルーツの輸入、製品管理、マーケティング活動などを行っているゼスプリ インターナショナルジャパン株式会社が制定。日付は9と1で「キウ(9)イ(1)」と読む語呂合わせから。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
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